はーとふるクインテット

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第三章 アレな波乱の幕開け

前野の日常

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「…シロ、シロ。起きて。朝礼始まるよ」
「…んー、あと15分」
「…さっきもそう言って、もう5分経ったよ。いくらシロでもこれ以上遅刻したら上官から怒られるよ」

「…んーもう、クソウザいなー。僕戦果上げまくってる英雄だぞ。寝坊くらい大目に見ろっての」
「…そういう事、言っちゃ駄目だよ」
「あーはいはい分かったよ。起きればいいんでしょ起きれば。クロのモーニングコールじゃ無かったらガン無視するのにー」
「…シロ、顔くらいは洗おう。僕やってあげるから」
「あーうん、ありがとねクロ。大好きだよ」
「…うん、僕も」


「……」

「おうクロ、おはようさん」
「…うん、おはよう」

「お前寝起き良いよな。毎日規則正しい生活してるしよ」
「…うん、軍や神社でもそんな感じだったし。シロはたまに寝坊したり夜更かししたがってたけど」
「あー、まああいつの性格じゃ仕方ねえな。じゃあほら、食堂のおばちゃんに朝食作って持って来て貰ったから食べな」

「…うん、ありがとう。今度おばさんにもお礼言わなきゃ」
「あー、ここに寝泊まりしてる奴等は皆そんな感じだし気にすんな。まあシロの奴には良くトースト超黒焦げにしたりゆで卵1時間くらい茹でて出したりしてるがな」
「…そうだね。僕が良くトーストや卵あげてた」
「もうここでは別居生活だし、遠慮なく食べな」
「…うん、いただきます」


「おし、食べたな。食器は俺が暇見て下げとくからそのままで良いぞ。じゃ歯磨いて顔洗って、授業行って来な」
「…うん、そうする。ありがとう前野」


「…あー、また昨晩データ取らせてもらったが、更に洗脳解けて来てるな」

「…まあ、いい機会なんだろうな。あいつもこれくらいキツい目見なきゃ懲りねえだろ。代行も何かたくらんでるらしいしな」


「…おはよう、シロ」
「あーおはよクソウザクロ。さっさと座れよ」
「…うん。シロ、今日は遅刻しなかったんだね。偉いね」
「だからクソボケ老人のお前に褒められても嬉しくもなんとも無いっての。まあ僕もショタジジイだけど頭は超しっかりしてるしー」

「…でも悪いけど学力はかなりアレだよね。今日小テストだけど勉強して来た?」
「…あっヤバ、お前クソウザ過ぎて完全忘れてた。まあ僕英雄で神だしどれだけ赤点取ろうと余裕でしょ」
「…でも学園内でそういう贔屓は出来る限りしないって入学時代行に言われて、承諾したじゃない。流石に補習くらいは受けさせられると思うよ」

「…もうこの学園クソ過ぎでしょ。お前達はそれで嬉しいのかもしれないけどさー」
「…うん。差別しないでくれるの、嬉しい」

「あーもうお前らクソ謙虚過ぎでしょ。まあ戦時中からずっと言ってるけどさー」


(キーンコーンカーンコーン)

「はい、では予告していた通り小テストを開始します。漢字テストと短い作文です。作文は最低でも200字以上は書くように。当然ですがスマホを見たりして既存の文章を参照するのは許しませんよ。やってるの発見したら強化改造チョークぶん投げますよ」

「うわー。今時体罰すんなっての」
「んーでも俺や蓬くんみたいに普通の子はともかく、シロ達てうてうは体強いし強化チョーク程度余裕でしょ」
「まああの先生もと指弾使いの仕事人だったから本気でチョークぶん投げると脳天貫通するけどね」

「まあ、流石に殺しちゃアレだからそこは手加減するでしょ」
「うん、でも小学生時代からカンニングに命かけてるアレな子お仕置きした時は数センチ眉間にめり込んで怖かったけどね」
「まあ、速攻で前野に治療してもらったし大丈夫でしょ」
「うんまあ、この学園だしね」


「はい、では私語は止めて。用紙配りますよー。配り終えたら開始するように。時間は30分です」
「「はーい」」


「…うっわー、漢字難し。僕あんまり難しい本とか読まないのにー。作文も超苦手で大昔反省文書かされた時何度もやり直しさせられてクソウザかったしさー」


「はい、時間です。では後ろから用紙を回収して下さい。回収終わったら速読採点AIに読み込ませますので」


「…あー、シロ君。漢字テストはギリ赤点ではありませんが作文はアレすぎます。200字と言ったのに140字程度しか書いていませんし投げやり過ぎます。趣旨も一切読み取れません。放課後職員室に来るように」

「「「あはははははは」」」

「…いや面前でダメ出しすんなよクソ教師。お前らも超可愛くて神の英雄笑い飛ばすとかナメてんの。マジで不敬罪で訴えるぞコラ」

「学園長代行もお話した通りこの学園内では可能な限りいかなる身分でも平等です。赤点は赤点ですのでそこは一切譲歩しません」

「…マジこの学園クソ過ぎ。最近入学したのちょっと後悔して来た」
「退学の意思があるならすぐに受け入れますが?」

「…いや、冗談と本気くらい分かれよクソが。お前教師なのにアホ過ぎだろ」

「申し訳ありませんが私は前野君程では無いもののかなりの高IQですよ。仕事人と有名進学校の教師を長年両立しておりました」

「…マジ、お前らクソ過ぎ」


「いい気味だよねー、蓬くん」
「だねー、もっとフルボッコにされれば良いのにねー」

「…シロ、ずっと機嫌悪いな。…僕のせいだけど」


そのちょっと後、保健室にて。

「んーどうした?あー気分悪いのか。朝食にうっかり開封済みで賞味期限3日前の牛乳一気飲みしちまったと。じゃあこの強力胃薬飲んどきな」
「気持ち悪いなら吐いとくか?ん、そこまでじゃないか。じゃあこれ飲んでしばらく寝ときな。すぐ効くから」


「…えーっとあいつ寝たな。おし、あの術式研究すっか。一部データ別の若干アレだが基本良心的な研究機関に渡して同時並行で開発してもらってるしな」

「…当然大きい声じゃ言えねえが、やっぱ事情知ってる政府や研究者連中もあいつの事は相当嫌ってるしな。術式完成したら殺しはまずいがしばらく封印程度なら政府も承認してくれるだろうしよ」

「まあ、流石のあいつも何の面白みも無い狭い所に数十年ぶち込まれたら流石に懲りるだろ。一応神社に封印する予定だから体裁は保てるしよ」

「…クロの奴はやっぱり、それでも悲しむんだろうがな。…あいつ、本当にいい奴だからな」


「ん?急患か。PCロックかけてっと。おう、どうした?」

「うっわ。体育の授業中校庭に乱入して来たアレ殺人鬼にはらわたぐっちゃぐちゃにされたのか、気の毒に」

「そいつどうなった?あー一緒に授業中だったお夏がとりあえず顔面ズダズダにしてぶっ倒した後、CV大塚〇夫風の清掃員のおっちゃんが手足へし折ってからギリ死なない程度に腹かっ捌いて警察に突き出したか。良かった良かった。あー佑真はやっぱ吐いたか。まあ最近吐きなれて来たし平気だろ」


「おし、じゃあすぐオペすっからこっちの手術室運んでくれ」

「おーし生命維持装置繋いで麻酔かけてっと。んー寝る前に悪いが、お前保険入ってるよな?この国アレ過ぎるしほぼ国民全員加入は義務に近いし、少ないけど相当な貧困層でも入れるようにかなり月額安いプランもあるからな。ワンコイン以下くらいの奴とか」

「あー、月800円程度のファミリープランね。了解。じゃあそれなら十分良いランクの奴入れられるし、あの殺人鬼の家族からふんだくるしよ。この学園周辺アレ過ぎだから学園お抱えの優秀な弁護士いるしな」

「うん、じゃあもう安心して寝てな。この程度なら1時間くらいで終わるし傷跡も極力残さないようにすっから」


《1時間くらい後》

「おーお疲れさん。無事手術終わったぞ。もう調子大丈夫だろ」

「うん問題無いな。気分悪く無ければ昼飯も普通に食べて良いぞ。一応最初だけ激辛系は控えてな」

「で、大丈夫だとは思うが経過見たいから1週間後くらいにまたここ来てくれ。じゃあ気を付けてな」


「あ、さっきの腐った牛乳飲んで腹下した奴も帰ったか。仕方ねえが見てられねえで悪い事しちまったな。あー書置きある。もう大丈夫と。良かったな」

「んー佑真どうした?まあ想像は付くが」

「…ごめん、さっきのアレ現場見て吐きまくってまだ気分悪いから吐き気止めちょうだい…」
「あーはいはい。ほらよ、この水で飲みな。すぐ効くぞ」

「…ありがと」


「お前最近慣れようと仕事人の奴らに同行して頑張ってるらしいな。やっぱ吐きまくってるそうだが感心感心」
「…うん、まだまだ慣れないけど…」
「まあ聞いてると思うが幸野ですら最初は吐いたからな、大概そんなもんだ。金目とか鈴蘭はメンタル超強いし大丈夫だが。あと振子みたいにそもそも特殊な出自の奴とかな」

「…まあ、あの人達ある意味人間じゃ無いからね…」
「まあ全員人外だな。聞いた話だと鈴蘭は死んで蘇った後かなり性格変わったらしいが」

「…そ、そうなんだ。まああんだけえげつない死に方したらそうかもね。俺あの朝刊見た時完全吐いた」
「あー、アレは俺も吐きはしなかったがだいぶ気分悪くなったな。スズランもそうらしいし」
「…ま、前野達ですらそうなんだ…」


「ああ、そういう訳で代行も鈴蘭達にもかなり優しいんだよな。まあたまにアレな衣装渡す程度はするけどな」
「あーうん、代行さんそういう人だもんね。クロとかあいつ以外のてうてうの人達とか、幸野君とかにも優しいもんね」
「ああ、あとみなもな」

「…そっか、彼も佐紀さんと一緒だもんね。…ついこの前だけど、佐紀さんがどれだけ酷かったかクロに教えて貰ったけど。…本当申し訳無いけど、それ聞いた時また吐きそうになっちゃった」
「あー、まあアレは相当えぐいからな。自分以上にどん底な奴なんていないと世界を呪いまくってたシロですら、見た時考えを改めたって言うからな」
「…うん、そうだろうね。そのまま良い奴になれれば良かったのにね」

「まあ、結局その後家族一同焼き殺した件で完全に仲違いしちまって、完全にアレになっちまったんだがな」
「…うんまあ、外道はどこまでいっても外道なんだろうね…気持ちは分からなくも無いけど駄目だよね」


「だな。確かに親や使用人は相当クズだったんだろうがそれでも殺すのはまずいし、身代わりにされてた奴は利用されてただけなのに訳も分からないうちに狂わせられて本当に気の毒だったな」
「…そうだよね。あの人は何も悪く無いのに可哀想だよね」
「まああんな家族の体裁上とはいえ息子やって、帝王学学ばされてたくらいだしアレな部分はあるんだろうが。やっぱ身代わりに仕立て上げられるって事は、あんまり良い身分じゃ無かったろうしな」

「…うん、こんな国の、特にあんな時代だしそうなんだろうね」

「けどまあ、そんな罪も無いのに酷い最後迎えた奴だし、来世はきっと幸せになれるだろ」
「…そうだと良いよね」


「おし、だいぶ顔色良くなってきたな。もう大丈夫だろ」
「うん、だいぶ気分良くなって来た。ありがと」
「まあ、おばちゃんもそういう事情なら即席でおかゆとか作ってくれるだろうし、ちっと遠いがコンビニとかあるし今日は胃に優しい昼食にしときな」
「そうだね、そうする。じゃあありがと」


「…おし、まあ流石に日に何度もアレな奴は来ねえだろうし。俺も腹減ったし昼食にすっか」

「んー、学食も良いがなんか今日はジャンクな奴食いてえな。あーじゃあ、宇宙から来たかもって猫型妖怪がやってる超技術のピザ屋で宅配でも取るか」

「あーもしもし、ピザヌッコさんですか。流れ星学園の保険医の前野です。いつもどーも。あーミックスピザスモール1枚とマルガリータM1枚、あとミニサラダとコーラお願いします。はい、超高火力プラズマ釜で焼いて転送するので5分で着く?いつも迅速で助かります。じゃあ支払いは登録してある口座から引き落としで。ではよろしく」


5分後。

「おー、来た来た。やっぱ早いなー。この国にしても超技術だからやっぱ異星人かもな」
「値段良心価格の割に味も良いしな。具材何使ってるのか考えると若干アレだがまあこの国だし今更だな」

「あー、やっぱ美味いなこれ。サラダも新鮮だしよ」


「ふー。オペの後だしいけるだろと思って2枚頼んじまったがちっと残っちまったな。残りはクロにやるか。あいつたぶん、普段ピザとか食わねえだろうし喜ぶだろ」

数時間後。

「…ただいま、前野」

「おークロお疲れ。今日遅かったがまたてうてうの奴等とレッスンしてたのか?」
「うん。レッスンした後、放課後だしって久しぶりに長話して遅くなっちゃった。ごめんね」

「いや、構わねえよ。お前ずっとシロに拘束されてて元仲間とほとんど話せなかったもんな。好きなだけ旧交を温めな」

「…うん、ありがとう」

「あ、俺昼食にピザ食って、数枚余ってるんだが食うか?夕飯はまた何か適当に調達するからよ」
「…うん、ダンスたくさんしてお腹空いたからもらうね。ありがとう」


「…うん、これ美味しいね」
「だろ。お前たぶんピザとかあんまり食わねえだろうしさ」

「…そうだね。…シロが昔実家に居た頃友好国と取引多かったらしくて、ピザ良く出て来て嫌いだったっていうから。2人で暮らすようになってからはほとんど食べなかった」

「…あー、そうだったのか。まああいつの実家相当な貿易商だからな」

「…シロもすごく可哀想で、でも同じくらい可哀想な僕の事ずっと明るく励ましてくれて僕大好きだったはずなんだけど」


「…なんで、最近こんなに好きじゃ無くなってるんだろう」

「…んー、何でだろうな。まあエターナルとか長寿の奴等も言ってたろうが、人間生きてりゃ心変わりもあるだろ」


「…そっか。僕、ひどい奴だよね」

「…いや、まったく酷くなんてねえと思うぞ」


同じ頃、学園長室にて。

「あ、代行様。例の工作が完了したってさ」
「ああ、では早速実行の日取りを決めよう。ええと、シロ君達の次のライブは3日後だね。ではこの日の途中のMCが終わった後、5曲目の中盤で実行しようか」

「はーい。じゃあ部外者には言えないけど、あいつ以外の学園関係者には全員伝えておきますので」
「お願いするよ、振子。…当然クロ君にも言えないから、立ち位置には気を付けて実行してね」

「ですね。いくら嫌いになり始めてるとはいえ、そんな計画知ったら阻止しちゃうでしょうし。一応影からこっそり金目も見張って、危険が及んだら即時クロを保護するように伝達しておきます」
「ああ、頼むよ」


「…さて、これでようやく彼にもお灸を据えられるね♪」
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