魔法少年だるま☆マギカ

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劇場版魔法少年だるま☆マギカ 君と僕の楽園

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■劇場版 ここまでのあらすじ

アレだけど楽しい日々を送る僕達4人と最近知り合った闇の深い先輩は、ある日突然謎の無限ループに巻き込まれる。
町の外に脱出しようとするも、強固な障壁に阻まれ出る事が出来なかった。

先輩はこの現象と黒幕に心当たりがあるようだが、聞いても暗い面持ちで口を固く閉ざしていた。

住民もなにか様子がおかしく皆けらけらと笑っており、時折魔獣では無いが不気味な操り人形のような少年少女達が現れ僕達に襲い掛かった。

その後事件を調査していくうちにラスボスの配下の、戦友で最愛の恋人を失い蘇らせたが心までは再生できず、更なる力を求めてラスボスの部下になったネクロマンサーの魔法少年と死闘を繰り広げどうにか勝利し(戦闘シーンは神作画)、死に際に元凶のクレイジーサイコホモ化したラスボスの元魔法少年の名を呟きついに先輩がその哀しい過去を語りだした。


「…僕は幼少期から不治の病に侵され、満足に学校にも通えずずっと入院生活を送っていた」

「それを不憫に思った僕をずっと慕ってくれていた1学年下の男の子が、魔法少年になるのと引き換えに僕の病を治してくれたんだ」
「…そうだったんですか」

「とても感謝した僕は、彼の告白を受け入れ恋仲になった。そして僕も魔法少年となり共に戦うようになった」

「…でも日々の言動から滲み出る彼のアレっぷりに引いてしまい、だが恩人には変わりないので我慢して付き合っていたがある日、密かに憧れていたクラスメイトの男の子を目の前で魔獣から救った時告白され、僕は悩みつつもそれを受け入れてしまった」

「…彼には絶対に知られないようにしていたが、彼はアレだし聡い子なので少し後に気付かれてしまった。泣きながら詰め寄られたが、僕は彼を受け入れられなかった」

「そのすぐ後に、彼は僕のクラスメイトを殺そうとした。危うい所で阻止したが、もうそれから彼とは永遠に仲違いしてしまった」


「…それから彼は消息不明となったが、1年程後に恐ろしい魔獣となったと魔法長老から聞かされた。彼と僕の担当妖精は彼が魔獣化した際に殺され、そのまま消滅したらしい」

「…彼は昔時空間を操り、多数の人形を生み出して戦う子だった。おそらく彼は僕に復讐しようとしているのだろう」

「…そういう事だったんですね」
「…辛い事を話させてしまい、すみません」

「…いいよ。いつかはきちんと話さなければいけなかった事だから。…僕が責任を持って、彼を止めるべきだった」

「…かつての戦友で恩人を殺すなんて、無理ですよ」
「…ええ、僕も同じ立場だったら出来ないと思います」
「…そうだな」
「ああ、先輩は悪くねえよ」

「…皆、ありがとう。じゃあ、早く彼の元へ行こう」


そうして僕達は先輩とラスボスの子がかつて通っていた思い出の中学校に向かった。

中学校は大きく時空が捻じれ奇妙に変形し、いびつな城のようになっていた。

内部には多数の魔獣や、人間サイズの操り人形たちがいて襲い掛かって来た。

「…うわー、さっきのネクロマンサーの子の召喚するゾンビやスケルトン軍団の戦いで消耗してるからキツいなー」
「…彼も、可哀想な子だったね」
「…ああ、ひたむきな恋心を利用されて気の毒にな」
「…だが、最期に魂で寄り添っていた恋人と再会出来て良かった」

「…うん、あの二人も優しい良い子だから、天国できっと幸せになれるよ」

「…僕達も、そうなれれば良かったんだけどね」

「………」

悲しそうに自嘲する先輩に、僕達は何も言えなかった。
普段やかましいケッソンも、この時ばかりは沈痛な面持ちで黙っていた。


そして無数の魔獣や使い魔達を蹴散らし遂に城の最上部へとたどり着いた。

そこは先輩と彼が出会った、病室を象った空間だった。


「…来たね、待ってたよ」
「…久しぶりだね。こんな形で再会したくは無かったけれど」

クレイジーサイコホモなその子は、長い黒髪ストレートの少し冷たそうだが整った顔立ちの、制服を模したドレスを着た人形の手足を持つ子だった。

「…知っているとは思うけれど僕は君と仲違いした後全てを呪い、まずはこっそり見物し嘲笑っていた魔法界のクソ女を始末した」
「…嘲笑っていたって?」

「未来視の力で僕達の恋が成就しないのを知っていたのに、助けの手も差し伸べず可愛い子の悲恋系BL最高超性癖めっちゃしこる女だけどありがとうございますーとか何とか下衆な事を言っていた高位の女神だよ」
「うっわー、最低だな」
「女神様にしても悪趣味だね」
「いや特殊性癖の君も大概だけどね」
「えー、だるまは高尚な趣味だよ」

「綺麗な顔をもう二目と見られないくらいにめちゃくちゃに潰した後えげつなく殺したけれど、苦しむ僕を嘲笑った女神やこんなクズをのさばらせておく魔法界も、こんなに残酷な運命を僕達に課した世界も何もかも許せなかった。どんな化け物になり果てても、魔法界もこの世界も全て叩き壊してやりたかった」
「…すべてを呪いたくなる気持ちは分かるけれど、それは駄目だよ」


「何とでも言うといいさ。そして僕はすぐに女神殺しの罪で捕まり魔獣に変えられ、重罪人を収監する魔法監獄の地下深くへと封印された」
「…それが、先輩が殺された例の暴走事件っピね」

「魔力を高めて脱獄するまで1年くらいかかったけれど、僕は恨みの念から悪魔としてだがかつての姿に戻る事に成功した。そしてすぐに監獄を叩き壊し逃げ出し、居合わせた貴様の先輩妖精、かつての僕達のパートナーのセツダンを殺し喰らい、さらに魔力を高めた」
「…妖精たちの中でもトップクラスに優秀な先輩が、あっさり食べられるなんてっピ」
「…彼もCV石〇彰でちょっと倫理観がアレな部分はあるけど、良い子だったのにひどいよ」

「そうして僕は魔獣化した力を振るい魔法界を壊滅状態にした後、現実世界へ戻り君を無限空間へ閉じ込めた。一緒にいたお前達も閉じ込めてしまったのは想定外だったけどね」
「…先輩の気持ちも分かりますが、それは駄目ですよ」
「ええ、罪も無い人を巻き込んではいけません」
「クレイジーサイコホモたる所以だ」
「あー、まあ俺も世界をかなり呪ってた時期はあったがやっぱ駄目だな」

「…不良の君は多少同情するけど、他の子達はきちんと愛情を受けていただろう。僕は親から直接の暴力は受けないものの愛は一切なく、世間体のためだけに育てられた」
「…そうだったね」


「毎日冷たい目で見られ機械的に世話をされ、酷い事を言われ続け。ある時軽い病気で少し入院し、君と出会うまで僕の世界に愛は無かった」
「…うん。初めて会った時の君、本当に可哀想だった」

「…君は幼い頃から入退院を繰り返し、自分では満足に歩く事も出来ず、いつ終わるとも分からない命だったのに運命を受け入れてとても前向きで優しかった。僕以上に酷い境遇なのにどうしてこんなに優しくなれるのかと、僕は変わりたくなった」
「…うん、ありがとう」

「その時僕は初めて、人の為に何かをしたいと思うようになった。初めての感情だった」
「…そうなんだ」

「…それから間もなく、僕の潜在能力を見込んだセツダンがスカウトにやってきた。希望があれば何でも望みを一つ叶えてくれると言ったので、僕は迷わず君の病気を完治させる事を願った」
「…ありがとうね」

「恩を着せたくはなかったけど僕は君にそれを伝えたら、とても感謝してくれたね。そうしてすぐに告白し、僕達は恋人となったんだ」
「…うん、そうだね。でもそれから間もなく君のアレっぷりに気付いたけど」

「まあ確かにちょっと舞い上がってたのは分かるけど。魔獣をそれはもうえげつない殺し方して爆笑したり、一日30回くらい鬼電したり、しょうもない内容のLINE送りまくって即返信を強要したくらいじゃない」
「う、うっわー」
「うん、それは引くね」
「まごうこと無きクレイジーサイコホモだ」
「それは冷めるわ」


「それでも君は僕に付き合ってくれた。…でも裏であんな奴と仲良くしてたなんて。この裏切り者」
「…ごめんね」

「どうして僕じゃ無くCV下野〇のあんなつまらない奴にくっつくの、僕を見てよって何度も詰め寄ったけど。君はもう僕を見てくれなかったね」
「いやCV下野〇の時点でつまらなくないでしょ」
「この作品結構声優陣豪華だよね」
「クレイジーサイコホモもCV緒方〇美だな」
「ヤンデレ演技似合うよね」

「そういう訳でCV下野の無駄遣いなクソを抹殺しようとしたんだけど君は障壁で阻止して、僕に完全な絶縁を告げたよね」
「…うん、そうだったね」

「その時天空からめっちゃ萌えるーいいわーとかクソウザいあの女の声が聞こえて来て、セツダンもその事実に気付きつつ黙認していたのを知り、僕はもう何もかも許せなくなった」
「…それは、そうなってしまうよね。気付いてあげられなくてごめんね」

「…今更もう遅すぎるよ。で、邪魔なお前ら全員抹殺して、君は当然僕の事好きになんてなってくれないだろうから心を封じて、一生素敵なお人形として僕の傍に居てもらうから」
「…悪いけど、そうはさせないよ」

「悪いけど、魔法界をほぼ壊滅させた僕にかなうなんて思わない方が良いよ。魔法長老も拉致監禁してギリ死なないレベルの拷問を与えて魔力を吸い続けているから」
「…性癖はアレすぎるけど老人を虐待するなんて、あんまりだよ」
「うん、僕も同じ趣味の持ち主として許せないね」
「性癖がアレな事自体は罪では無いからな」
「まあ普通に引くけどな」

「あーもうお前達クレイジーサイコホモだのなんだの鬱陶しいな。僕の恋路の邪魔をするな。全員死ね」
「…君と戦いたくは、無かったんだけどね」


そうして迫真のヤンデレ演技を見せ無数の使い魔をけしかけて来た自覚のないクレイジーサイコホモ。

魔力を酷使し変身解除していたので僕達はすぐにダルマジェムを掲げ、再度変身した。

劇場版用に新規に書き下ろされた各々の変身バンクの後、僕達は残り少ない魔力を振り絞り戦闘を開始した。


「…やばいな、これ」
「…うん、魔力がもう限界」
「…俺も武器を生成出来なくなって来た」
「…あー、俺も腕かなり透けて来たな」

「…皆、僕が何とか護るから」

先輩が防御障壁を必死に張ってくれていたが、猛攻に耐え切れず次第にヒビが入り始めた。

「やめるっピ!もうこんなひどい事しないでっピー!!」

ひび割れた障壁からケッソンが飛び出し、クレイジーサイコホモにぽかぽかと短い腕で殴りかかった。

「…五月蠅いな、このCVハ〇太郎の下等生物が。貴様から死ね」


そう吐き捨て腕をブレードに変形させたクレイジーサイコホモの手により、ケッソンはそれはもうバラバラのモツや味噌丸見えのえげつない状態にされそのまま吸収された。劇場版なのでモザイク無しだった。

「…いつもの事だけど、ひどいよ」
「ここまでのケッソン虐はなかなか無いね」
「まあ酸の海にぶち込まれた事はあったがな」
「あれやったのお前だろ」
「ウザい奴には法に触れない程度に容赦しない主義なのでな」

「いや自宅爆破は完全に法に触れるでしょ」
「相当アレな問題を起こしており敵が多い奴だったので敵対組織の仕業と思われるように仕組んだから問題ない」
「この子怖い」


「…な、なんだこの光は。やめろ、貴様等」

その時クレイジーサイコホモの体内から強い光が放たれ彼が苦しみ始めた。

吸収されたケッソンと合流したセツダンと、魔力の大半を吸われていた魔法長老が反抗し内部から攻撃を与えてくれたのだ。

その光はどんどん広がり、僕等の魔力も回復していった。

「…皆、ありがとう」


「…ふざけるな。皆して僕を嘲笑っていたクズや特殊性癖の変態のくせに。こんな奴らに負けられるか」
「いや君も相当クズで変態だけどね」
「自覚無いのやばすぎるよね」
「根っからのクレイジーサイコホモだ」
「ここまで振り切ってる奴もそうそういねえよな」
「ある意味人気出るタイプだよね」

「…もう許せない。皆呪われてしまえ」

そう言ってクレイジーサイコホモは本性を現し、禍々しいSAN値が減りそうな醜悪な外見の巨大な魔獣になった。

首から上の頭部はなく、頭の代わりに醜い黒い蛾が羽ばたき心臓部にはハート形の穴が空いていた。

「…可哀想だけど、こんなクレイジーサイコホモには負けられない」
「うん。皆、行こう!」


そうして僕達は満ち溢れた魔力を解放し、劇場版限定の第二フォームに変身した。

だるまだが全員魔法で生成された綺麗な手足が付いていた。

テンションの上がる挿入歌をバックに壮絶な死闘を繰り広げ、全員で猛攻を加え怯んだ隙に先輩が悲しそうに聖剣をクレイジーサイコホモの咽喉に突き立てた。

「…ひどい。どうして、こんな事するの」

「…ごめんね。もう君を止めるには、こうするしか無いから」

クレイジーサイコホモの全身から瘴気が漏れ出し、彼は変身前の学生の姿に戻り力なくくずおれていた。

「…やっぱり、こうなっちゃうんだね」

「…君の事愛してあげられなくて、ごめんね」

「…良いよ。君やセツダンのドン引き具合から、僕のアレっぷりも薄々自覚していたから」

「…そっか」


「…ねえ、僕間違いなく地獄行きだろうけどさ。もし来世でまた会えたら、その時は恋人になってくれる?」
「…うん、いいよ。約束する」

そう言って先輩は静かにクレイジーサイコホモを抱きしめた。

「…ふふ、ありがと。嬉しい」


少し泣きながら微笑み、クレイジーサイコホモは無数の黒い蝶になり消えて行った。

「………」
「…先輩、大丈夫ですか?」

先輩の白い羽や聖人のようなローブに蝶が数匹吸収され、羽と衣装が一部黒く染まっていた。

「…ちょっと、呪われちゃいましたね。すぐダークシードで治療しましょう」

「…ううん、大丈夫。これは僕の罪の証だから。一生背負っていくよ」

「…そうですか」


その時、世界の創造主が死んだ影響か、城が大きく揺れ始めそこかしこの空間が崩壊し始めた。

「…彼が消滅したため、おそらくこの世界ももうじき崩壊するだろう。皆、早く脱出しよう」
「ええ、そうですね」

「…でも、この世界から脱出できるかな」
「大丈夫です。僕が案内します」

その時クレイジーサイコホモから解放されたセツダンが現れ、CV石〇ボイスで的確に僕達を誘導してくれた。

「ありがとう。じゃあ皆、気を付けて行こうね」
「ええ、行きましょう!」


そうして僕達は無事無限空間を脱出し、現実の先輩たちの母校の校庭へと戻る事が出来た。

「うわー、もう朝になってる」
「徹夜するなんて初めてだね」
「あー、めっちゃ眠い。帰ったら速攻寝よ」
「日曜で良かったな」

「………」

「…先輩、やっぱりしんどいですよね」
「…ええ、クレイジーサイコホモとはいえかつての恋人を手にかけてしまったんですものね」

「…うん、でも他の子の手を汚させたく無いし。僕が決着を付けられて、良かったんだと思う」

「…そうかもしれませんね」
「…うん、君は何も悪くないよ」
「…ありがとう、セツダン」
「…僕も、あの女神様の性悪ぶりには引いていた。こんな事になる前に、何とかするべきだったのだと思う」

「…ありがとう。でも君も優秀とはいえ神や長老には逆らえない妖精だから、仕方ないよ」
「…うん。長老様も、今回の事態を重く見て再発防止のために動いてくれると思うよ」
「…そうだね。長老も性癖はアレだけど、基本は善良な方だからね」

「うん、まあ魔法界やっぱり全体的に倫理観がアレだけどね」
「まあ、現実世界も十分アレだから仕方ないよ」
「脚本担当がアレだからな」


「さあ、お腹空いたし早朝で悪いけど、お姉さんの所行って朝ご飯作ってもらおっか!」
「うん、お姉さんも心配しているだろうし、きっと無事なのを知ったら喜ぶと思うよ」
「あー、僕和風ハンバーグ定食食べたいな」
「俺はスターゲイジーパイが食べたい」
「お姉さんのカフェ結構ネタメニューあるもんな」
「アレな町だからね」


「あれ、何か忘れてないっけ?」
「んー、何だっけ?まあ忘れるくらいだから大した事無いんじゃない?」

「うん、たぶんそうだろうね」
「さ、早く行こ!」

そうして憧れは止められない深淵へ向かうダークファンタジーアニメの劇場版EDで流れそうな荘厳なエンディングテーマの後、おまけパートにて。

「ちょっとみんな、ぼくを忘れないで欲しいっピー!!!」

崩壊しきった城の瓦礫の中からケッソンが復活した。


※劇場版二作目は南国が舞台のギャグテイストなコミカルタッチの作品。同時上映は日曜夕方にやってそうなホビー系アニメっぽいノリの達磨欠損アニメ。

メイン4人のCVはたぶん新人声優。先輩はCV緑〇光とかその辺りの大御所声優。
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