159 / 235
第二部四章 衝突
侵攻と退却
しおりを挟む
――斎藤軍の陣内に侵入した諏訪衆たちは、竹中半兵衛の思惑にまんまと嵌った。
足元の罠によって先頭の騎馬が倒れた事で、行く手を遮られ、立ち往生を余儀なくされた後続の者たちは、待ち構えていた斎藤軍の鉄砲隊によって乗騎を撃たれ、次々と落馬する。
騎乗していた武者たちは、草の生い茂る地面の上に投げ出され、身体を強かに打ちつけ悶絶しているところを、鉄砲隊の後ろから躍り出てきた斎藤軍の足軽たちが繰り出す長槍によって次々と刺し貫かれた。
そんな前方の状況も分からず、ただ我先にと後に続いた諏訪衆たちも、馬と共に地面に転がり苦鳴を上げている朋輩たちの姿に驚く間もなく、斎藤方の鉄砲隊の第二射を浴びてしまう。
草の生い茂った地面には、たちまちの内に夥しい数の諏訪衆の武者たちと馬たちの身体が転がり、一帯は悲痛な苦鳴と断末魔と硝煙と血腥い匂いで満たされるのだった――。
「くっ……何をしておるのだっ? あんな所で固まって……!」
抜け駆けした諏訪衆を自陣へ引き戻す為、急ぎ手勢を引き連れて斎藤軍の陣に接近した保科正俊は、彼らが柵の一ヶ所に集まり右往左往しているのを見て、訝しげな声を上げた。
柵の向こう側では、斎藤兵が足を止めた騎馬兵たちに向けて鉄砲を盛んに撃ちかけており、その銃弾を浴びた諏訪衆たちがどうと音を上げて、一騎、また一騎と地面に倒れ伏す。
「……ちっ!」
その有様を見て忌々しげに舌を打った正俊は、馬の横腹を蹴りつけ、更に速度を上げた。そして、率いる自隊の騎馬たちよりもいち早く諏訪衆に追いつくと、手にした槍を頭上に大きく掲げながら、立ち往生している諏訪衆たちに向けて大音声で叫ぶ。
「何をしておる、貴様ら――ッ! そのまま突っ立っておったら、敵の鉄砲の良い的だぞ!」
「え……っ!」
諏訪衆の最後尾に居た兵が、正俊の叫び声に気付き、馬上で竦めていた背を伸ばした。
そして、傾けていた目庇を上げて周囲を見回し、近付いてくる正俊の姿を見止めるや、驚きの表情を浮かべる。
「こ、これは、保科様……な、何故、このような所まで……?」
「何故も何も無いわ、このたわけ共が!」
訝しげに尋ねる騎馬兵を憤怒の形相で一喝した正俊は、荒々しい所作で後方の武田軍を手槍で指し示した。
「勝手に抜け駆けしおったお主らを連れ戻しに来たに決まっておろうが!」
「そ……それは……申し訳――」
「謝っている暇があったらさっさと退け! ここに留まっておったら、貴様ら全員、敵の鉛玉の餌食になるだけだぞ!」
「な……っ?」
「ひ、退くのですかっ?」
正俊の指示を聞いた諏訪衆は、目を丸くして驚く。
「せ、せっかく柵を破って敵陣の懐に入り込めたというのに、何故退かねばならぬのですか?」
「それより、この勢いを以て敵陣の奥まで攻め込んで――」
「たわけ!」
首を傾げながら疑問を述べる諏訪衆たちに怒声を浴びせた正俊は、太縄の切れた柵の辺りで立ち往生している味方に向けて顎をしゃくった。
「貴様らは『この勢い』と言うたが、進む事も出来ずに突っ立っておるこの状況のどこに勢いがあるというのだ? 本当に勢いがあるのなら、いまだにこのような所でもたついてなどおらぬわ!」
そう苛立たしげに怒鳴った正俊は、渋い顔で眉根を寄せる。
そして、一番手近にいた若い騎馬兵に問い質した。
「おい、先頭で斎藤陣に攻め込んだ者たちが今どうなっておるのか分かるか?」
「あ……い、いえ、それが……」
正俊の問いかけに、若い騎馬兵は当惑を隠せぬ様子で首を左右に振る。
「実は……硝煙と敵兵の姿に隠れてしまっていて、先頭の様子は詳らかには分かりませぬ。ただ、先ほどから盛んに銃声と馬の嘶き、それに喊声が上がっておりますゆえ、敵方と交戦に至っておるのは確かかと――」
「法螺や銅鑼の音はどうじゃ?」
「いえ……それは聞こえてきませぬ」
「聞こえて来ぬだと?」
「は、はい」
「マズいな……」
騎馬兵の答えを聞いた正俊は、一段と険しい表情を浮かべながら、周囲を見回した。
「小原はっ? 小原丹後はどこにおるッ?」
「こ、小原様は――」
歴戦の兵である正俊が見せる焦燥を見て、自分たちがただならぬ事態の最中にある事を薄々察した騎馬兵は、顔色を変えながら答える。
「小原様は……手槍を携え、いち早く敵陣内へ駆け入り――」
「――いかん!」
正俊は、騎馬兵の言葉を緊迫した声で遮り、目を大きく見開きながら叫んだ。
「恐らく、これは敵の策略ぞ! 貴様らは、まんまと罠の中へ誘き寄せられたのじゃ!」
「さ、策略……?」
「罠……これが?」
諏訪衆たちは、正俊の言葉に愕然とするが、その直後に上がった夥しい銃声と、笛の音のような風切音を上げながら脇を掠めた銃弾に慌てて身を竦める。
濛々と上がる硝煙と柵越しに、忙しない仕草で火縄銃の弾込めをしている斎藤軍の鉄砲足軽たちの姿を苦々しく睨んで歯噛みした正俊は、キッと表情を引き締めると、再び後方の武田軍の陣を指さし、緊迫した声で叫んだ。
「――陣内に入った者どもの事は保科隊が引き受ける! 貴様ら諏訪衆は、今のうちに疾く味方の陣へと戻り、典厩様の指示を待て!」
「で、ですが……」
「ええい、口ごたえするな! 隊を率いる将が後先も顧みずに敵陣へ突っ込んだせいで、斯様に指揮系統が乱れてしまった貴様らが居ても邪魔になるだけだというのが分からんのか!」
「……っ!」
納得できぬと抗弁しようとした諏訪衆の武者たちだったが、正俊の大喝にハッとした表情を浮かべ、それから大きく頷いた。
「か……畏まり申した!」
「分かったら、さっさと行け!」
と、諏訪衆を叱咤した正俊は、追いついた自隊の兵たちの方に向き直り、声を張り上げる。
「良いか! これより我々は、敵陣内に取り残された諏訪衆を救い出す! 敵の鉄砲に狙い撃たれぬよう、馬の脚は決して止めるな!」
そして、配下の兵たちが士気横溢な顔立ちを見て満足げに頷くと、手槍を頭上に大きく掲げながら、万雷の如き大音声で叫んだ。
「――者ども、参るぞッ!」
足元の罠によって先頭の騎馬が倒れた事で、行く手を遮られ、立ち往生を余儀なくされた後続の者たちは、待ち構えていた斎藤軍の鉄砲隊によって乗騎を撃たれ、次々と落馬する。
騎乗していた武者たちは、草の生い茂る地面の上に投げ出され、身体を強かに打ちつけ悶絶しているところを、鉄砲隊の後ろから躍り出てきた斎藤軍の足軽たちが繰り出す長槍によって次々と刺し貫かれた。
そんな前方の状況も分からず、ただ我先にと後に続いた諏訪衆たちも、馬と共に地面に転がり苦鳴を上げている朋輩たちの姿に驚く間もなく、斎藤方の鉄砲隊の第二射を浴びてしまう。
草の生い茂った地面には、たちまちの内に夥しい数の諏訪衆の武者たちと馬たちの身体が転がり、一帯は悲痛な苦鳴と断末魔と硝煙と血腥い匂いで満たされるのだった――。
「くっ……何をしておるのだっ? あんな所で固まって……!」
抜け駆けした諏訪衆を自陣へ引き戻す為、急ぎ手勢を引き連れて斎藤軍の陣に接近した保科正俊は、彼らが柵の一ヶ所に集まり右往左往しているのを見て、訝しげな声を上げた。
柵の向こう側では、斎藤兵が足を止めた騎馬兵たちに向けて鉄砲を盛んに撃ちかけており、その銃弾を浴びた諏訪衆たちがどうと音を上げて、一騎、また一騎と地面に倒れ伏す。
「……ちっ!」
その有様を見て忌々しげに舌を打った正俊は、馬の横腹を蹴りつけ、更に速度を上げた。そして、率いる自隊の騎馬たちよりもいち早く諏訪衆に追いつくと、手にした槍を頭上に大きく掲げながら、立ち往生している諏訪衆たちに向けて大音声で叫ぶ。
「何をしておる、貴様ら――ッ! そのまま突っ立っておったら、敵の鉄砲の良い的だぞ!」
「え……っ!」
諏訪衆の最後尾に居た兵が、正俊の叫び声に気付き、馬上で竦めていた背を伸ばした。
そして、傾けていた目庇を上げて周囲を見回し、近付いてくる正俊の姿を見止めるや、驚きの表情を浮かべる。
「こ、これは、保科様……な、何故、このような所まで……?」
「何故も何も無いわ、このたわけ共が!」
訝しげに尋ねる騎馬兵を憤怒の形相で一喝した正俊は、荒々しい所作で後方の武田軍を手槍で指し示した。
「勝手に抜け駆けしおったお主らを連れ戻しに来たに決まっておろうが!」
「そ……それは……申し訳――」
「謝っている暇があったらさっさと退け! ここに留まっておったら、貴様ら全員、敵の鉛玉の餌食になるだけだぞ!」
「な……っ?」
「ひ、退くのですかっ?」
正俊の指示を聞いた諏訪衆は、目を丸くして驚く。
「せ、せっかく柵を破って敵陣の懐に入り込めたというのに、何故退かねばならぬのですか?」
「それより、この勢いを以て敵陣の奥まで攻め込んで――」
「たわけ!」
首を傾げながら疑問を述べる諏訪衆たちに怒声を浴びせた正俊は、太縄の切れた柵の辺りで立ち往生している味方に向けて顎をしゃくった。
「貴様らは『この勢い』と言うたが、進む事も出来ずに突っ立っておるこの状況のどこに勢いがあるというのだ? 本当に勢いがあるのなら、いまだにこのような所でもたついてなどおらぬわ!」
そう苛立たしげに怒鳴った正俊は、渋い顔で眉根を寄せる。
そして、一番手近にいた若い騎馬兵に問い質した。
「おい、先頭で斎藤陣に攻め込んだ者たちが今どうなっておるのか分かるか?」
「あ……い、いえ、それが……」
正俊の問いかけに、若い騎馬兵は当惑を隠せぬ様子で首を左右に振る。
「実は……硝煙と敵兵の姿に隠れてしまっていて、先頭の様子は詳らかには分かりませぬ。ただ、先ほどから盛んに銃声と馬の嘶き、それに喊声が上がっておりますゆえ、敵方と交戦に至っておるのは確かかと――」
「法螺や銅鑼の音はどうじゃ?」
「いえ……それは聞こえてきませぬ」
「聞こえて来ぬだと?」
「は、はい」
「マズいな……」
騎馬兵の答えを聞いた正俊は、一段と険しい表情を浮かべながら、周囲を見回した。
「小原はっ? 小原丹後はどこにおるッ?」
「こ、小原様は――」
歴戦の兵である正俊が見せる焦燥を見て、自分たちがただならぬ事態の最中にある事を薄々察した騎馬兵は、顔色を変えながら答える。
「小原様は……手槍を携え、いち早く敵陣内へ駆け入り――」
「――いかん!」
正俊は、騎馬兵の言葉を緊迫した声で遮り、目を大きく見開きながら叫んだ。
「恐らく、これは敵の策略ぞ! 貴様らは、まんまと罠の中へ誘き寄せられたのじゃ!」
「さ、策略……?」
「罠……これが?」
諏訪衆たちは、正俊の言葉に愕然とするが、その直後に上がった夥しい銃声と、笛の音のような風切音を上げながら脇を掠めた銃弾に慌てて身を竦める。
濛々と上がる硝煙と柵越しに、忙しない仕草で火縄銃の弾込めをしている斎藤軍の鉄砲足軽たちの姿を苦々しく睨んで歯噛みした正俊は、キッと表情を引き締めると、再び後方の武田軍の陣を指さし、緊迫した声で叫んだ。
「――陣内に入った者どもの事は保科隊が引き受ける! 貴様ら諏訪衆は、今のうちに疾く味方の陣へと戻り、典厩様の指示を待て!」
「で、ですが……」
「ええい、口ごたえするな! 隊を率いる将が後先も顧みずに敵陣へ突っ込んだせいで、斯様に指揮系統が乱れてしまった貴様らが居ても邪魔になるだけだというのが分からんのか!」
「……っ!」
納得できぬと抗弁しようとした諏訪衆の武者たちだったが、正俊の大喝にハッとした表情を浮かべ、それから大きく頷いた。
「か……畏まり申した!」
「分かったら、さっさと行け!」
と、諏訪衆を叱咤した正俊は、追いついた自隊の兵たちの方に向き直り、声を張り上げる。
「良いか! これより我々は、敵陣内に取り残された諏訪衆を救い出す! 敵の鉄砲に狙い撃たれぬよう、馬の脚は決して止めるな!」
そして、配下の兵たちが士気横溢な顔立ちを見て満足げに頷くと、手槍を頭上に大きく掲げながら、万雷の如き大音声で叫んだ。
「――者ども、参るぞッ!」
2
お気に入りに追加
216
あなたにおすすめの小説
四代目 豊臣秀勝
克全
歴史・時代
アルファポリス第5回歴史時代小説大賞参加作です。
読者賞を狙っていますので、アルファポリスで投票とお気に入り登録してくださると助かります。
史実で三木城合戦前後で夭折した木下与一郎が生き延びた。
秀吉の最年長の甥であり、秀長の嫡男・与一郎が生き延びた豊臣家が辿る歴史はどう言うモノになるのか。
小牧長久手で秀吉は勝てるのか?
朝日姫は徳川家康の嫁ぐのか?
朝鮮征伐は行われるのか?
秀頼は生まれるのか。
秀次が後継者に指名され切腹させられるのか?

小沢機動部隊
ypaaaaaaa
歴史・時代
1941年4月10日に世界初の本格的な機動部隊である第1航空艦隊の司令長官が任命された。
名は小沢治三郎。
年功序列で任命予定だった南雲忠一中将は”自分には不適任”として望んで第2艦隊司令長官に就いた。
ただ時局は引き返すことが出来ないほど悪化しており、小沢は戦いに身を投じていくことになる。
毎度同じようにこんなことがあったらなという願望を書き綴ったものです。
楽しんで頂ければ幸いです!
旧式戦艦はつせ
古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
枢軸国
よもぎもちぱん
歴史・時代
時は1919年
第一次世界大戦の敗戦によりドイツ帝国は滅亡した。皇帝陛下 ヴィルヘルム二世の退位により、ドイツは共和制へと移行する。ヴェルサイユ条約により1320億金マルク 日本円で200兆円もの賠償金を課される。これに激怒したのは偉大なる我らが総統閣下"アドルフ ヒトラー"である。結果的に敗戦こそしたものの彼の及ぼした影響は非常に大きかった。
主人公はソフィア シュナイダー
彼女もまた、ドイツに転生してきた人物である。前世である2010年頃の記憶を全て保持しており、映像を写真として記憶することが出来る。
生き残る為に、彼女は持てる知識を総動員して戦う
偉大なる第三帝国に栄光あれ!
Sieg Heil(勝利万歳!)
猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~
橋本洋一
歴史・時代
この世が乱れ、国同士が戦う、戦国乱世。
記憶を失くした優しいだけの少年、雲之介(くものすけ)と元今川家の陪々臣(ばいばいしん)で浪人の木下藤吉郎が出会い、二人は尾張の大うつけ、織田信長の元へと足を運ぶ。織田家に仕官した雲之介はやがて内政の才を発揮し、二人の主君にとって無くてはならぬ存在へとなる。
これは、優しさを武器に二人の主君を天下人へと導いた少年の物語
※架空戦記です。史実で死ぬはずの人物が生存したり、歴史が早く進む可能性があります
暁のミッドウェー
三笠 陣
歴史・時代
一九四二年七月五日、日本海軍はその空母戦力の総力を挙げて中部太平洋ミッドウェー島へと進撃していた。
真珠湾以来の歴戦の六空母、赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、瑞鶴が目指すのは、アメリカ海軍空母部隊の撃滅。
一方のアメリカ海軍は、暗号解読によって日本海軍の作戦を察知していた。
そしてアメリカ海軍もまた、太平洋にある空母部隊の総力を結集して日本艦隊の迎撃に向かう。
ミッドウェー沖で、レキシントン、サラトガ、ヨークタウン、エンタープライズ、ホーネットが、日本艦隊を待ち構えていた。
日米数百機の航空機が入り乱れる激戦となった、日米初の空母決戦たるミッドウェー海戦。
その幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
(※本作は、「小説家になろう」様にて連載中の同名の作品を転載したものです。)
天狗の囁き
井上 滋瑛
歴史・時代
幼少の頃より自分にしか聞こえない天狗の声が聞こえた吉川広家。姿見えぬ声に対して、時に従い、時に相談し、時に言い争い、天狗評議と揶揄されながら、偉大な武将であった父吉川元春や叔父の小早川隆景、兄元長の背を追ってきた。時は経ち、慶長五年九月の関ヶ原。主家の当主毛利輝元は甘言に乗り、西軍総大将に担がれてしまう。東軍との勝敗に関わらず、危急存亡の秋を察知した広家は、友である黒田長政を介して東軍総大将徳川家康に内通する。天狗の声に耳を傾けながら、主家の存亡をかけ、不義内通の誹りを恐れず、主家の命運を一身に背負う。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる