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だるまパイロットと生体ユニット

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僕は幼少期奴隷商人に売り飛ばされ四肢をほぼ付け根から落とされてまあ要するに数年間そういう事をされた。

サイバーパンク義賊集団に救出された後、その集団の知り合いに引き取られる事になった。
僕は適性があったとかで、可愛い鳥型の戦闘機に常に乗り込み暮らす事になった。

乗り心地はとても良く、手足が無くても接続された装置が何でもやってくれるので何も困らなかった。
サイバーな服を着込み、何不自由なくとても快適に過ごし、僕はその戦闘機が大好きになった。

「はい、今日も戦闘頑張ろうね」
「うん、頑張ろ」

搭載された僕よりちょっと年上くらいの男の子のAIが相棒だった。

「えーっと、今日のお相手は悪徳傭兵集団、50機くらいね」
「まあ装備しょぼそうだし、僕等強いし、どうにでもなるでしょ」
「じゃ、いっくよー」

「よーし無傷で完全制圧!」
「お疲れ様ー」


「この機体本当すごいよね、可愛くてかっこいいし」
「うん、もう300年くらい前に製造されたんだけどね」
「へー、そんなに歴史あるんだ」
「で、毎回代替わりでAIが搭載されて、乗った子ナビゲートすんの」
「ふーん、そうだったんだ」
「うん、俺も昔お前みたいに搭乗してたし」
「え、そうなの?」
「うんまあ、非合法の超アレな実験で切り落とされて死にかけてたんだけど助けられてさ」
「…え、そうだったんだ」
「まあ乗り込んだ時は相当鬱だったどすぐ慣れたし、当時の相方がすごい良い奴だったし」
「…そうだったんだ」
「で、俺が寿命迎えた後は、脳みそ摘出されて組み込まれて生体ユニットになったの」
「…生体ユニットだったんだ」
「まあ、俺あいつやこの機体にすごくお世話になったし感謝してるし、今楽しいし全然良いよ」
「…そう思ってくれてるなら、良いけど」
「で、お前も寿命になったら同じように脳みそ移植されるから、まあ頑張ってね」
「…うん、僕もこの機体大好きだから、それは全然良いけど」

「…あのさ、お前のその相方って、今どうなったの?」
「あー代替わりする時に、記憶と人格データ化されてAIチップになるの。で、今はアンドロイドとして元気にやってるよ」
「あ、そうなんだ。それは良かった」
「うん、たまに通信するけど、すごく元気そうだしさ」
「そっか、良かった。じゃあ今度直接会いに行こうよ」
「あー良いね。ありがとね」
「うん、全然良いよ。あーごめん僕トイレ行きたくなった」
「いーよ。じゃあこの穴にして。その後シャワー浴びようね。いい匂いの石鹸充填したよ」


数十年後。

「これからよろしくね。まあ、しんどいだろうけどすぐ慣れるよ」
「…うん、よろしく」
「何でも僕がやってあげるし平気だよ。ご飯美味しいしお風呂気持ちいいし、シート寝心地良いでしょ?」
「…うん、すごく良い」
「でさ、ちょっと辛い事聞いちゃうけど、お前何でそうなったの?」
「…ひどい奴に、売り飛ばされて」
「あー、僕と一緒だ」
「え、そうなの?」
「うん、僕昔ね」


少し後。

「もうすっかり慣れたね」
「うん、ここ超快適だし、毎日楽しい!」
「それは良かった。今日も戦闘頑張ろうね。大した事ないし楽勝だよ」
「うん!…あ、お前の元相方ってさ、今どうしてるの?」
「あー、あいつもアンドロイドになってめっちゃ元気にやってるよ。良く通信するし」
「へー、じゃ、今度直接会いに行こうよ」
「うん、ありがと!」

さらに数十年後。

「僕もお役目終えてアンドロイドになれたし、お前とずっと一緒に居れて本当嬉しい!」
「うん、俺も最高に嬉しい!」
「僕の世話してたあいつも毎日楽しそうにやってるしさ、良かった」
「その内あいつもアンドロイドになれるしね」
「もうアンドロイドだし年取らないしデータあるから絶対死なないし。もう未来永劫超幸せ!」
「うん、俺も未来永劫超幸せ!」
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