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三章
60 カモミールとローズヒップのお茶②
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(ヒロインは逆ハーレムルートを狙っているのだろうけど……満遍なく好感度を上げられてないんだよ。シナモン様、ニゲラ様って順番に上げるだけ上げて放置したから、好感度だだ下がり。もしかして、満遍なくの意味がわかってないのかな? いや、そんなことってある?)
サポート担当であるひだまりの妖精は、仕事を放棄しているのだろうか。
しっかり仕事をしてくれないと困るんだけど、とペリーウィンクルは苦々しく息を吐いた。
ヴィアベルからうわさを聞いてから、すでに二カ月が経過している。
ローズマリーの箱庭にあるアルケミラ・モリスは、本日もフワフワの花を咲かせていた。
トゥルシーは一体、いつ来るつもりなのだろう。
シナモン曰く、ヒロインは花泥棒の第一容疑者として妖精たちが見張っているらしい。
となれば、今トゥルシーが花を盗めば、ヒロインの疑いが晴れる。
今が絶好のチャンスのはずなのに、トゥルシーはなぜ来ないのか。
毎日アルケミラ・モリスの無事を確認して「今日も来なかった」と一喜一憂するのは、そろそろマンネリである。
さてどうしたものかと頭を悩ませながら、ペリーウィンクルは間もなく帰宅するローズマリーのために、お茶を準備に取り掛かった。
乳鉢でローズヒップをつぶして、種と毛を取り除く。
鍋に水を入れて火をかけて、沸騰させたら火を止める。
あとは、細かくしたカモミールとローズヒップをそこへ入れて五分ほど抽出し、茶こしを使ってカップへ注げば完成だ。
カモミールとローズヒップのお茶は、ストレスによる肌荒れに効果がある。
カモミールの消炎作用と鎮静作用は肌のトラブルに有効で、ローズヒップは肌のケアに消費されるビタミンCが豊富なのだ。
吹き出物対策には、ダンディライオンのお茶も良い。
根を焙煎して淹れた茶は、コーヒーのような味でなかなか美味しい。
茶葉とお湯の用意を済ませてペリーウィンクルが壁の時計を見上げていると、扉が控えめにノックされた。
ローズマリーであれば、ノックもなしに入ってくるはずである。
「誰だろう?」
ペリーウィンクルは小首をかしげて、来客を迎えるために扉へ向かう。
セリかサントリナだったらローズマリーがいなくても部屋へ通して良いと言われているが、それ以外だったらお断りである。
扉の影になるように置かれた鏡で、メイドらしい微笑を浮かべていることを確認してから、ペリーウィンクルは扉を開いた。
ゆっくりと開いた扉の向こう、廊下に立っている男を見て、ペリーウィンクルから表情が抜け落ちる。
(やっぱり、お嬢様には引き寄せの法則とか、そういうのがあるのでは?)
それとも、これが予定調和というものなのだろうか。
(いや、ご都合主義?)
ペリーウィンクルが無表情でそんなことを考えていると、来訪者は手を差し出してきた。
サポート担当であるひだまりの妖精は、仕事を放棄しているのだろうか。
しっかり仕事をしてくれないと困るんだけど、とペリーウィンクルは苦々しく息を吐いた。
ヴィアベルからうわさを聞いてから、すでに二カ月が経過している。
ローズマリーの箱庭にあるアルケミラ・モリスは、本日もフワフワの花を咲かせていた。
トゥルシーは一体、いつ来るつもりなのだろう。
シナモン曰く、ヒロインは花泥棒の第一容疑者として妖精たちが見張っているらしい。
となれば、今トゥルシーが花を盗めば、ヒロインの疑いが晴れる。
今が絶好のチャンスのはずなのに、トゥルシーはなぜ来ないのか。
毎日アルケミラ・モリスの無事を確認して「今日も来なかった」と一喜一憂するのは、そろそろマンネリである。
さてどうしたものかと頭を悩ませながら、ペリーウィンクルは間もなく帰宅するローズマリーのために、お茶を準備に取り掛かった。
乳鉢でローズヒップをつぶして、種と毛を取り除く。
鍋に水を入れて火をかけて、沸騰させたら火を止める。
あとは、細かくしたカモミールとローズヒップをそこへ入れて五分ほど抽出し、茶こしを使ってカップへ注げば完成だ。
カモミールとローズヒップのお茶は、ストレスによる肌荒れに効果がある。
カモミールの消炎作用と鎮静作用は肌のトラブルに有効で、ローズヒップは肌のケアに消費されるビタミンCが豊富なのだ。
吹き出物対策には、ダンディライオンのお茶も良い。
根を焙煎して淹れた茶は、コーヒーのような味でなかなか美味しい。
茶葉とお湯の用意を済ませてペリーウィンクルが壁の時計を見上げていると、扉が控えめにノックされた。
ローズマリーであれば、ノックもなしに入ってくるはずである。
「誰だろう?」
ペリーウィンクルは小首をかしげて、来客を迎えるために扉へ向かう。
セリかサントリナだったらローズマリーがいなくても部屋へ通して良いと言われているが、それ以外だったらお断りである。
扉の影になるように置かれた鏡で、メイドらしい微笑を浮かべていることを確認してから、ペリーウィンクルは扉を開いた。
ゆっくりと開いた扉の向こう、廊下に立っている男を見て、ペリーウィンクルから表情が抜け落ちる。
(やっぱり、お嬢様には引き寄せの法則とか、そういうのがあるのでは?)
それとも、これが予定調和というものなのだろうか。
(いや、ご都合主義?)
ペリーウィンクルが無表情でそんなことを考えていると、来訪者は手を差し出してきた。
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