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第三章 アレな波乱の幕開け
勇気を出して慣れてみようとする佑真
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「…あー、今日も鬱キャラじゃないのに鬱だ…」
「…でも簡単に学校辞められない以上、このままじゃ精神衛生上良くないし。頑張ってもう少し馴染んでみようかな」
「あー、お夏君おはよ。…あのさ、今度アレな仕事する時一緒に連れて行ってくれない?」
「ん?良いけど佑真がそんな事言うなんて珍しいね」
「うん、俺も簡単に退学や転校出来ない以上、もうちょっと頑張ってアレな環境に慣れてみようかなーって思ってさ」
「あーうん、良いんじゃない?じゃあ早速明後日の放課後、活動無いし殺りに行くつもりだから一緒に行こ。そこまで強くは無いと思うけど、一応危険だから何か護身具は持って来て」
「…う、うん。分かった。どこでそういうの手に入るかな」
「あー、この町超アレだからコンビニや百均とかどこでも手に入るよ。購買でもちょっと高めだけど売ってるしさ」
「…そ、そうなんだ」
「ってか佑真、この町じゃ無いにせよ割と近所のこんな国に住んでたのにほんとに常識無いね」
「…じ、常識って言うのかなこれ。…でもごめん。俺の住んでた地区この国にしてはかなり治安良い方だったからさ」
「あー、あの地区ね。大昔めちゃめちゃアレな戦争あって悲惨な死に方した人続出して、祟り起きまくったからそういう処置強力にされて、地区中分厚いシェルターで覆ってアレな奴らなるべく入れないようにしてるんだよね」
「うん。そのおかげで安全だけど、空あんまり見れなかったり季節感あんまり感じられなかったのは残念だけどさ」
「まあ、そんな環境じゃ常識感変わっちゃうのも仕方ないね」
「…う、うん。正直こんな常識知りたく無かったけど」
「まあ所変われば常識も変わるからね。んじゃまた明後日ね。楽しみにしてるよ」
「…た、楽しみにしたくないけどありがと」
そして二日後の放課後。
「よし、じゃあ行こっか」
「…こ、今回はどんな奴なの」
「んー今日のターゲットは、罪も無い人を吊るし上げてカンピョウとか鰹節みたいに皮や肉を削ぎ落とすのが大好きな変態のクソ野郎」
「ひ、ひいい」
「まあ僕もそんな悪趣味野郎大嫌いだから、この猫ちゃん義肢で皮ズダズダにひん剥いてやるよ」
「…し、正直吐くと思うから見たくない…」
「あーゲロ袋持って来た?」
「…うん、アレな護身具買った時に慣れて無さそうだからって配慮してくれて付けてくれた」
「そっか、良かったね。じゃあ電車乗ろ。そんなに離れて無いから20分くらいで着くよ」
「…そ、そうなんだ」
そう俺とお夏君はのんびりやっぱりアレ気味な吊り広告が多めな車内アナウンスが時折アレな電車に乗り、そのクソ野郎が出没すると噂の地域へ向かった。
「あ~次は~しかばね台~しかばね台~。お降りの方は停車してからお降りくださーい。アクション映画みたいに窓から飛び降りたりしないようにお願いしまーす。やったらアレな乗務員がとっ捕まえて厳重注意しますよー」
「…んな事やる人いるの」
「あー、アレな国だし結構いる。僕月に1度くらいは見かけるし」
「…こ、国民アレ過ぎる…」
「よし、じゃあここだから降りよ。あ、駅前でヘルプの人と合流するから」
「…ど、どんな人なの」
「んー色々事情あって通信教育だけど、普通の女子高生で明るい良い子だよ。色々な怪奇現象に昔から巻き込まれてて、鉄パイプを扱わせたらなかなかのものだよ」
「こ、怖い」
「まあ彼女も相当訳アリで実の親じゃない片親だけど、お父さんからしっかり愛情は受けてるし良識はちゃんとあるよ。お父さんも仕事人じゃ無いけど一般人の割に妙にキックが強いし」
「…そ、そうなんだ」
「うん、じゃあ行こ」
そうして俺達は駅前で鉄パイプを威風堂々と携えた明るい女子高生と合流し、そのクソ野郎の出没情報が特に多い小さめの雑木林へ向かった。
「うーん。なんか血の匂いがするからたぶんこの辺かなー」
「そうね。私アレな裏世界に良く引き込まれて血や腐臭は嗅ぎ慣れてるし」
「こ、怖すぎ」
「あー、そういう訳で佑真そろそろ護身具構えといて。何持って来たの?」
「え、えっと小さめのサバイバルナイフと、ペン型スタンガン」
「うん、初心者向けで良いね。常に構えておいて、スタンガンで感電しないようにね。安物の粗悪品だとたまに漏電するしさ」
「う、うん。気を付ける。安めだけどスーパーで買ったからたぶん大丈夫」
「ああ、スーパーならたぶん平気ね。私もたまにチェーンソーとか買うし」
「だ、だから怖い」
とかなんとか物騒な会話をしていると、いかにも怪しそうな寂れた倉庫があった。
「あー、間違いなくここだな」
「ええ、アレな悲鳴が聞こえるし」
「う、うわあ」
「あー、佑真慣れてないしゲロ袋も用意しといた方が良いよ」
「そうね。私も初めて裏世界行った時吐いたし」
「…う、うん。そうする」
そして当然施錠されていたが、JKの強化鉄パイプで南京錠をぶっ壊し、重い鉄扉を俺達は開けた。
「…おや、誰だね。お楽しみの時間を邪魔しないでくれたまえ」
「ぎ、ぎゃあああああ。やめてくれええええ」
長髪痩躯の男が、アレな長刀を持ち可哀想な男性を中吊りにしアンコウの解体みたいに肉を削ぎ落としていた。
「む、無理。おぼぼぼぼぼぼ」
「あー、やっぱ吐いたか。まあ初見でこれじゃ仕方ないね」
「ええ、これは結構きついもんね。可哀想に」
「うん、吐いたら下がってて。まあこういう場所だしゲロ袋はそこらに捨てときなよ」
「…う、うん。おええええ」
「…ふむ。アレ吐きまくってる子以外はこういうの見慣れてるようだし、そういう反応という事は君達仕事人かね」
「うん、後ろの吐いてる奴以外はそう」
「そうよ。悪いけどあんたの悪行もこれまでだから」
そう僕と女子高生はそれぞれの武器を構える。
「悪いが私もまだまだ人生楽しみたいのでね。抵抗させてもらうよ」
クソ悪趣味な男も長刀を構え、ゆらりとこちらへ向かってきた。
「よーし、ズダズダにしてやるぞー」
「ええ、私も脳漿飛び散るまでフルボッコにするわ」
そうして変態クソ野郎と僕達は激しい戦闘を開始し、40分弱程度で決着はついた。
「…わ、私がズダズダに剥かれるとは」
悔しそうなほぼズル剥け状態の男にJKがとどめの鉄パイプを振り下ろし、スイカのようにぐちゃりと頭を粉砕した。
「よーし、終わり終わりっと。君もなかなかやるね」
「ええ、あなたも。大してダメージ受けてないしね」
「うん。ちょっと削がれたけどまあかすり傷程度。君も軽く切られた程度で良かったね」
「大丈夫。この程度裏世界でしょっちゅうだし、救急キット持って来てるし」
「あー、この削がれちゃった人痛さで気絶しちゃってる。可哀想に」
「すぐ救急車呼ぶわね。まあこの国アレだから医療技術すごいし、この程度なら平気でしょ」
「うん、僕も救急スプレー持ってるから一応噴いておこ」
そして吊られた気の毒な男性を下ろし敷いてあったビニールシートの上に寝かせ応急処置をし、一応シートで包んでパッと見アレな部分は分からないようにし、佑真を呼んだ。
「おーい佑真ー。終わったしもう来て良いよー。流石に落ち着いたでしょ」
「…う、うん。たぶん」
「あー、可哀想な人は隠したけどアレ殺人鬼はそのままだから見ないようにね」
「…い、一瞬見ちゃってまた吐きかけたけど頑張って見ないようにする」
「まあ、君もその内慣れるわよ」
「…ど、どうも。正直慣れたくないけど」
そして間もなく救急車と一応呼んでおいた警察も到着し、可哀想な人は運び込まれて行った。
「君達、協力感謝するよ。こいつなかなか捕まらなくて、最近手こずっていたんだよ」
「ええ、お役に立てて良かったです」
「そうね。私も昔ちょっとグレてた事あったから、社会貢献出来て嬉しいわ」
「あー、君グレたら怖そうだね」
「ええ、静岡の鉄パイプの鬼と呼ばれていたわ」
「じゃあ、今度感謝状を自宅へ送るから。気を付けて帰ってね」
「はーい、ありがとうございます」
そうアレ気味な警察官さんは帰って行った。
「ほら、佑真帰ろ。かなり吐いたし水分補給した方が良いよ」
「…うん、お夏君たちが戦ってる間に水飲んどいた」
「うん、顔色まだちょっと悪いけど大丈夫そうだね。じゃあゆっくり行こ」
「…う、うん。頑張る」
そうして若干ふらつきながらどうにか雑木林を抜け、駅前でかなり返り血を浴びた女子高生と別れ(アレな町なので誰も気に留めなかった)、俺達は駅の喫茶店で少し休憩してから電車に乗った。
「あ、僕ここで降りるから。じゃあまたね。明日休みだからゆっくりしなよ」
「…うん、ありがと。正直楽しくは無いけど良い経験だった」
「まあ、何度か見てれば慣れるよ。良かったら幸野君にも言っとくから連れて行ってもらいなよ」
「…う、うん。怖いけどありがと」
「じゃ、また明後日ね。明後日ミニライブあるから頑張ろうね」
そうお夏君はひらひらと猫ちゃん義肢を振ってまたアレ気味な駅で下車していった。
「…こ、怖かった。吐きまくってかなりしんどいし。…ってあれ、クロじゃん。どしたの」
「…うん。たまには一人で出かけてみようと思って」
「ふーん、そうなんだ。でも良いと思うよ。…最近お前色んな子とご飯食べたり、結構色々やってるよね」
「うん。…何か、もう半世紀以上もほとんど同じ事してたし、違う事やってみたくなって」
「…そうだよね。お前裕福で地位すごく高いとは言っても、自由無かったもんね。…ずっとあいつが一緒だったしさ」
「…うん。今まではそれで幸せだったんだけど、何か、最近あんまり幸せじゃなく感じてきて」
「…だね。俺から見ても、悪いけどお前あんまり幸せそうじゃないし。…俺達皆お前の味方だから、いっぱい色んな事やりなよ」
「…そうだね、ありがとう。…あ、じゃあ僕ここで降りるから。またね」
「うん、気を付けて。まあお前なら大丈夫だろうけどさ」
そう言って、やっぱり相当アレな駅でクロは静かに降りていった。
「…あいつ、本当幸せになって欲しいな」
「…でも簡単に学校辞められない以上、このままじゃ精神衛生上良くないし。頑張ってもう少し馴染んでみようかな」
「あー、お夏君おはよ。…あのさ、今度アレな仕事する時一緒に連れて行ってくれない?」
「ん?良いけど佑真がそんな事言うなんて珍しいね」
「うん、俺も簡単に退学や転校出来ない以上、もうちょっと頑張ってアレな環境に慣れてみようかなーって思ってさ」
「あーうん、良いんじゃない?じゃあ早速明後日の放課後、活動無いし殺りに行くつもりだから一緒に行こ。そこまで強くは無いと思うけど、一応危険だから何か護身具は持って来て」
「…う、うん。分かった。どこでそういうの手に入るかな」
「あー、この町超アレだからコンビニや百均とかどこでも手に入るよ。購買でもちょっと高めだけど売ってるしさ」
「…そ、そうなんだ」
「ってか佑真、この町じゃ無いにせよ割と近所のこんな国に住んでたのにほんとに常識無いね」
「…じ、常識って言うのかなこれ。…でもごめん。俺の住んでた地区この国にしてはかなり治安良い方だったからさ」
「あー、あの地区ね。大昔めちゃめちゃアレな戦争あって悲惨な死に方した人続出して、祟り起きまくったからそういう処置強力にされて、地区中分厚いシェルターで覆ってアレな奴らなるべく入れないようにしてるんだよね」
「うん。そのおかげで安全だけど、空あんまり見れなかったり季節感あんまり感じられなかったのは残念だけどさ」
「まあ、そんな環境じゃ常識感変わっちゃうのも仕方ないね」
「…う、うん。正直こんな常識知りたく無かったけど」
「まあ所変われば常識も変わるからね。んじゃまた明後日ね。楽しみにしてるよ」
「…た、楽しみにしたくないけどありがと」
そして二日後の放課後。
「よし、じゃあ行こっか」
「…こ、今回はどんな奴なの」
「んー今日のターゲットは、罪も無い人を吊るし上げてカンピョウとか鰹節みたいに皮や肉を削ぎ落とすのが大好きな変態のクソ野郎」
「ひ、ひいい」
「まあ僕もそんな悪趣味野郎大嫌いだから、この猫ちゃん義肢で皮ズダズダにひん剥いてやるよ」
「…し、正直吐くと思うから見たくない…」
「あーゲロ袋持って来た?」
「…うん、アレな護身具買った時に慣れて無さそうだからって配慮してくれて付けてくれた」
「そっか、良かったね。じゃあ電車乗ろ。そんなに離れて無いから20分くらいで着くよ」
「…そ、そうなんだ」
そう俺とお夏君はのんびりやっぱりアレ気味な吊り広告が多めな車内アナウンスが時折アレな電車に乗り、そのクソ野郎が出没すると噂の地域へ向かった。
「あ~次は~しかばね台~しかばね台~。お降りの方は停車してからお降りくださーい。アクション映画みたいに窓から飛び降りたりしないようにお願いしまーす。やったらアレな乗務員がとっ捕まえて厳重注意しますよー」
「…んな事やる人いるの」
「あー、アレな国だし結構いる。僕月に1度くらいは見かけるし」
「…こ、国民アレ過ぎる…」
「よし、じゃあここだから降りよ。あ、駅前でヘルプの人と合流するから」
「…ど、どんな人なの」
「んー色々事情あって通信教育だけど、普通の女子高生で明るい良い子だよ。色々な怪奇現象に昔から巻き込まれてて、鉄パイプを扱わせたらなかなかのものだよ」
「こ、怖い」
「まあ彼女も相当訳アリで実の親じゃない片親だけど、お父さんからしっかり愛情は受けてるし良識はちゃんとあるよ。お父さんも仕事人じゃ無いけど一般人の割に妙にキックが強いし」
「…そ、そうなんだ」
「うん、じゃあ行こ」
そうして俺達は駅前で鉄パイプを威風堂々と携えた明るい女子高生と合流し、そのクソ野郎の出没情報が特に多い小さめの雑木林へ向かった。
「うーん。なんか血の匂いがするからたぶんこの辺かなー」
「そうね。私アレな裏世界に良く引き込まれて血や腐臭は嗅ぎ慣れてるし」
「こ、怖すぎ」
「あー、そういう訳で佑真そろそろ護身具構えといて。何持って来たの?」
「え、えっと小さめのサバイバルナイフと、ペン型スタンガン」
「うん、初心者向けで良いね。常に構えておいて、スタンガンで感電しないようにね。安物の粗悪品だとたまに漏電するしさ」
「う、うん。気を付ける。安めだけどスーパーで買ったからたぶん大丈夫」
「ああ、スーパーならたぶん平気ね。私もたまにチェーンソーとか買うし」
「だ、だから怖い」
とかなんとか物騒な会話をしていると、いかにも怪しそうな寂れた倉庫があった。
「あー、間違いなくここだな」
「ええ、アレな悲鳴が聞こえるし」
「う、うわあ」
「あー、佑真慣れてないしゲロ袋も用意しといた方が良いよ」
「そうね。私も初めて裏世界行った時吐いたし」
「…う、うん。そうする」
そして当然施錠されていたが、JKの強化鉄パイプで南京錠をぶっ壊し、重い鉄扉を俺達は開けた。
「…おや、誰だね。お楽しみの時間を邪魔しないでくれたまえ」
「ぎ、ぎゃあああああ。やめてくれええええ」
長髪痩躯の男が、アレな長刀を持ち可哀想な男性を中吊りにしアンコウの解体みたいに肉を削ぎ落としていた。
「む、無理。おぼぼぼぼぼぼ」
「あー、やっぱ吐いたか。まあ初見でこれじゃ仕方ないね」
「ええ、これは結構きついもんね。可哀想に」
「うん、吐いたら下がってて。まあこういう場所だしゲロ袋はそこらに捨てときなよ」
「…う、うん。おええええ」
「…ふむ。アレ吐きまくってる子以外はこういうの見慣れてるようだし、そういう反応という事は君達仕事人かね」
「うん、後ろの吐いてる奴以外はそう」
「そうよ。悪いけどあんたの悪行もこれまでだから」
そう僕と女子高生はそれぞれの武器を構える。
「悪いが私もまだまだ人生楽しみたいのでね。抵抗させてもらうよ」
クソ悪趣味な男も長刀を構え、ゆらりとこちらへ向かってきた。
「よーし、ズダズダにしてやるぞー」
「ええ、私も脳漿飛び散るまでフルボッコにするわ」
そうして変態クソ野郎と僕達は激しい戦闘を開始し、40分弱程度で決着はついた。
「…わ、私がズダズダに剥かれるとは」
悔しそうなほぼズル剥け状態の男にJKがとどめの鉄パイプを振り下ろし、スイカのようにぐちゃりと頭を粉砕した。
「よーし、終わり終わりっと。君もなかなかやるね」
「ええ、あなたも。大してダメージ受けてないしね」
「うん。ちょっと削がれたけどまあかすり傷程度。君も軽く切られた程度で良かったね」
「大丈夫。この程度裏世界でしょっちゅうだし、救急キット持って来てるし」
「あー、この削がれちゃった人痛さで気絶しちゃってる。可哀想に」
「すぐ救急車呼ぶわね。まあこの国アレだから医療技術すごいし、この程度なら平気でしょ」
「うん、僕も救急スプレー持ってるから一応噴いておこ」
そして吊られた気の毒な男性を下ろし敷いてあったビニールシートの上に寝かせ応急処置をし、一応シートで包んでパッと見アレな部分は分からないようにし、佑真を呼んだ。
「おーい佑真ー。終わったしもう来て良いよー。流石に落ち着いたでしょ」
「…う、うん。たぶん」
「あー、可哀想な人は隠したけどアレ殺人鬼はそのままだから見ないようにね」
「…い、一瞬見ちゃってまた吐きかけたけど頑張って見ないようにする」
「まあ、君もその内慣れるわよ」
「…ど、どうも。正直慣れたくないけど」
そして間もなく救急車と一応呼んでおいた警察も到着し、可哀想な人は運び込まれて行った。
「君達、協力感謝するよ。こいつなかなか捕まらなくて、最近手こずっていたんだよ」
「ええ、お役に立てて良かったです」
「そうね。私も昔ちょっとグレてた事あったから、社会貢献出来て嬉しいわ」
「あー、君グレたら怖そうだね」
「ええ、静岡の鉄パイプの鬼と呼ばれていたわ」
「じゃあ、今度感謝状を自宅へ送るから。気を付けて帰ってね」
「はーい、ありがとうございます」
そうアレ気味な警察官さんは帰って行った。
「ほら、佑真帰ろ。かなり吐いたし水分補給した方が良いよ」
「…うん、お夏君たちが戦ってる間に水飲んどいた」
「うん、顔色まだちょっと悪いけど大丈夫そうだね。じゃあゆっくり行こ」
「…う、うん。頑張る」
そうして若干ふらつきながらどうにか雑木林を抜け、駅前でかなり返り血を浴びた女子高生と別れ(アレな町なので誰も気に留めなかった)、俺達は駅の喫茶店で少し休憩してから電車に乗った。
「あ、僕ここで降りるから。じゃあまたね。明日休みだからゆっくりしなよ」
「…うん、ありがと。正直楽しくは無いけど良い経験だった」
「まあ、何度か見てれば慣れるよ。良かったら幸野君にも言っとくから連れて行ってもらいなよ」
「…う、うん。怖いけどありがと」
「じゃ、また明後日ね。明後日ミニライブあるから頑張ろうね」
そうお夏君はひらひらと猫ちゃん義肢を振ってまたアレ気味な駅で下車していった。
「…こ、怖かった。吐きまくってかなりしんどいし。…ってあれ、クロじゃん。どしたの」
「…うん。たまには一人で出かけてみようと思って」
「ふーん、そうなんだ。でも良いと思うよ。…最近お前色んな子とご飯食べたり、結構色々やってるよね」
「うん。…何か、もう半世紀以上もほとんど同じ事してたし、違う事やってみたくなって」
「…そうだよね。お前裕福で地位すごく高いとは言っても、自由無かったもんね。…ずっとあいつが一緒だったしさ」
「…うん。今まではそれで幸せだったんだけど、何か、最近あんまり幸せじゃなく感じてきて」
「…だね。俺から見ても、悪いけどお前あんまり幸せそうじゃないし。…俺達皆お前の味方だから、いっぱい色んな事やりなよ」
「…そうだね、ありがとう。…あ、じゃあ僕ここで降りるから。またね」
「うん、気を付けて。まあお前なら大丈夫だろうけどさ」
そう言って、やっぱり相当アレな駅でクロは静かに降りていった。
「…あいつ、本当幸せになって欲しいな」
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