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第二部四章 衝突
烏峰と久々利
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武田軍が迫る烏峰城を救援する為に稲葉山城を発した、安藤伊賀守守就率いる斎藤軍六千は、申の刻 (午後四時)には旧明智城 (現在の岐阜県可児市瀬田長山)付近の集落に到着した。
そこで、先兵として千名ほどを烏峰城方面へ急行させた守就は、本隊はそのまま集落に止めて陣を布く事にし、集落の中で最も大きな村長の屋敷を本陣に定めたのだった。
配下の将たちと共に村長の屋敷で振る舞われた夕餉を平らげた守就は、余った飯で家人に作らせた握り飯の包みを持って、屋敷の離れへと向かった。
離れに上がり込み、一番奥の部屋の前まで歩いてきた守就は、破れ目のある襖越しに中へ声をかける。
「入るぞ」
「――どうぞ」
応諾の声が返ってきたのを聞いた守就は、襖の引手に手をかけ、ゆっくりと開けた。
四畳ほどの広さがある板間の真ん中に蝋燭の灯る燭台が立っており、その下に広げた地図と、顎に手を当ててそれを覗き込んでいるひとりの若い男の姿をぼんやりと照らし出している。
と、襖の開いた気配に気付いた男が、総髪の頭を小さく下げた。
そんな男のそっけない反応に僅かに苦笑した守就は、後ろ手で襖を閉めると、彼と向かい合うように、板間に敷かれた地図の反対側にどっかと腰を下ろす。
そして、持っていた握り飯の包みを男に差し出した。
「腹が減っただろう? ほれ、夕飯だ。食え」
「……お気遣い、痛み入ります。ありがたく頂戴いたしましょう」
握っていた碁石を碁笥に戻し、守就の手から竹皮の包みを受け取りながら、鎧直垂姿の男はニコリと顔を綻ばせる。その柔和な微笑は、まるで女子のように艶やかで美しかった。
そんな彼に笑み返した守就は、ふたりの間に広げられている地図を覗き込む。
「……どうじゃ? 良い策は浮かんだか? 半兵衛よ」
「……そうですね」
守就の問いかけに対し、竹皮の包みを開きながら、若い男――竹中半兵衛重治は小さく頷いた。
そして、焼き味噌が塗られた握り飯を一口頬張ってから、地図の一点を指し示す。
「明日になりましたら、軍を二手に分けます。一手は、先ほど先発した隊の後を追って烏峰城方面へ向かいます」
「ふむ……して、分けたもう一手は、何処へ?」
剃り上げた頭を撫でながら、半兵衛が指し示した地図を覗き込んだ守就の問いかけに、半兵衛は傍らに置いた碁笥の中から黒の碁石をひとつ取り出し、地図の一点に置いた。
「――こちらに」
「……八王子山か」
半兵衛の答えに、守就は唸る。
――八王子山とは、烏峰城の南東半里 (約二キロメートル)ほどの所に聳える小高い山である。
守就は、地図の上に記された『烏峰』という文字と半兵衛が置いた黒の碁石……そして、その更に下側の『久々利』という文字を交互に見ながら、鼻を擦った。
「成程……この八王子山なら、烏峰城に迫る武田信繁と久々利城を取り囲む馬場信春――いずれにも睨みを効かせられる……そういう事じゃな」
「はい」
守就の言葉に、半兵衛は小さく頷く。
「安藤様の御推察の通り。この八王子山に兵を置けば、久々利城と烏峰城を共に守る事が可能です」
半兵衛の言葉のとおり、烏峰城と久々利城の中間に位置している八王子山なら、何か変事が起こってもすぐに兵を出して即応する事が可能だ。
烏峰城へは、山間を抜ければ半刻とかからぬ時間で城の麓に着けるし、久々利城も直線距離で一里ほどしか離れていない。
久々利城に至るまでの道はところどころで曲がりくねっているが、平地を通るので兵を動かしやすく、間に可児川という川を隔ててはいるものの、川の水深は低く、渡るのは難しくないので、一刻とかからずに城まで辿り着ける。
八王子山は、二つの城を守るにはこの上なく適した立地だと言えた。
逆に、二つの城を攻め落とそうとする武田軍の側から見れば、八王子山にいる斎藤軍は厄介極まりない存在になるだろう。
――そんな半兵衛の意図を瞬時に読み取った守就は、小さく頷きながら、更に尋ねる。
「……して、兵をどのように割り振るつもりじゃ?」
「八王子山に千五百。残りは全て烏峰城方面へ……そのように考えております」
「千五百じゃと?」
半兵衛の答えを聞いた守就は、思わず眉を顰めた。
「それだけか? いくら何でも寡兵に過ぎるのではないか? 烏峰と久々利を囲む敵に対応する為には、もっと多勢を送った方が……」
「いえ、これで良いのです」
訝しむ守就の言葉に、半兵衛は穏やかな微笑を湛えながら、静かに頭を振る。
そして、碁笥から新たに碁石を摘まみ上げ、「何故なら」と言葉を継いだ。
「八王子山に置いた千五百の兵を動かすつもりは、元より御座りませぬから」
「……何? どういう意味じゃ?」
「囲碁で喩えるなら、八王子山に置く兵は、オサエの石ですから」
「オサエ? ……ああ、そういう事か」
半兵衛の言葉に当惑しかけた守就だったが、すぐにその意図を察し、小さく頷く。
「馬場信春が久々利城を落とした後に、木曽川沿いに北から攻め寄せてくる武田信繁と合流せんと烏峰城方面へ向かうのを躊躇わせる――それが狙いの布石という訳か」
「ええ」
守就の言葉に、半兵衛は口元を綻ばせた。
そして、地図の『久々利』という文字の上に白い碁石を置きながら、少し沈んだ声で言葉を続ける。
「……恐らく、久々利城はあと数日のうちに落ちるでしょう。城主の久々利悪五郎殿は、然程斎藤家への忠心が強くないようですし」
「攻め落とされる前に、自ら降伏を選ぶか……」
苦々しげに呟く守就に小さく頷いた半兵衛は、地図上の八王子山に置いた黒石を指さした。
「だからこそ、八王子山に味方を置く意味があるのです。久々利が落とされた後も、ここに置いたオサエの御味方がいる限り、馬場信春は妄りに動けませぬ」
「久々利から烏峰城に向かおうとすれば、直ちに山を駆け下りて横腹を衝ける位置にあるからのう」
そう言った守就だったが、ふと表情を曇らせ、半兵衛に言う。
「だが……であれば、敵も我らと同じように軍を二手に分けて、八王子山を囲む最小限の兵以外を全て烏峰城に向かわせるのではないか? ……少なくとも、儂ならそうするが」
「もちろん……馬場も、安藤様と同じ事を考えるでしょう」
半兵衛は守就の懸念に同意を示したが、すぐに口の端に微笑みを浮かべながら「ですが……」と続けた。
「ならば、その“最小限”の底を上げてやればいいのです。馬場に『八王子山の兵をどうにかせねば、到底久々利からは動けぬ』と思わせるほどに――」
そこで、先兵として千名ほどを烏峰城方面へ急行させた守就は、本隊はそのまま集落に止めて陣を布く事にし、集落の中で最も大きな村長の屋敷を本陣に定めたのだった。
配下の将たちと共に村長の屋敷で振る舞われた夕餉を平らげた守就は、余った飯で家人に作らせた握り飯の包みを持って、屋敷の離れへと向かった。
離れに上がり込み、一番奥の部屋の前まで歩いてきた守就は、破れ目のある襖越しに中へ声をかける。
「入るぞ」
「――どうぞ」
応諾の声が返ってきたのを聞いた守就は、襖の引手に手をかけ、ゆっくりと開けた。
四畳ほどの広さがある板間の真ん中に蝋燭の灯る燭台が立っており、その下に広げた地図と、顎に手を当ててそれを覗き込んでいるひとりの若い男の姿をぼんやりと照らし出している。
と、襖の開いた気配に気付いた男が、総髪の頭を小さく下げた。
そんな男のそっけない反応に僅かに苦笑した守就は、後ろ手で襖を閉めると、彼と向かい合うように、板間に敷かれた地図の反対側にどっかと腰を下ろす。
そして、持っていた握り飯の包みを男に差し出した。
「腹が減っただろう? ほれ、夕飯だ。食え」
「……お気遣い、痛み入ります。ありがたく頂戴いたしましょう」
握っていた碁石を碁笥に戻し、守就の手から竹皮の包みを受け取りながら、鎧直垂姿の男はニコリと顔を綻ばせる。その柔和な微笑は、まるで女子のように艶やかで美しかった。
そんな彼に笑み返した守就は、ふたりの間に広げられている地図を覗き込む。
「……どうじゃ? 良い策は浮かんだか? 半兵衛よ」
「……そうですね」
守就の問いかけに対し、竹皮の包みを開きながら、若い男――竹中半兵衛重治は小さく頷いた。
そして、焼き味噌が塗られた握り飯を一口頬張ってから、地図の一点を指し示す。
「明日になりましたら、軍を二手に分けます。一手は、先ほど先発した隊の後を追って烏峰城方面へ向かいます」
「ふむ……して、分けたもう一手は、何処へ?」
剃り上げた頭を撫でながら、半兵衛が指し示した地図を覗き込んだ守就の問いかけに、半兵衛は傍らに置いた碁笥の中から黒の碁石をひとつ取り出し、地図の一点に置いた。
「――こちらに」
「……八王子山か」
半兵衛の答えに、守就は唸る。
――八王子山とは、烏峰城の南東半里 (約二キロメートル)ほどの所に聳える小高い山である。
守就は、地図の上に記された『烏峰』という文字と半兵衛が置いた黒の碁石……そして、その更に下側の『久々利』という文字を交互に見ながら、鼻を擦った。
「成程……この八王子山なら、烏峰城に迫る武田信繁と久々利城を取り囲む馬場信春――いずれにも睨みを効かせられる……そういう事じゃな」
「はい」
守就の言葉に、半兵衛は小さく頷く。
「安藤様の御推察の通り。この八王子山に兵を置けば、久々利城と烏峰城を共に守る事が可能です」
半兵衛の言葉のとおり、烏峰城と久々利城の中間に位置している八王子山なら、何か変事が起こってもすぐに兵を出して即応する事が可能だ。
烏峰城へは、山間を抜ければ半刻とかからぬ時間で城の麓に着けるし、久々利城も直線距離で一里ほどしか離れていない。
久々利城に至るまでの道はところどころで曲がりくねっているが、平地を通るので兵を動かしやすく、間に可児川という川を隔ててはいるものの、川の水深は低く、渡るのは難しくないので、一刻とかからずに城まで辿り着ける。
八王子山は、二つの城を守るにはこの上なく適した立地だと言えた。
逆に、二つの城を攻め落とそうとする武田軍の側から見れば、八王子山にいる斎藤軍は厄介極まりない存在になるだろう。
――そんな半兵衛の意図を瞬時に読み取った守就は、小さく頷きながら、更に尋ねる。
「……して、兵をどのように割り振るつもりじゃ?」
「八王子山に千五百。残りは全て烏峰城方面へ……そのように考えております」
「千五百じゃと?」
半兵衛の答えを聞いた守就は、思わず眉を顰めた。
「それだけか? いくら何でも寡兵に過ぎるのではないか? 烏峰と久々利を囲む敵に対応する為には、もっと多勢を送った方が……」
「いえ、これで良いのです」
訝しむ守就の言葉に、半兵衛は穏やかな微笑を湛えながら、静かに頭を振る。
そして、碁笥から新たに碁石を摘まみ上げ、「何故なら」と言葉を継いだ。
「八王子山に置いた千五百の兵を動かすつもりは、元より御座りませぬから」
「……何? どういう意味じゃ?」
「囲碁で喩えるなら、八王子山に置く兵は、オサエの石ですから」
「オサエ? ……ああ、そういう事か」
半兵衛の言葉に当惑しかけた守就だったが、すぐにその意図を察し、小さく頷く。
「馬場信春が久々利城を落とした後に、木曽川沿いに北から攻め寄せてくる武田信繁と合流せんと烏峰城方面へ向かうのを躊躇わせる――それが狙いの布石という訳か」
「ええ」
守就の言葉に、半兵衛は口元を綻ばせた。
そして、地図の『久々利』という文字の上に白い碁石を置きながら、少し沈んだ声で言葉を続ける。
「……恐らく、久々利城はあと数日のうちに落ちるでしょう。城主の久々利悪五郎殿は、然程斎藤家への忠心が強くないようですし」
「攻め落とされる前に、自ら降伏を選ぶか……」
苦々しげに呟く守就に小さく頷いた半兵衛は、地図上の八王子山に置いた黒石を指さした。
「だからこそ、八王子山に味方を置く意味があるのです。久々利が落とされた後も、ここに置いたオサエの御味方がいる限り、馬場信春は妄りに動けませぬ」
「久々利から烏峰城に向かおうとすれば、直ちに山を駆け下りて横腹を衝ける位置にあるからのう」
そう言った守就だったが、ふと表情を曇らせ、半兵衛に言う。
「だが……であれば、敵も我らと同じように軍を二手に分けて、八王子山を囲む最小限の兵以外を全て烏峰城に向かわせるのではないか? ……少なくとも、儂ならそうするが」
「もちろん……馬場も、安藤様と同じ事を考えるでしょう」
半兵衛は守就の懸念に同意を示したが、すぐに口の端に微笑みを浮かべながら「ですが……」と続けた。
「ならば、その“最小限”の底を上げてやればいいのです。馬場に『八王子山の兵をどうにかせねば、到底久々利からは動けぬ』と思わせるほどに――」
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