はーとふるクインテット

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第二章 みんなとのアレな日々

番外編 クロとシロが出会った日の事

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「…御名よ。新たな任務が入った。今回は相当に難しいと思う。心してかかれ」

「…畏まりました」


「相手は某国の最強の生体兵器。通称《白紙の彼》だ」

「…ああ、聞いた事があります」

「ああ、文字通り白紙の所から最強の兵器に仕立て上げられた、気の毒な子だ」
「…ええ、彼もまた、戦争の犠牲者ですね」

「…気は進まないだろうが、お国のためだ。どうか耐えてくれ」
「ええ、分かっています。僕達皆、そうするしかありませんから」


「…さあ、皆行こう。どうか、誰一人欠けないようにしようね」


そうして、千里が予測したその地に、彼と数名の補給部隊はやって来た。

「…貴方たちですね」

「ああ、そうだよ。君が白紙の彼だね」

「…ええ。申し訳ありませんが、死んでもらいます」

そう言うなり、彼は全身に携えた兵器を構え、恐ろしい勢いで飛びかかって来た。


その場に居た全員で激しく飛び交わし、後方に待機していた千里の予知を幾度も聞き、危ういところで致命傷を回避し続け、相当な時間の後とうとう決着は付いた。


「…僕は、殺されるのですね」

「…出来る限り、そうはしたくないけどね」


彼は気の毒だが強力な薬を嗅がせ眠ってもらい、本部に運び込まれた。

「あー、もう全身ズダボロ。可愛いセーラー服もお見せ出来ない有様だし最悪ー」
「…まあ、これだけ強い子だったからね、仕方ないよ」

「…クソ嫌いなお前に慰められたく無いんだけど」
「…ごめんね、まあ仕事だから」

「あーはいはい、クソビジネスライクな関係だもんね僕たち」

「他の皆も相当消耗してるけど、取り返しのつかない傷は負っていなくて良かったよ」
「この子も、僕達ほどクソでは無いにせよ可哀想だよね」

「ああ、そうだね。…本当に、最悪の処分は避けて欲しいんだけれど」
「この子、僕に襲い掛かるときすごく悲しそうだったし、たぶん良い子だよね」


「…うん、きっとそうだね」
「だからさー。まあクソな上層部もクソなりに分かってくれるだろうし、仲間にして欲しいんだけどなー」

「ああ、僕からも進言しておくよ」


その日帰還後早速、彼はその有用さを見込まれ、厳重に再洗脳を施され味方になる事が決定した。


「…シロ、彼の処置が終わったよ。まもなく目覚める」
「ふーん、クソ研究員どーも。じゃあ僕行ってくるよ」


「…ん」
「あー、クロおはよ。良く寝てたね」

「…うん。…ごめん、変な事聞くけど、シロだよね」
「うん、そうだよ?お前の十年来の相方のシロ」

「…うん、だよね。ごめんね」
「お前ほんと寝ぼけてるんじゃないの?大丈夫?」

「…うん、なんか、すごく悲しくて嫌な夢見てた」
「まあ僕達全員相当クソな人生送ってる訳だし、そりゃたまには見るよね。まあほら、どうせ夢だし良いじゃん」

「…そうだね、シロ」

「ほら、もう夕飯だし行こ。今日はお仕事頑張ったからすごい御馳走だよ」
「そっか、楽しみ」
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