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第一話 Es war einmal 昔々あるところに
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……Das rostige Schwert ist zerbrochen, das Herz ist zerbrochen, und hier sterbe ich.
物語の舞台の国の名はハルバリア、異世界某所ナーロッパのアルファポリス海にある島、下っ端女神の玩具国。地球の老舗ゲームメーカーが社運を賭けて打ち出した『アクションRPGロマンス恋愛クラフト戦略シュミレーションファンタジーオープンワールドオンラインゲーム』という詰めすぎ要素の糞ゲー『黄金薔薇姫の千年王国』諸経費を総ブッ込み、賛否両論非難轟々のなか最新の植物コンピューターターサーバーでβテストを敢行したところブラック待遇にブチキレた開発陣が捨て身でデスゲームを施行。更には、異世界植物神の乗っ取りによりゲームと異世界が悪魔合体融合、悪夢としか言えない国となった。これはその慣れの果ての物語の数々である。
ここは何処かの異世界……
煌めくシャンデリア、カットされた硝子玉がきららかに光を弾いてプリズムを造る。華やかなりし舞踏会場、生オーケストラによる楽曲が高らかにその場を盛り上げる。素晴らしきハルバリア、女神である黄金薔薇姫の血族が治世するとしこえの楽園、祈るだけで麦がたわわにみのり、願いで灌漑施設が湧いて健立され、夢見るだけで病も飢えも駆逐される女神のおわす国……ハルバリア、女神の分け身株である黄金薔薇姫が愛される為だけに存在する世界、夢の国。
その豊かで華やかな国の貴族達が集う舞踏会で、今まさに悪役令嬢に世界の――否、神の子孫たる王家の鉄槌が、断罪が下されんとしていた。
わたくしの名はオディール・z・ロットバルト、女神の血族が支配する国の公爵令嬢ですわ。今、まさにいわれのない婚約破棄をもうしつけられて大理石の床に騎士三人がかりで拘束され引き倒され婚約者であった王国王太子とその側近様方に罪と罰を受け入れるよう宣下を下されている真っ最中でございますわ。
「オディール・z・ロットバルト!貴様は尊い王太子殿下の仮初とはいえ婚約者であったにもかかわらず、公爵令嬢と摂政である父の権力をカサにきて!!可憐で愛らしく王太子殿下の愛を受けたローザたん♡を虐げ迫害した!可哀想なローザたん♡はお前の仕打ちによって澄んだ涙をこぼした!!っ、よってお前の罪は明白であるっ!」
「悪役令嬢が婚約者とは、笑止千万お前を王太子様の御名においてっ!婚約破棄を申し付けこの豊かで美しい我が国ハルバリアから追放刑を申し付けるっ」
「そんな!今、わたくしが去ればこの国の農業はどうなります、勇者産業の無くなった今来年のパンは備蓄や他国の援助でしのぐにしろ、麦の育てた方を失伝した民たちは飢えて……」
パァンとわたくしの頬を衝撃が襲いました、往復ビンタです、打たれて衝撃で歯によって口の中が切れ金臭い味が広がります。
「うるさい!悪女め媚て差し出してもお前の価値などありはせぬ」
「黙れ!下女めさかしい口を閉じろ」
パーンパーンパァン、誰も制止に入らない異常な空間。頬はハリ飛ばされすぎてもはや痛覚がありません。罪を刻んで思い知れとビンタは執拗に続きました。
「農業など下賎なモノは不要っ、全ては黄金薔薇姫様……王家の威光でかたづくわっ、媚て差し出すとは殊勝に見せかけてあざとさがすぎて気色わるい、悪女よ去れ」
「野蛮で貧しい外界に打ち捨てるっ……と王太子殿下は仰せであるっ!!」
「我々薔薇の千年王国ハルバリアは蛮族ではなく文明国であるっ!罪びとでもころしはせぬ、手がケガレるわ、汚物である悪役令嬢は祖の国で飢えて悔いながら屍をさらすがよいっ!」
指をつきつけ、唾を飛ばしながら大音声でギャン騒ぐのは副宰相の次男のエンザーイ様ですわ。馬蹄型の指紋ですわね。よく見えますわ、爪伸びてて爪の間が黒ずんでて汚いですわね。せめて爪ブラシ使って洗って下さいまし衛生は健康の基本ですわよ、ゲンナリが増加しましたわ。言ってる言語は理解出来ますが内容が理解出来ません。迫害ってなんでしょう?目の前五人の殿方が囲んでワイセツ行為をしているピンク髪の女性のことでしょうか?
(初対面でございますわね、口もきいたこともございませんし)
いとしのローザたん♡ことピンクさん(仮)は、王太子殿下とかなりディープな接吻をかわしておられます。脇にはべる財務大臣の三男様が腰を抱きながらくちずけ中のピンクさん(仮)の髪のひと房をとってほおずりし、魔法庁の長官の第二妾子男様が肩にピンク髪のおくれ毛を指に、絡ませながらイヤリングの位置をそっとなおしております。のこりのおひとり騎士団長の三男様はピンクさん(仮)の足元に膝まずき剣を捧げている真っ最中でございます。みなさん婚約者がおられませんでしたか? いいいんですの?それって求愛行為に相当しますよ不貞じゃありませんこと??
「理解しているのか!この悪女め!ローザたん♡にあやまれ詫びろっ」
見守る貴族たちのクスクス笑いに、聴かせる程度にワザと調整した呟きがざわりざわりと広間を浸食します。「ヨソモノ」「王家のタネをかすめ取ろうとした悪女」「歴史のない蛮族との混ざりもの」「目ざわり」などですわ。千年鎖国していたハルバリアでは娯楽が停滞しマンネリ、異分子をやり玉に安全地帯から嬲るのほの暗い楽しみでありましょう。
副宰相の次男エンザーイ様のアイコンタクトを受けて、私の両腕の拘束がギュッとさらにキツくなります。もう一人の近衛騎士がわたくしの頭と髪を掴んで這いつくばり姿勢の頭をゴンゴンと大理石の床に打ち付けました頭を下げろということですね嫌ですわ、額は三度目ぐらいで割れぶちぶち髪はちぎれ、ばたばたとわたくしの鮮血が大理石の床にしぶいておちます。結構痛いですわね。くらくらしますわ。本当に良いのでしょうか?農業が失伝し、土木治水も失伝……職人は亜人にたよりきりであったのに亜人は結界がうせた後我先にとにげて、先がなく未来への展望として知識と技術を学ぶツテの外国の血を引いたわたくしとの政略結婚ですのに?
「あやまれ!詫びろ」
「悪女め!悔い改めろ!ローザたん♡に泣いてあやまれ!罪人め」
「王族を支える伽を拒否しただけではなく、我ら貴族令息の昂りを慰める検分行動を拒否した、不敬である!」
「たかたが良い胸つき、締まった尻、良い脚をしているぐらいでお高くとまり、情けをもらおうとは増長がすぎるっ!貴様などローザたん♡の清楚可憐な魅力に比べたら道のばたの犬の糞も同然だ悪役令嬢め!!!」
物語の舞台の国の名はハルバリア、異世界某所ナーロッパのアルファポリス海にある島、下っ端女神の玩具国。地球の老舗ゲームメーカーが社運を賭けて打ち出した『アクションRPGロマンス恋愛クラフト戦略シュミレーションファンタジーオープンワールドオンラインゲーム』という詰めすぎ要素の糞ゲー『黄金薔薇姫の千年王国』諸経費を総ブッ込み、賛否両論非難轟々のなか最新の植物コンピューターターサーバーでβテストを敢行したところブラック待遇にブチキレた開発陣が捨て身でデスゲームを施行。更には、異世界植物神の乗っ取りによりゲームと異世界が悪魔合体融合、悪夢としか言えない国となった。これはその慣れの果ての物語の数々である。
ここは何処かの異世界……
煌めくシャンデリア、カットされた硝子玉がきららかに光を弾いてプリズムを造る。華やかなりし舞踏会場、生オーケストラによる楽曲が高らかにその場を盛り上げる。素晴らしきハルバリア、女神である黄金薔薇姫の血族が治世するとしこえの楽園、祈るだけで麦がたわわにみのり、願いで灌漑施設が湧いて健立され、夢見るだけで病も飢えも駆逐される女神のおわす国……ハルバリア、女神の分け身株である黄金薔薇姫が愛される為だけに存在する世界、夢の国。
その豊かで華やかな国の貴族達が集う舞踏会で、今まさに悪役令嬢に世界の――否、神の子孫たる王家の鉄槌が、断罪が下されんとしていた。
わたくしの名はオディール・z・ロットバルト、女神の血族が支配する国の公爵令嬢ですわ。今、まさにいわれのない婚約破棄をもうしつけられて大理石の床に騎士三人がかりで拘束され引き倒され婚約者であった王国王太子とその側近様方に罪と罰を受け入れるよう宣下を下されている真っ最中でございますわ。
「オディール・z・ロットバルト!貴様は尊い王太子殿下の仮初とはいえ婚約者であったにもかかわらず、公爵令嬢と摂政である父の権力をカサにきて!!可憐で愛らしく王太子殿下の愛を受けたローザたん♡を虐げ迫害した!可哀想なローザたん♡はお前の仕打ちによって澄んだ涙をこぼした!!っ、よってお前の罪は明白であるっ!」
「悪役令嬢が婚約者とは、笑止千万お前を王太子様の御名においてっ!婚約破棄を申し付けこの豊かで美しい我が国ハルバリアから追放刑を申し付けるっ」
「そんな!今、わたくしが去ればこの国の農業はどうなります、勇者産業の無くなった今来年のパンは備蓄や他国の援助でしのぐにしろ、麦の育てた方を失伝した民たちは飢えて……」
パァンとわたくしの頬を衝撃が襲いました、往復ビンタです、打たれて衝撃で歯によって口の中が切れ金臭い味が広がります。
「うるさい!悪女め媚て差し出してもお前の価値などありはせぬ」
「黙れ!下女めさかしい口を閉じろ」
パーンパーンパァン、誰も制止に入らない異常な空間。頬はハリ飛ばされすぎてもはや痛覚がありません。罪を刻んで思い知れとビンタは執拗に続きました。
「農業など下賎なモノは不要っ、全ては黄金薔薇姫様……王家の威光でかたづくわっ、媚て差し出すとは殊勝に見せかけてあざとさがすぎて気色わるい、悪女よ去れ」
「野蛮で貧しい外界に打ち捨てるっ……と王太子殿下は仰せであるっ!!」
「我々薔薇の千年王国ハルバリアは蛮族ではなく文明国であるっ!罪びとでもころしはせぬ、手がケガレるわ、汚物である悪役令嬢は祖の国で飢えて悔いながら屍をさらすがよいっ!」
指をつきつけ、唾を飛ばしながら大音声でギャン騒ぐのは副宰相の次男のエンザーイ様ですわ。馬蹄型の指紋ですわね。よく見えますわ、爪伸びてて爪の間が黒ずんでて汚いですわね。せめて爪ブラシ使って洗って下さいまし衛生は健康の基本ですわよ、ゲンナリが増加しましたわ。言ってる言語は理解出来ますが内容が理解出来ません。迫害ってなんでしょう?目の前五人の殿方が囲んでワイセツ行為をしているピンク髪の女性のことでしょうか?
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いとしのローザたん♡ことピンクさん(仮)は、王太子殿下とかなりディープな接吻をかわしておられます。脇にはべる財務大臣の三男様が腰を抱きながらくちずけ中のピンクさん(仮)の髪のひと房をとってほおずりし、魔法庁の長官の第二妾子男様が肩にピンク髪のおくれ毛を指に、絡ませながらイヤリングの位置をそっとなおしております。のこりのおひとり騎士団長の三男様はピンクさん(仮)の足元に膝まずき剣を捧げている真っ最中でございます。みなさん婚約者がおられませんでしたか? いいいんですの?それって求愛行為に相当しますよ不貞じゃありませんこと??
「理解しているのか!この悪女め!ローザたん♡にあやまれ詫びろっ」
見守る貴族たちのクスクス笑いに、聴かせる程度にワザと調整した呟きがざわりざわりと広間を浸食します。「ヨソモノ」「王家のタネをかすめ取ろうとした悪女」「歴史のない蛮族との混ざりもの」「目ざわり」などですわ。千年鎖国していたハルバリアでは娯楽が停滞しマンネリ、異分子をやり玉に安全地帯から嬲るのほの暗い楽しみでありましょう。
副宰相の次男エンザーイ様のアイコンタクトを受けて、私の両腕の拘束がギュッとさらにキツくなります。もう一人の近衛騎士がわたくしの頭と髪を掴んで這いつくばり姿勢の頭をゴンゴンと大理石の床に打ち付けました頭を下げろということですね嫌ですわ、額は三度目ぐらいで割れぶちぶち髪はちぎれ、ばたばたとわたくしの鮮血が大理石の床にしぶいておちます。結構痛いですわね。くらくらしますわ。本当に良いのでしょうか?農業が失伝し、土木治水も失伝……職人は亜人にたよりきりであったのに亜人は結界がうせた後我先にとにげて、先がなく未来への展望として知識と技術を学ぶツテの外国の血を引いたわたくしとの政略結婚ですのに?
「あやまれ!詫びろ」
「悪女め!悔い改めろ!ローザたん♡に泣いてあやまれ!罪人め」
「王族を支える伽を拒否しただけではなく、我ら貴族令息の昂りを慰める検分行動を拒否した、不敬である!」
「たかたが良い胸つき、締まった尻、良い脚をしているぐらいでお高くとまり、情けをもらおうとは増長がすぎるっ!貴様などローザたん♡の清楚可憐な魅力に比べたら道のばたの犬の糞も同然だ悪役令嬢め!!!」
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