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番外編集 アレな世界のいろいろな話
はこべが黄泉返った時の事
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僕が捧君と出会いユニットを組み、半年ほどが経ったある日の事。
「ふう、今回のリハはまずまずですね。少しずつではあるもののファンの方も増えていて嬉しいです」
「ええ、はこべ君長生きしているだけあって、歌詞やトークにも説得力がありますしね。…ああ、僕達知り合ってからもうそれなりに経つので、差し支えなければ聞いても良いですか?」
「はい、何でしょう?」
「…辛かったら言わなくて結構ですが。はこべ君が一度死んでしまった時の事、ユニット仲間として詳しく知っておきたいと思いまして。…こういう世界で理不尽な死に方という事ですので、おおむね想像は付きますが」
「…ああ、構いませんよ。それなりに陰惨な話になりますが、大丈夫でしょうか」
「ええ、僕もボランティアの活動中かなりアレな物を見慣れていますので大丈夫だと思います。お気遣いなくどうぞ」
「…分かりました。僕が一度死んだのはもう500年近くも前になります。昔の事過ぎて詳細な年数は思い出せませんが」
「ああ、はこべ君500歳そこそこと前言ってましたもんね」
「僕は貧しい農村の生まれでしたがごく幼い頃に流行り病で家族が皆死んでしまい、僕も病と飢えで死にかけていた所たまたま通りがかったお師匠様に薬や癒しの呪法で助けてもらい、そのまま引き取られ弟子として全国を旅しながら暮らす事になりました」
「…そうだったのですか。アレな国で昔の事とはいえ大変でしたね」
「まあ、もう遥か昔の事ですので大丈夫ですよ。そうして厳しくも優しいお師匠様に呪法や漢方薬の調合を教わりながら生きていましたが、僕がおおよそ17か18くらいになったある時、一人で薬草を採っていた時に野盗の集団に出くわしてしまいました」
「…ああ、なるほど」
「呪法で必死に応戦しましたがその時は今ほど強くも無かったため倒しきれず、多勢に無勢であえなく僕は殺されてしまいました。当然身ぐるみも剥がされましたが、僕の危機を察知したお師匠様が駆け付けて下さったので幸い死体を辱められるような事は無かったそうです」
「そうでしたか、それはまだ不幸中の幸いでしたね。はこべ君綺麗な子ですので心配でした」
「…そうしてお師匠様はすぐに僕を治療しようとしましたが、傷は深くその時既に僕は事切れていたそうです。…それからお師匠様は迷わずに禁じられた反魂の儀式を行い、自身の命と引き換えに僕の魂をあの世から呼び戻しました」
「…そういう事だったのですね。辛い事を話させてしまいすみません」
「…いえ、辛いですが思い返す度にお師匠様の愛を感じられるので大丈夫ですよ。愛とは言っても、そういう意味ではありませんでしたが」
「そうですか、それなら良かったです。だから悪人には容赦せず気の毒な人々にはとても優しいのですね」
「ええ、黄泉返った影響かお師匠様の力を受け継いだのか、呪力もかなり強くなりましたので生き返った後早速野盗たちを全員えげつなく呪い殺し、僕自身とお師匠様の仇を討ちました。それからずっとこの力を人々の為に役立て生きています。呪力のせいか黄泉返りの影響かほとんど不老になりましたしね」
「鈴蘭君も似たような感じですが、術で生き返るとそういう体質に変化するのですかね」
「そうかもしれませんね、鈴蘭君は元気なものの肉体的には死んでいますが。…ああ、そういえば。はっきりとは覚えていないのですが、死んで黄泉返る時に、一瞬だけ不思議な物を見たような気がするんです」
「へえ、どんな物ですか?」
「…当時からしても古風な装束に身を包み、独特な髪の結い方をした男性が僕の事を悲しそうに見ていたような気がするのです。…そうしてその人は僕に、あいつの呪いのせいで君もまた済まない、どうか黄泉返ったら幸せに長く生き延びてくれと語り掛けてきたような気がするのです」
「そうなのですか。その方、誰なんでしょうね」
「ええ、ずっと昔からよく知っている人のような気がするのですが。どうしても思い出せないのですよね」
「ふう、今回のリハはまずまずですね。少しずつではあるもののファンの方も増えていて嬉しいです」
「ええ、はこべ君長生きしているだけあって、歌詞やトークにも説得力がありますしね。…ああ、僕達知り合ってからもうそれなりに経つので、差し支えなければ聞いても良いですか?」
「はい、何でしょう?」
「…辛かったら言わなくて結構ですが。はこべ君が一度死んでしまった時の事、ユニット仲間として詳しく知っておきたいと思いまして。…こういう世界で理不尽な死に方という事ですので、おおむね想像は付きますが」
「…ああ、構いませんよ。それなりに陰惨な話になりますが、大丈夫でしょうか」
「ええ、僕もボランティアの活動中かなりアレな物を見慣れていますので大丈夫だと思います。お気遣いなくどうぞ」
「…分かりました。僕が一度死んだのはもう500年近くも前になります。昔の事過ぎて詳細な年数は思い出せませんが」
「ああ、はこべ君500歳そこそこと前言ってましたもんね」
「僕は貧しい農村の生まれでしたがごく幼い頃に流行り病で家族が皆死んでしまい、僕も病と飢えで死にかけていた所たまたま通りがかったお師匠様に薬や癒しの呪法で助けてもらい、そのまま引き取られ弟子として全国を旅しながら暮らす事になりました」
「…そうだったのですか。アレな国で昔の事とはいえ大変でしたね」
「まあ、もう遥か昔の事ですので大丈夫ですよ。そうして厳しくも優しいお師匠様に呪法や漢方薬の調合を教わりながら生きていましたが、僕がおおよそ17か18くらいになったある時、一人で薬草を採っていた時に野盗の集団に出くわしてしまいました」
「…ああ、なるほど」
「呪法で必死に応戦しましたがその時は今ほど強くも無かったため倒しきれず、多勢に無勢であえなく僕は殺されてしまいました。当然身ぐるみも剥がされましたが、僕の危機を察知したお師匠様が駆け付けて下さったので幸い死体を辱められるような事は無かったそうです」
「そうでしたか、それはまだ不幸中の幸いでしたね。はこべ君綺麗な子ですので心配でした」
「…そうしてお師匠様はすぐに僕を治療しようとしましたが、傷は深くその時既に僕は事切れていたそうです。…それからお師匠様は迷わずに禁じられた反魂の儀式を行い、自身の命と引き換えに僕の魂をあの世から呼び戻しました」
「…そういう事だったのですね。辛い事を話させてしまいすみません」
「…いえ、辛いですが思い返す度にお師匠様の愛を感じられるので大丈夫ですよ。愛とは言っても、そういう意味ではありませんでしたが」
「そうですか、それなら良かったです。だから悪人には容赦せず気の毒な人々にはとても優しいのですね」
「ええ、黄泉返った影響かお師匠様の力を受け継いだのか、呪力もかなり強くなりましたので生き返った後早速野盗たちを全員えげつなく呪い殺し、僕自身とお師匠様の仇を討ちました。それからずっとこの力を人々の為に役立て生きています。呪力のせいか黄泉返りの影響かほとんど不老になりましたしね」
「鈴蘭君も似たような感じですが、術で生き返るとそういう体質に変化するのですかね」
「そうかもしれませんね、鈴蘭君は元気なものの肉体的には死んでいますが。…ああ、そういえば。はっきりとは覚えていないのですが、死んで黄泉返る時に、一瞬だけ不思議な物を見たような気がするんです」
「へえ、どんな物ですか?」
「…当時からしても古風な装束に身を包み、独特な髪の結い方をした男性が僕の事を悲しそうに見ていたような気がするのです。…そうしてその人は僕に、あいつの呪いのせいで君もまた済まない、どうか黄泉返ったら幸せに長く生き延びてくれと語り掛けてきたような気がするのです」
「そうなのですか。その方、誰なんでしょうね」
「ええ、ずっと昔からよく知っている人のような気がするのですが。どうしても思い出せないのですよね」
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