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第1章 4 魔本には男子の夢が詰まっている
一件落着?
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「でも、不思議ですね。盗まれて、しかも壊れていたはずなのに、どうして目の前に落ちていたんでしょうか」
聖ちゃんが持っている聖剣ジャンヌダルクをいぶかしげに見つめている。
「それは、そういう決まりじゃからのう」
……んん? この声は、もしかして。
聞き覚えのある声に、俺は後ろを振り返る。
「よう、おぬしら。元気にしておったか?」
そこにいたのは巫女服姿の女性、女神様リスズだ。
ちょうどいい。
俺はこいつに言いたいことが山ほどあるんだ。
「おいてめぇ、俺は【探索】なんてシステム知らなかったぞ!」
「おぬしのサポートアイテムは自我のある人形。プライベートは大事じゃから、言う必要はないと思っていたのじゃが」
「なんか正論っぽく聞こえるのが悔しいな」
「でもまあ……わかったのじゃ。おぬしがミライのやることなすことをすべて知りたいストーカーなら」
「ストーカーじゃねぇわ」
「それならミライの意志で【探索】を拒絶できるようにしようかのう。通常時は【探索】できるようにしておいて、おぬしに知られたくない場所にいくときは【探索】を拒絶できる。名づけて【探索スイッチ】じゃ。後でミライに教えておこう」
「適度にダサいネーミングをありがとう! その勢いでもうひとつ、俺の【新偉人】を有能なステータスに変えてくれると助か」
「それは無理じゃ」
「即答やめろ」
「もうステータスの再取得はできんのじゃ。その聖剣ジャンヌダルクのような、サポートアイテムと違っての」
「えっ?」
聖ちゃんが驚きの声を上げる。
「つまりそれは、女神様がジャンヌダルクを新しく作り直してくれたってことですか?」
「そういうことになるのう。わらわに感謝するのじゃ」
聖ちゃんには優しく受け答えをする女神様。
俺にはその優しさをいつになったら見せてくれるの?
「なにを不満げな顔をしておる。当然であろう。おぬしらに与えたサポートアイテムは、この世界の現段階の技術に見合ってないものが多い。盗まれて解析、複製などされるわけにはいかんからの。所有権が他の者に渡ったとわらわが判断した時点でそのサポートアイテムは自壊、わらわが新たなサポートアイテムを作成して、再度手渡すことになっておる」
聖剣ジャンヌダルクの場合、柄の部分はこの世界の現段階の技術でぎりぎり作れるから、刃の部分だけが壊れる仕様になっていた、と女神リスズはつづけた。
「そんな面倒ことせずに取り返してくれたらいいじゃん。神なんだから」
俺が疑問に思ったことを聞くと、頭をぺしっとたたかれる。
「神だからこそじゃ。神は管理する世界への過度な干渉を禁じられておる。取り返そうとすれば戦闘が発生する可能性だってあるし、場合によっては相手の命を奪ってしまうやもしれぬ。そもそも、なんでもかんでも手助けするほど、わらわも暇ではないからの」
「でも、だったら盗まれたときにすぐに新しいのを渡してほしかった、です」
控えめに主張した聖ちゃんの頭を、女神様は優しく撫でる。
やっぱり特別扱い!
「こんなすごいアイテムをぽんぽんぽんぽん作れるわけがなかろう。何度も言うが、わらわも暇ではないのじゃ。間に合ったからいいではないか」
まあ、そりゃそうだけど。
ってかこの女神様、異世界転生者のことを少しは考えていたんですね。
びっくりだよ。
「さて、用は済んだ。わらわはこれで失礼する。もう失くすことのないようにな」
その言葉を残して、神様は俺が瞬きする一瞬の間に、その姿を消した。
まあ、なにはともあれこれで一件落着。
金の亡者お姉ちゃんは今度会ったらただではおかないけれど、この異世界にきて、はじめて綺麗に物事が解決できたような気がする。
聖ちゃんが持っている聖剣ジャンヌダルクをいぶかしげに見つめている。
「それは、そういう決まりじゃからのう」
……んん? この声は、もしかして。
聞き覚えのある声に、俺は後ろを振り返る。
「よう、おぬしら。元気にしておったか?」
そこにいたのは巫女服姿の女性、女神様リスズだ。
ちょうどいい。
俺はこいつに言いたいことが山ほどあるんだ。
「おいてめぇ、俺は【探索】なんてシステム知らなかったぞ!」
「おぬしのサポートアイテムは自我のある人形。プライベートは大事じゃから、言う必要はないと思っていたのじゃが」
「なんか正論っぽく聞こえるのが悔しいな」
「でもまあ……わかったのじゃ。おぬしがミライのやることなすことをすべて知りたいストーカーなら」
「ストーカーじゃねぇわ」
「それならミライの意志で【探索】を拒絶できるようにしようかのう。通常時は【探索】できるようにしておいて、おぬしに知られたくない場所にいくときは【探索】を拒絶できる。名づけて【探索スイッチ】じゃ。後でミライに教えておこう」
「適度にダサいネーミングをありがとう! その勢いでもうひとつ、俺の【新偉人】を有能なステータスに変えてくれると助か」
「それは無理じゃ」
「即答やめろ」
「もうステータスの再取得はできんのじゃ。その聖剣ジャンヌダルクのような、サポートアイテムと違っての」
「えっ?」
聖ちゃんが驚きの声を上げる。
「つまりそれは、女神様がジャンヌダルクを新しく作り直してくれたってことですか?」
「そういうことになるのう。わらわに感謝するのじゃ」
聖ちゃんには優しく受け答えをする女神様。
俺にはその優しさをいつになったら見せてくれるの?
「なにを不満げな顔をしておる。当然であろう。おぬしらに与えたサポートアイテムは、この世界の現段階の技術に見合ってないものが多い。盗まれて解析、複製などされるわけにはいかんからの。所有権が他の者に渡ったとわらわが判断した時点でそのサポートアイテムは自壊、わらわが新たなサポートアイテムを作成して、再度手渡すことになっておる」
聖剣ジャンヌダルクの場合、柄の部分はこの世界の現段階の技術でぎりぎり作れるから、刃の部分だけが壊れる仕様になっていた、と女神リスズはつづけた。
「そんな面倒ことせずに取り返してくれたらいいじゃん。神なんだから」
俺が疑問に思ったことを聞くと、頭をぺしっとたたかれる。
「神だからこそじゃ。神は管理する世界への過度な干渉を禁じられておる。取り返そうとすれば戦闘が発生する可能性だってあるし、場合によっては相手の命を奪ってしまうやもしれぬ。そもそも、なんでもかんでも手助けするほど、わらわも暇ではないからの」
「でも、だったら盗まれたときにすぐに新しいのを渡してほしかった、です」
控えめに主張した聖ちゃんの頭を、女神様は優しく撫でる。
やっぱり特別扱い!
「こんなすごいアイテムをぽんぽんぽんぽん作れるわけがなかろう。何度も言うが、わらわも暇ではないのじゃ。間に合ったからいいではないか」
まあ、そりゃそうだけど。
ってかこの女神様、異世界転生者のことを少しは考えていたんですね。
びっくりだよ。
「さて、用は済んだ。わらわはこれで失礼する。もう失くすことのないようにな」
その言葉を残して、神様は俺が瞬きする一瞬の間に、その姿を消した。
まあ、なにはともあれこれで一件落着。
金の亡者お姉ちゃんは今度会ったらただではおかないけれど、この異世界にきて、はじめて綺麗に物事が解決できたような気がする。
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