魔法少女のなんでも屋

終わったことだし

「おー、天ちゃんカノジョさん？」
黒髪の少女が、滑るように空を飛ぶ。
「んなわけあるか！」
女の子をお姫様抱っこしたまま、間伐入れずツッコミを入れる。
「お兄さん彼女いないの？」
「作らねーの。」
少女の純粋な瞳を見やり、そっけなく答える。
地面に降り、女の子を座らせる。
「ほら、拭けよ。」
「私幽霊なのに…」
「ああ？幽霊だろうが女は女、濡れてんのになんもしねえ男がいてたまるかってんだ。」
「イケメン！」
目を見開いて身を乗り出す。
「るせーよ、マセガキ。」
不満気な瞳で見上げてくる。
「だめだ、もっと歳が近えヤツと付き合うこったな。」
「愛美ちゃーん！」
梨流華が走ってきた。
「大丈夫？」
身を縮め、天の服を掴む。
「大丈夫だよ、無理やりあっち側に連れてったりしないよ。」
「ほんと？」
「ほんとだよ！」
優しい笑顔を向ける。
「とりあえずホテルまで戻るぞ、そん中には幽霊も鬼もいやしねえ、安心しろ。」
頭をポンポンする。
「んじゃ、お姉ちゃんの魔法で戻りますよ~。」
魔王が魔法陣を展開する。
壁掛けのテレビや、黄色い照明のベッド。
「わあ、ホテル！」
「よかったな。」
「うん！」
天の手をにぎる。
「お姉様～！」
「ただいま、むぎむぎ。」
ムギが魔王の胸に飛び込む。
「ん～、とりあえず女の子の救助は終わったし、ユウ、アンタもおいで。」
弟の優斗を呼ぶ。
「行くよ、ラスボスを潰しに。」