はーとふるクインテット

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第三章 アレな波乱の幕開け

クロと図書室

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「…あー何君、保護してもらいたいの?じゃあここに名前書いて」

「…すみません。名前無いし、文字も書けません」

「えー、めんどくさいな。じゃあご家族に書いてきてもらって」

「…家族も、いません」

「んーめんどいなー。じゃあ文字書ける知り合いとかいないの?」

「…すみません。ほとんどいませんし、書ける人は意地悪なんで頼みたくありません」


「じゃあ悪いけど無理だよ。こっちだって仕事だし、手続きとかあるしさ。気の毒だが良い人に拾われるのを祈るんだね」

「…はい」


「…文字、書けるようになりたいな」


「………」

「んー何クロ。毎日毎日辛気臭い顔してうっざいなー」

「…何か、ありえないけど、嫌な夢見たような気がして」


その日の放課後。

「あれ、クロ。図書室に来るなんて珍しいね」

「…うん、何か急に、本読みたくなって。病葉は良く来るの?」

「うん、僕は昔から本好きだしね。大体毎回名前、本や映画から取るし」
「…そっか。病葉、病って付いてるけど良い名前だと思う」

「ありがとね。…クロもさ、安直だけど良い名前だと思うよ」

「…ありがとう。…でも最近、何だか好きになれなくなって来たんだ」

「…ああ、そうなんだ」


「…何でかな。僕最近、前まで幸せだと思ってたのに、全然幸せじゃなくなってきたんだ」

「…うん。長く生きてればそういう事もあると思うよ」

「…そうかな。病葉が言うなら、そうかもね」
「うん。悪いけど僕、君より遥かに生きてるし。やっぱり価値観とかも結構変わる事あったよ」

「…そうだろうね」


「…あのさ。ありえないんだけど。僕、結構大きくなるまで文字知らなかった気がするんだ」

「…うん、そうなんだ。…でも君結構小さい時に軍に引き取られたし、それは気のせいだと思うよ」

「…うん、だよね。僕もおかしいと思う。…僕、どうしちゃったのかな」

「…どうしたんだろうね」


「…何読もうかな。やっぱり僕、暗い話は嫌だな」

「うーん。じゃあエルマーとりゅうとか、ナルニア国物語とかどう?ちょっとしんどい描写もあるけど明るいよ」

「うん、そうしようかな」

「やっぱりクロ、相当しんどい思いしたもんね。ハッピーエンドが良いよね」

「…そうだね」


「…あのさクロ。悪いんだけど君、裕福で社会的にはすごく地位高いとは言っても、君の言う通り全然幸せじゃないと思うんだよね」
「…うん」

「…でもさ。この国の神様アレとは言っても最後は慈悲をくれると思うし、君もきっとハッピーエンドを迎えられるよ」

「…うん、ありがとう」


「あ、あとさ。図書室も確かにアレ気味な本色々あるとはいえ蔵書量多いけどさ。君すごく裕福で地位高いんだし、いくらでも本買ったり、買って貰って自室で読めるじゃない。そうしないの?」

「…うん、なんか最近、あんまり自分の部屋に居たくないんだ」

「…ああ、そうなんだ。ごめんね。じゃあ、いつでも僕達の部屋に遊びに来なよ。歓迎するよ」

「…うん、今度遊びに行くね」
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