たっくんとゆうちゃん

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第五章

特別ショウタイム

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「ほい、今度も眷属出没情報が出たから行って来て。今回結構危なそうだから皆で行ってね」

「はーい、皆で行くの結構久しぶりですね」
「うん、やっぱ皆で行くと楽しいよね」

「で、今度はどんな神様だろうね」
「うん、会うの楽しみだね」


今度の現場はなんと毎年某有名ロックフェスが行われる大型ステージだった。

「ここ、撤去されずそのままなんだね」
「うん、もう毎年やるからある時からそのまんまになったみたい」
「…俺もライブは殆ど観に行かないから新鮮だ」
「俺は結構好きだけど、ここまで大型のは初めてですねー」
「オレは良く分からないが新鮮だ」

その会場の少し手前に、彼女は居た。

「ああ、君達が例のヤバ神に対抗してくれてる子達ね。いつもありがとね」

その人は若くて美しく、かなり際どい恰好をしたお姉さんだった。


「聞いた事あるかもだけど、私はアメノウズメ。よろしくね」

「あー、例の事件の時裸踊りされた方ですよね」
「そうそう。良く知ってるね君」
「はい、有名なので」
「うん、そういう訳で私主に芸能とかの神なんだよね。だから今回遣わされたの」
「あー、なるほど」

「って事は、やっぱり今回の眷属も芸能系なんですか?」
「うん、そうだよ。かなり最近の都市伝説だけどね。ほら、七人ミサキっているじゃん」
「あー、聞いた事あります」
「うん、常に七人グループで行動して、仲間入れ替わり制で増やす奴だよね」
「…創作でも有名だな」
「結構厄介な奴ですよねー」
「…オレも読んだ事がある」


「そうそう。それの現代版で、まあ90年代くらいに某繁華街で援交とかそういう系の不幸な事件で自殺しちゃったりした少年少女がヤバいグループ作って、無差別に祟りまくってるの」
「うわー、可哀想だけどヤバいですね」
「うん、早く除霊しないとだね」
「そうそう、で、妖怪化しちゃってるし目付けたヤバ神により更に強化された地獄のアイドルグループになっちゃってるから、皆気を付けてね」

「はーい、気を付けます」

そうしてそのステージは突如ライトアップされ、地獄のライブが始まった。


「みんなー、来てくれてありがとー!七人ミサキでーす!」
「イエーイ!皆盛り上がってるー?」
「ほらほらサイリウムやキンブレ振ってー」
「振らなきゃ祟っちゃうぞ~」
「まあ振っても最後には呪い殺しちゃうけどー☆」

「う、うっわー。マジで地獄だ」
「テンション高くヤバい事言ってるねー」
「いつの間にか周囲に悪霊が湧いているな」
「うん、サイリウムとか振りまくってるし」
「バイブスぶち上げだな」

「はーい、ヤバ神様により私達強化されまくってるので、今回のライブ終了したら全国に強制配信しまーす!」
「当然配信でも聞いたら呪われちゃうからね~」
「全国へ響け私達の呪い!」

「じゃ、まずは一曲目、《堕胎すんなこの野郎》からいっくよー!」


「う、うわあ。マジでヤバいなこいつら」
「こんなもの配信されたらこの国ヤバいね」
「…パンデミックは避けないとな」
「うん、こんなライブは嫌だ」
「…早く中止させよう」

「はーい、じゃあ私もギリギリな踊りで呪い中和させるから頑張ろうね。あ、分かってると思うけどDCやDKには刺激強すぎだから見ない方が良いよ」

「は、はーい」


俺はちょっと気になったがまあ頑張って見ないようにして、ライブを中止させるべく頑張った。
うんまあどっちかと言うと男の子の方が好きだし。

他の皆はほぼ平気そうだったがアカネはかなり気になっていた。射撃けっこうミスっていた。

俺達は最悪なライブを全力で阻止すべく頑張った。MCの時は流石にご飯食べたりして小休止した。


どうにかセトリ8曲目辺りで完全沈黙に成功した。

「う、うわああああん。君達ひどいよ~」
「もー、君達も相当可哀想なのに何で分かってくれないのー」
「僕達お友達になれそうじゃない~」
「アンコールしたかったのにぃ~」

「ヤバ神様、ごめんなさーい!!」

そう残念そうに言い残し、最後までテンション高く彼女たちは消えて行った。


「ぜ、ぜーぜー。流石に強力なの7人相手はキツかった…」
「うん、ヤバい歌とダンスで相当消耗したしね…」
「…俺やかんばせも精一杯中和したがな…」
「…なんか、しばらくライブはいいや…」

「いやー、君達ほんとにお疲れ様。私もここまでの長丁場は久々だったよー」

「あ、アメノウズメさんも本当ありがとうございました…」

「んー?元気そうな君、鼻血出てるよ?」
「…す、すみません。ちょっと見ちゃいました」

「…あ、アカネお前」

「すいません、好奇心を抑えきれませんでした…」
「うんまあパパもやらかしてるからね、わかるわかる」


「あー、確かにあの人もやらかしましたからね…」
「壮大な夫婦喧嘩の原因だからね…」

「まあ君も若いし仕方ない仕方ない。でも刺激強すぎたでしょ。ほらあそこもちょっとアレだし」
「…ほ、ほんとすみません…」

「まあ後で頑張って治めなよ」
「は、はい。…そうします」

「…アカネほんとお前…」

「で、まあ君達本当ヤバアイドルのヤバ配信阻止してくれて偉かったから、私からも何かお礼するね」
「わー、ありがとうございます。でも芸能関係でお礼ってどんなですか?」


「うんほら、君達みんな可愛かったり綺麗だから、そういう系の分野に進出させてあげる。あーでも組み立てられてる君は申し訳無いけど身分が特殊すぎて無理かも、ごめんね」

「あ、別に僕は世間とかの評価気にしないタイプなんでどうでもいいです」
「あー、そうなんだ。君だけごめんねー」

「え、嬉しいけど俺は手足アレだけど大丈夫ですか?」
「うん、まあ当然あんまり表には出ないけど、そういう倒錯したモデルさんとかファッション誌アングラな界隈には結構あるから需要あるよ」

「…そ、そうなんですか。知りたかったような知りたくなかったような」


「まあ当然一般の書店とかには無いけどね。要するにそういう系のお店とかネット上では余裕であるよ」
「…な、なるほど…俺年齢的にそういう世界は見れませんけど…」
「…たっくん僕とアレ以外は真面目だからね…」

「…俺も若干複雑だが、新たな経験が出来るのは嬉しい」
「うん、俺も。出会いありそうだし」
「…オレもやや複雑だが、まあ褒められるのは悪い気はしない」

「うん、という訳で速攻スカウト来ると思うからお楽しみにー。じゃあねー!」


そう彼女はくるりと舞い、華麗に消えていった。

なおアカネはその辺の物陰でした。後で仮設トイレで洗った。


「いやー、ヤバアイドルグループは大変だったけど芸能関係進出は嬉しいね。良かったねたっくん」
「う、うん。倒錯してるのかなり怖いけど」
「まあ、そういうお友達たくさん出来るからいいじゃん」
「ま、まあそうだね」

そんな訳でぞろぞろと帰宅し、数日後早速倒錯したスカウトが来た。
やっぱり若干怖かったが、まあお金になるしこれも良い経験かと思い受ける事にした。


俺は自分で言うのもなんだが、拉致られてアレされるくらいなので容姿にはそれなりに自信があった。
綺麗なお人形のような義肢も相まって速攻でかなりの人気が出た。
モデル名はまあやっぱりたっくんにした。

倒錯したモデル仲間の子もやっぱり生まれつきか後天的かの差はあれど、俺と同じく相当苦労してきた子達なのですぐに意気投合して仲良くなった。
全員相当しんどい物を持っていたが、各々それなりに受け入れて明るく楽しくやっていた。
良く打ち上げでカラオケ行ったりファミレスで乾杯したりした。(出来ない子もいるけど)

そんなこんなで少し後。

「いやーたっくん、すっかりその界隈では人気者だねー。母さん達鼻が高いよ」
「うん、正統的にたっくんのビジュアルが認められて父さんも嬉しいよ。副業も順調で更に経済的に余裕出たしね」

「うん、まあやっぱり若干複雑だけどありがとー」


因みにかぐややかんばせ達ももちろん速攻でかなりの人気が出た。
アカネもなかなか人気出たが、未だに出会いは掴めていないらしい。
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