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第四章 驚天動地のアレ事件
番外編 戦時中のてうてう部隊
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私達は件の恐ろしい部隊がいると噂の島国の領域に乗り込み、最新鋭の武装で固めた艦隊をその島へと進めていた。
「…提督。そろそろ迎撃されるかと思いますが」
「ああ、そうだな。全戦闘員、艦上で待機するように」
「はい、了解です。…あ、あれは」
目視できる距離の岩の上に、美しい群青色の髪をした人魚の少年が座っていた。
その魚の部分は縫い目のような模様が入り、尾鰭の先は蝶のようになっていた。
「…あれは、人魚か」
「…我々の国にも伝承はあるが、実際に見たのは初めてだ」
「…すみません。僕もこんな歌は歌いたくありませんが、この国の為なので」
彼が悲しそうに息を吸い歌い始めると、たちまち艦の計器が狂い始めた。
「…こ、これは何事でしょうか」
「…セイレーンなどが持つという、魔性の歌声か」
「…如何いたしますか、提督」
「…総員、彼を直ちに攻撃するように」
全艦隊の砲門が一斉に彼を向き、無数の銃弾が人魚の少年を襲った。
「…これで、大丈夫でしょうか」
「…我が国を誇る無敵艦隊の一斉掃射だ。跡形も無いだろう」
だが、硝煙が晴れると彼の前に一つの影があった。
「真魚兄、大丈夫か」
「うん、ありがとう騰蛇。僕は問題無いよ。…君も大丈夫?」
「ああ、この程度しょっちゅうだし平気だ」
人魚の少年をかばった彼は、全身に蛇のような鱗があり、両足首から蝶の片翼のような羽が生えていた。
「…提督、あれは一体」
「…リザードマンの類か。何て堅さだ。総員、彼に攻撃を続けろ」
「は、はい」
だが、その時更に新たな影が二つ現れた。
「あーもうクソウザいなとっとと沈めよ。僕とクロの素敵なひと時を邪魔すんな」
「…シロ。お仕事なのに、そういう事言ったら駄目だよ」
現れたのは白いセーラー服を着て同じく白い蝶の羽を生やした可愛らしい少年と、黒髪に褐色の肌で紺色のセーラー服を着た少年だった。
黒髪の少年の背にも黒い蝶の羽が生えていたが、一部に機械のような物が混じり歪な様相を呈していた。
「あーもうクロ本当真面目だよね、そこが良い所だけどさ。んじゃさっさとクソ狂わせて皆殺しにしよ」
「…うん。…すみません。お国のために、死んでください」
彼等の羽からきらきらと美しい鱗粉が舞い、艦隊を包み込んで行った。
「…こ、これは。意識が、薄れて行く」
「…総員、すぐに退避するように」
だが、その指令を伝える間もなく私達は何も分からなくなっていった。
最後に目に入ったのは、黒髪の少年のとても悲しそうな顔だった。
「はーいお仕事完了。皆見事に沈んだねー。いやー大規模タイタニック楽しいなー」
「…人が亡くなったのに、喜んじゃ駄目だよ」
「んークソな敵国の人命なんてどうでもいいじゃーん。僕人が死にまくる作品大好きだしー♪」
「…うん」
「…あーもう。とっくに知ってはいるけどお前マジでクズだな」
「あー?うっせえよ騰蛇。堅い以外何一つ取り柄の無いクソザコのお前に言われたくないんだけどー」
「それは自覚あるが、俺お前より階級上の先輩だぞ。もうちょっと敬えよ」
「あー?僕達にとって2・3年なんて誤差にもならないレベルだっての。クソな身分のお前より僕はるかに上級国民だしー。まあ実家クソ過ぎたし燃やしたけどさ」
「…シロ。先輩にそういう事言ったら駄目だよ。喧嘩しないで」
「あーはいはい、クロ本当謙虚な良い子だよね。僕クロのそういう所も大好きだよ」
「…うん、ありがとう」
「どーいたしまして!んじゃとっとと帰って楽しいデート再開しよ!」
「…うん、そうだね」
そう言って幸せそうにシロとクロは飛び去って行った。
「…あーもう。本当何一つ更生しねえなあいつ」
「…そうだね。優しいクロを見習って、もう少し素直な良い子になってくれると良いんだけどね」
「あー、残念だがそれは相当に難しいだろうな。千里もたまに未来見たりするけどもう数十年単位で変わらねえらしいし」
「…うん、残念だね」
「…それによ。千里たまに心配そうなんだが、はっきりした事は分からないがあいつ近いうち相当クソな事やらかすらしいんだよな」
「…千里がそれ程に言うなんて、どんな事なんだろうね」
「ああ、たぶん全世界がドン引きするくらいのクソな事だろうな」
「…提督。そろそろ迎撃されるかと思いますが」
「ああ、そうだな。全戦闘員、艦上で待機するように」
「はい、了解です。…あ、あれは」
目視できる距離の岩の上に、美しい群青色の髪をした人魚の少年が座っていた。
その魚の部分は縫い目のような模様が入り、尾鰭の先は蝶のようになっていた。
「…あれは、人魚か」
「…我々の国にも伝承はあるが、実際に見たのは初めてだ」
「…すみません。僕もこんな歌は歌いたくありませんが、この国の為なので」
彼が悲しそうに息を吸い歌い始めると、たちまち艦の計器が狂い始めた。
「…こ、これは何事でしょうか」
「…セイレーンなどが持つという、魔性の歌声か」
「…如何いたしますか、提督」
「…総員、彼を直ちに攻撃するように」
全艦隊の砲門が一斉に彼を向き、無数の銃弾が人魚の少年を襲った。
「…これで、大丈夫でしょうか」
「…我が国を誇る無敵艦隊の一斉掃射だ。跡形も無いだろう」
だが、硝煙が晴れると彼の前に一つの影があった。
「真魚兄、大丈夫か」
「うん、ありがとう騰蛇。僕は問題無いよ。…君も大丈夫?」
「ああ、この程度しょっちゅうだし平気だ」
人魚の少年をかばった彼は、全身に蛇のような鱗があり、両足首から蝶の片翼のような羽が生えていた。
「…提督、あれは一体」
「…リザードマンの類か。何て堅さだ。総員、彼に攻撃を続けろ」
「は、はい」
だが、その時更に新たな影が二つ現れた。
「あーもうクソウザいなとっとと沈めよ。僕とクロの素敵なひと時を邪魔すんな」
「…シロ。お仕事なのに、そういう事言ったら駄目だよ」
現れたのは白いセーラー服を着て同じく白い蝶の羽を生やした可愛らしい少年と、黒髪に褐色の肌で紺色のセーラー服を着た少年だった。
黒髪の少年の背にも黒い蝶の羽が生えていたが、一部に機械のような物が混じり歪な様相を呈していた。
「あーもうクロ本当真面目だよね、そこが良い所だけどさ。んじゃさっさとクソ狂わせて皆殺しにしよ」
「…うん。…すみません。お国のために、死んでください」
彼等の羽からきらきらと美しい鱗粉が舞い、艦隊を包み込んで行った。
「…こ、これは。意識が、薄れて行く」
「…総員、すぐに退避するように」
だが、その指令を伝える間もなく私達は何も分からなくなっていった。
最後に目に入ったのは、黒髪の少年のとても悲しそうな顔だった。
「はーいお仕事完了。皆見事に沈んだねー。いやー大規模タイタニック楽しいなー」
「…人が亡くなったのに、喜んじゃ駄目だよ」
「んークソな敵国の人命なんてどうでもいいじゃーん。僕人が死にまくる作品大好きだしー♪」
「…うん」
「…あーもう。とっくに知ってはいるけどお前マジでクズだな」
「あー?うっせえよ騰蛇。堅い以外何一つ取り柄の無いクソザコのお前に言われたくないんだけどー」
「それは自覚あるが、俺お前より階級上の先輩だぞ。もうちょっと敬えよ」
「あー?僕達にとって2・3年なんて誤差にもならないレベルだっての。クソな身分のお前より僕はるかに上級国民だしー。まあ実家クソ過ぎたし燃やしたけどさ」
「…シロ。先輩にそういう事言ったら駄目だよ。喧嘩しないで」
「あーはいはい、クロ本当謙虚な良い子だよね。僕クロのそういう所も大好きだよ」
「…うん、ありがとう」
「どーいたしまして!んじゃとっとと帰って楽しいデート再開しよ!」
「…うん、そうだね」
そう言って幸せそうにシロとクロは飛び去って行った。
「…あーもう。本当何一つ更生しねえなあいつ」
「…そうだね。優しいクロを見習って、もう少し素直な良い子になってくれると良いんだけどね」
「あー、残念だがそれは相当に難しいだろうな。千里もたまに未来見たりするけどもう数十年単位で変わらねえらしいし」
「…うん、残念だね」
「…それによ。千里たまに心配そうなんだが、はっきりした事は分からないがあいつ近いうち相当クソな事やらかすらしいんだよな」
「…千里がそれ程に言うなんて、どんな事なんだろうね」
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