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第9章 新たな展開の幕開け

夏コミに向けて!読モに向けて!

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そして、寝て直後にいつも通り美咲が起こしに来た。
ドアのノックの音と開く音で隆司は目を覚ましたが、少し様子がおかしかった。

「おにいちゃん、起きたんだね~・・・ん?なんか顔が赤くない?」

酷い倦怠感と寒気がすることに気づいた。
隆司はベッドから起きてはみたが、体調の不調に気付いた。

「あれ?・・・なんかふらつくな。やべっ・・・風邪ひいたかな~」

「おにいちゃん、大丈夫?ベッドに横になって。熱あるんじゃないかな~」

美咲の手が隆司の額に当てられると、美咲はびっくりしていた。

「おにいちゃん、すごい熱!ちょっと待ってて!」

美咲は慌てて隆司の部屋を出て走って母親のところに行くと大きな声が聞こえてくる。
母親が体温計を持ってくると熱はかなり高めで、とても学校に行ける状態ではなかった。
母親が冷えピタを額に貼り、風邪薬を持ってきて隆司に飲ませてから横になったが、美咲は心配そうに隆司の手を握り「私も学校を休むよ」と言ったが、母親は「心配いらないから、美咲は学校へ行きなさい」と言い、美咲を学校へ行かせた。

「おにいちゃん、心配だよ~。今日はおとなしく寝ててね!学校が終わったら、すぐに帰ってくるから。そしたら、わたしが看病するね!」

「ったく、たかが風邪くらいでそんな顔するなって。でも、ありがとな。美咲のそういう優しいところが俺は好きだ。心配いらないから早く学校に行ってきなって」

「う、うん・・・じゃあ行ってくるね。おにいちゃん」

風邪をひくと美咲は毎回、泣きそうな顔をする。
久しぶりに歩くいつもの通学路。

「おにいちゃんがいないと寂しいな~。今日は放課後に生徒会室に行かないで早く帰らないと」

暫く下を向いて歩いていると、いつもの合流する場所まで来ていた。

「おはよ~、美咲ちゃん・・・って隆司は?もしかして変な本ばっかり書いてて寝坊して呆れておいてきちゃった系?」

杏子は笑いながら美咲に言うが、美咲も作り笑いをして挨拶をしているが暗い表情をしているのに気づいた。
気になって、どうしたのか理由を聞いてみた。

「実はですね・・・おにいちゃん、すごい熱があって、今日は学校はお休みなんです。だから今日は放課後に生徒会室に行かないで早く帰って看病したいなって・・・」

歩きながら杏子と三紀子は色々と聞いている。

「そうなんだ~、風邪引いちゃったんだね~。滅多に病気しないのに珍しいわね~。なんだか隆司がいないと物足りないわね~」

「ねっねっ、美咲ちゃん、杏子ちゃん。学校が終わったらさ、みんなでみんなでお見舞いに行っちゃおうかぁ~。隆司君のお部屋、何気にきになってたんだぁ~」

「そうね~・・・私も隆司の部屋に行くのは久しぶりだな~。最近、表には出さないけど、よくアニメの真似とかしてて、なんていうか、一人で(なにっ!我らのアジトに気づいた打とっ!)とかとか一人で言っててさ~。あと、眼帯とか着けて来たりして(この目の封印を解くのはリスクがありすぎる!)とかわけわかんないこと言ってて、何やってんのかなって呆れて見てたよ~」

「えぇ?隆司君って中二病だったのぉ~。結構ハマるんだよねぇ~。私もよくやってたぁ~。自分の部屋の中限定だけど~」

杏子は引きつった顔で三紀子を見て心の中で「同類だったのね」とつぶやいた。
ということで学校が終わったら、みんなで隆司のお見舞いに行くことになってしまった。
と、そこで蓮司も合流して、みんなと同じことを口にした。
杏子と三紀子はお見舞いを蓮司にも伝えた。

「なんだ、あいつ風邪で休みなのか。んー、俺はパスだ。あいつの部屋は苦手なんだ・・・その、アニメだのゲームだのがな」

「隆司君のお部屋ってヲタク全開なのかなぁ~。みた~い!杏子ちゃんは隆司君のお部屋はみたことあるの?」

「え?よく一緒に勉強してたからあるけど、行くたびに何かが増えてたかな~。中学時代なんか酷かったわね~。部屋に入ると、いきなりモデルガンを突きつけられて、おまえはどこのスパイだ!とか訳わかんないことばっか言ってたよ~。あれで成績がトップなんてマジありえない」

そんなこんなで学校へ着くころ、隆司はというと少し寝てから目を覚まして時計を見ると「丁度、みんな学校に着く時間か~」と言ってベッドから起き上がり、パソコンデスクの椅子に腰かけて両手を上に伸ばしていた。

「んーーー。体が軽くなったな~。一眠りしたから薬が効いて熱が下がったし、ちょこっとエロゲーして遊んでから原稿投入でもするかな~」

ちょこっとのつもりがガッツリとプレイしてしまい、ノートまで出して各キャラの攻略ルートを書き込んでギャラリーをフルコンプしようとしている。

「後1枚なんだけどな~・・・どこでルートを間違ったんだ~。ん?やばっ!こんな時間か、美咲が帰ってきちまう。諦めて、とりあえずは電話してメディアで原稿投入しとかないと」

隆司は急いでスマホで電話をして、原稿投入をしてオフセット印刷と製本の依頼をかけ、美咲が帰る前にベッドに横になった途端に玄関から美咲の声が聞こえてきた。
美咲は「ただいま~」と大きな声を上げていると、何やら数人の声も聞こえてきた。

「ん?・・・美咲の友達も一緒なのかな」

「おじゃましまーす」

同時に聞こえてきた声には聞き覚えがあった。
ドアがノックされドアが開けられると、杏子と三紀子も一緒だった。

「げっ!なんでおまえらがいるんだ?・・・って、おぃ!三紀子・・・何してやがる?」

「え?とりあえず部屋の物色~・・・うわぁ~、ヲタク全開なお部屋だね~。おぉ~、妹物ばかりの同人誌発見!どれどれ・・・」

「こらっ!そこら中漁るな!・・・って、杏子、おまえは何をしてる?」

「ん~・・・ベッドに下にエッチな本があるかなかって・・・あったあった。ベッドの下は定番だよね~」

美咲は入り口で苦笑いをして棒立ちしている中、三紀子は本棚だの机の引き出しだの、果てはパソコンまでいじり始めている。
そして杏子もそこら中を物色している。

「美咲!なんで、こいつらまで連れてきたんだ?!」

「お兄ちゃんのとこが心配だって言うから~。もう大丈夫なの?」

すると、パソコンからエロい声が聞こえてきた。

「三紀子~!何エロゲーやってんだ!やめろー。って・・・杏子、おまえ何やってんだ。こら」

「ん?高校生には不健康だから紐でしばって捨てようかな~と」

二人は隆司の部屋を荒らし放題。
三紀子は三紀子で机の引き出しを開けっぱなしでパソコンでエロゲーをしつつ妹物の同人誌を読み漁っている始末。
杏子に至っては、そこら中にある同人誌やら隠していたエロゲーなどもゴミ袋にほおりこんだり、本はまとめて紐で縛ったり、荒らしたい放題のありさま。

「おぃ、杏子、おまえ、どこからゴミ袋なんか持ってきやがった!だーーーー!二人とも出て行けってーーーーー!」

そんな中、美咲は平然として紅茶をトレーに乗せて持ってきた。

「杏子先輩に三紀子先輩に、おにいちゃん。紅茶持ってきたよ~・・・って凄い勢いで叫んでたけどどうしたの?」

「なんでもないわ・・・あぁ、なんか熱出てきたわ」

隆司は叫び疲れて、ぐったりとベッドに横になると、3人は平然と何事もなかったかのように紅茶と杏子が作ってきたお菓子を食べている。
隆司も仕方なくベッドから出て美咲が持ってきてくれた紅茶を飲んでいると三紀子が何やら言ってきた。

「おぉ~・・・男の子だねぇ~。ゴミ箱にティッシュがいっぱい~」

「ぶーーーーーーっ!おまえな!」

「うわぁ~・・・隆司君、顔に紅茶かけないでよぉ~。汚いなぁ~」

「おまえが急に変なこと言うからだろうが!・・・って、おまえらは何しに来たんだよ」

「美咲ちゃんが心配しててさ~。私たちもお見舞いにと思ってね~」

隆司はジト目で二人を見ると「見舞いになっとらんわ」と一言言って紅茶を飲みながら杏子の持ってきたお菓子を食べている。

「おにいちゃんも熱が下がったみたいで安心したよ~。心配したんだから~」

「まあいい。そりゃそうと、ほら、三紀子。これを見ろ」

隆司は1枚のCDと製本したものを渡した。
それは仕上げたばかりの合作のCG集と、その内用の見本誌だった。

「うわぁ~。これってCG集なんだねぇ~。あと、これはCG集の見本誌かなぁ?」

「そうだ。これから夏が来る。夏には夏コミというビッグイベントがある!俺たちの合作だ。オフセット印刷の原稿投入もさっき送ったところだ。おまえの夏コミデビューでもあるな。ホームページで広めるんだ。後はおれの同人誌と、おまえの同人誌が出来上がるのを待つだけだ。CG集はおれがCD-Rに焼きこんで、ご覧の通りCDにはCGをプリントしてある」

三紀子は嬉しそうにCDとサンプルの隆司のお手製の製本を手にするとテンションアゲアゲで喜んでいた。

「帰ったら、早速ホームページを更新するよぉ~。嬉しいなぁ~・・・わたし、コミケって紹介されてるホームページでしか見たことがないから楽しみすぎるしワクワクすぎるよぉ~」

と、そこで三紀子が急接近してきて「隆司君の同人誌ってタイトルはなになに?ホームページで紹介しちゃうよぉ~」と言ってきた。
隆司は三紀子に耳打ちをしてタイトルをこっそりと教えた。

「タイトルな。兄が妹に恋するなんておかしいだろっ!だ。まあそのまんまだな。おれはリアルに妹が好きなんだけど、やっぱおかしいだろうが。誰にも言えんから、おまえも誰にも言うな。わかったな!」

「えぇーーーーー!隆司君って美咲ちゃんが好きなのぉ~!!!」

三紀子は大声で思いっきり叫んだ。

「えっ?えっ?わたし?」

美咲は慌てふためいていると隆司が「いやぁ~。おれの可愛い妹だからな。兄として当然だ」と咄嗟にごまかした。
杏子もジト目で見て「あんたのシスコンは度が過ぎてるもんね」と言い放った。
隆司は三紀子の耳を引っ張ってこっそり「いきなり大声で叫ぶな。アホか、おまえは」と耳元で言った。
しばし沈黙が続くと美咲のスマホから着信音が鳴り響いた。

「もしもし、あっ、はい・・・はい。ほっ、ホントですか?うわぁ~、ありがとうございます!ぜひ、よろしくお願いします!あっ、はい、今みんなで集まっていますので伝えておきます。それで、日程はいつ頃ですか?あっ、はい!大丈夫です。またご連絡をお待ちしてます!」

「なんだ?美咲、なんかかしこまって、誰からだ?」

「おにいちゃん!この間の編集長さんからなの!あの撮影の時の写真をプリントアウトして会議をしたみたいなんだけど、出来栄えが高評価だったみたいで、わたしと杏子先輩にまた撮影をお願いしたいって!ねっ!杏子先輩も!」

「えっ!また?私は遠慮したいな~。緊張するのよね~」

「おっ!いいじゃんか。美咲の夢のためだ。おまえも一緒に行ってやれよ。また俺たちも付き合ってやるからさ。なっ」

「う~ん・・・で、いつなの?プロのメイクは楽しみだけど、またあの苦手な空間か~」

美咲は杏子の手を握って、舞い上がって「夏休みに撮影を予定してるって言ってました!なんでも、別冊の雑誌らしいです!」と言うと杏子はしぶしぶ行くことにした。
杏子は昔から隆司の頼みは断れないでいる。

「よっしゃー!今年は熱い夏になること間違いなしっ!美咲と杏子の読モに、三紀子の夏コミデビュー!今から気分上がるわ~!」

隆司は立ち上がった途端に床にあった同人誌に足を滑らせてフラフラっとよろめいて、杏子の方に倒れこんだ。
はたから見るとまるで隆司が杏子を押し倒しているようにも見える。
右手は胸を鷲づかみし、片膝は杏子の股の間に入り込み、下着が丸見え状態。

「いっつつ・・・いや~、すまんすまん・・・って、うわぁ!」

「・・・・・スケベ変態エロ隆司!早くどきなさいってばっ!」

「うわぁ~。隆司君、エロ漫画とエロゲーのお決まりパターンだねぇ~。リアルで見るのは初めてだよぉ~。あははは」

三紀子以外からは白い目で見られてしまった。
隆司は慌てて立ち上がり、言い訳を始めていた。

「いや、ほんとに偶然だから!勘違いだって!・・・って、おまえがおれの同人誌とか捨てようとして部屋にばらまくからだろうが」

隆司は散らばった同人やらなんやらを纏めながら座った。

「つーか、おまえらはいったい何しに来たんだよ。三紀子は部屋を物色するわ、杏子はマイコレクションを捨てようとするわ」

事情を聞くと、どうやら美咲がみんなに隆司が風邪を引いたのをみんなに言ってお見舞いに来た事を言ったらしい。

「風邪はもうなんともないし、明日からは学校に行くから、みんなはこの聖域から出て行ってくれ~・・・って三紀子、おまえはなぜにエロゲーをプレイしてんだ?」

「ん?・・・・美女ゲーも案外面白いのねぇ~。何か面白そうなの借りてっていい?」

「おっ?BL卒業か?このシリーズは面白いから貸してやる。」

三紀子は隆司から数本のソフトを借りると「じゃあ、明日、私のお勧めゲーム持ってくるよぉ~」と言ったが、隆司は「BLなんかやらねぇから持ってくるな」と言うと、三紀子は少しショボーンとしていた。

「いいか、三紀子。この夏は、おまえにとって初のコミケデビューだ!俺は今日、印刷会社に依頼をして原稿を投入した!おまえは自分のホームページで宣伝しまくるんだ!そして目指すは完売だ!そして、もう一つイベントがある!それは可愛い妹の第2弾の読モだ!杏子、おまえは道連れだな、うん。今年の夏は熱くなるぞ~!」

「コミケは緊張するけど頑張るよぉ~。帰ったら早速更新するよぉ~。なんだかドキドキだなぁ~」

「大丈夫だ!おまえの画力は相当なものだと思う。目指さ!完売だ。わかったな!」

なんだか二人はがっしり手を握り明後日の方向を見て燃えている。
杏子はため息をしているが、美咲はテンションを上げている。
もうじき夏だ。
そして、夏休みが控えている。

「っていうか、おにいちゃん・・・風邪は?」

「そんなものは吹っ飛んで行ったさ!燃えるぞ~」

そして、この日は解散となり、新しいステージの幕開けを予感していた。
美咲も読モとして波に乗るのか、三紀子も夏コミで初デビューとして花を咲かせるのか。
第2幕の幕開けを予感していた。
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