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第4章 2 激闘勃発マンティコア!

無視する優しさ

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 とりあえず、近場にあったキャバクラに入ることにした。

 店の入り口の前にはスーツをピシッと着こなした男の猫族が立っており、入り口横にはその店に属しているキャバ嬢たちの写真が、シルバーに輝く額縁の中に飾られていた。

 店の中は、必要最低限しかライトがついていないが、その薄暗さがかえって扇情的で、高級感を漂わせていた。

 女性であるミライとマーズが入店したことに対してなにも触れられなかったのは、百合を全面的に認めているお店ってことでよろしいでしょうか!

「それでは、お席へご案内いたします」

 ボーイに案内されて店の奥の席につく。

 こんないやらしい場所、産まれてはじめてだ。

 ……なんか、緊張するなぁ。

 この店にいさえすれば、女の子が俺を無条件で持ち上げてくれるんでしょ?

 女の子が自分から話しかけにきてくれるなんて、普通じゃありえないからね。

「うひゃー! おじさん! 今日もみんなのためにいっぱいドンペリ入れちゃうよー! もっともっとちこうよれーっ!」

 突然、俺たちのもとに大きな声が届く。

 少し離れたVIP席と書かれた場所で、一人のおじさんがたくさんのキャバ嬢を従えて、鼻の下を伸ばしながらはしゃいでいた。

 ああいうおじさん本当にいるんだね。

 あの歳であんな風にキャバクラで大はしゃぎ、なんて惨めというか、見苦しいというか。

 キャバクラにいくなとは言わないが、もっと歳相応に落ち着いた飲みかたを……ってあれお医者さんのテツカさんじゃん!

 驚きで目玉が飛び出るとはこのこと。

 思わず下を向いて落ちた目玉を探しそうになったよ。

 テツカさん、コハクちゃんの家で話したときは、堅苦しそうな印象だったのになぁ。

 でもまあ、息抜きは大事だよね、息抜きは。

 見なかったことにしてあげよう。

「あ、あれはテツカさんじゃないですか。誠道さん、挨拶にいきましょう」

「絶対やめてあげて! 見られたくない一面だから! 他人のフリをしてあげる優しさもあるから!」
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