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「にゃ(そうだったのか)?」
思わずいりこの人の方を見るといりこの人は顔をそむけた。
………しかし私には見えていたぞ。顔は赤くなっていたのがな。
嬉しくなって思わず喉がゴロゴロなった。
…………………………………………。
しばらく、顔を背けつつも器用にもふっていたいりこの人が顔をこちらに向けて頭を撫で始めたので話を続けることにした。
…………この人達、猫の姿でも話が通じるから助かるぜ。
周りをみると全員ではないものの石像から命の石を取り出せた人?達は皆実体の伴った姿に変化していた。ちなみに番の狼は人の姿に狼の耳と尻尾が生えた状態になっていた。子狼は獣の姿のままだったがな。
「にゃあ(これからどうするんだ)?」
他の国はまだ闇の一族の遺跡がある状態だから彼らが行くのは危険である。かといってここだと人がたくさんいるの彼らは休まらないだろうしな。
「出来ればこの領地に居させてくれないか。」
「にゃあ(人のこと苦手になっているだろう、大丈夫か)。」
「…………全員がそうではなかったのを思い出せた。それに君たちのいる領地なら安心できると思ったのだ。だからもしよければ…………。」
「かまわない。トラバス領主として、この子の婚約者として歓迎する。」
「感謝する!」
そこで、まだ石のままの人達のことを聞いてみることにしたら族長曰く、もうしばらくかかるとのことだった。
…………もしかしたら、私達が生きている間には無理かもしれないらしい。
今は命の源を蓄えるために眠っている状態のようだった。私はいつかは戻ることができるのだと安心した。
それからが大変だった。呼んでいた呪具の封印スキルを持つ者が屋敷に来て必要なくなったことを説明したい、王城のほうにその件に関しての説明しに行くという手紙を出したら、何故か王弟殿下がトラバス家屋敷に来ちゃったりと忙しい毎日が続いた。古の一族達についてもこの国の国民として認められ、トラバス領への居住が正式に王城から許可が出された。ちなみに私はやはり顔の傷は誤魔化されてくれず、これまで保留になっていた分、いりこの人にお説教された後、猫用フリフリドレスを着せられたのは言うまでもない。
………まあ、いりこの人喜んでいたからいいか。
その数日後、猫の姿でぬるめの紅茶を飲んでいた私はふと思い付いて人の姿に戻った。いりこの人は私と一緒に仕事が一段落ついて一緒に休憩していた。
ぽん!
「………今日は人の姿になってくれたのか?」
最近、人の姿になると婚約者としてのスキンシップをよくするようになったいりこの人は、私を自分の方に引き寄せて膝の上に乗せた。私の名前を呼ぶ声はとても甘い。実はいまだにいりこの人と呼んでいるのだが、いりこの人はその事に関しては何も言ってこないので申し訳なく思っている。それに私はまだあの言葉をちゃんと言えていない。しばらく黙ったままていると、いりこの人は私がなにかを言おうとしているのに気づいていたのか黙って待っていてくれた。これまで待っていてくれたいりこの人にこんしゃしつつも、かなり時間がかかったもののようやく一言その言葉を伝えることができた。
「ラド、愛してるぞ。」
言い逃げといわんばかりに逃走を図ろうとする私を抱き締めると耳元で囁くような声で言った。
「………俺も愛してる。」
いりこの人は最近よく愛の言葉を伝えてくれていたが私は今回が初めてだったからか、いりこの人はとても幸せそうな顔をしていた。そんな彼の顔を間近に見てしまった私はとっさにある言葉を口にした。
「こ……………。」
「こ?」
「今度からいりこの人じゃなくてジャーキーの人って呼ぶからなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァーーー!」
ぽんっと音をたてて猫の姿になると素早い動きで今度は逃走に成功したのだった。
しばらくキョトンとしていたいりこの人改め、ジャーキーの人は一人になった部屋で思わず爆笑した。
「ぷっあーっはははははっ!……………俺の嫁可愛い。」
しばらく、ジャーキーの人の笑い声は屋敷中に響いていた。
「…………今回限りじゃなくてまたラドって呼んでくれ。」
その言葉はどこまでも甘く優しさに包まれていた。
fin
最後まで読んでくださりありがとうございました。
思わずいりこの人の方を見るといりこの人は顔をそむけた。
………しかし私には見えていたぞ。顔は赤くなっていたのがな。
嬉しくなって思わず喉がゴロゴロなった。
…………………………………………。
しばらく、顔を背けつつも器用にもふっていたいりこの人が顔をこちらに向けて頭を撫で始めたので話を続けることにした。
…………この人達、猫の姿でも話が通じるから助かるぜ。
周りをみると全員ではないものの石像から命の石を取り出せた人?達は皆実体の伴った姿に変化していた。ちなみに番の狼は人の姿に狼の耳と尻尾が生えた状態になっていた。子狼は獣の姿のままだったがな。
「にゃあ(これからどうするんだ)?」
他の国はまだ闇の一族の遺跡がある状態だから彼らが行くのは危険である。かといってここだと人がたくさんいるの彼らは休まらないだろうしな。
「出来ればこの領地に居させてくれないか。」
「にゃあ(人のこと苦手になっているだろう、大丈夫か)。」
「…………全員がそうではなかったのを思い出せた。それに君たちのいる領地なら安心できると思ったのだ。だからもしよければ…………。」
「かまわない。トラバス領主として、この子の婚約者として歓迎する。」
「感謝する!」
そこで、まだ石のままの人達のことを聞いてみることにしたら族長曰く、もうしばらくかかるとのことだった。
…………もしかしたら、私達が生きている間には無理かもしれないらしい。
今は命の源を蓄えるために眠っている状態のようだった。私はいつかは戻ることができるのだと安心した。
それからが大変だった。呼んでいた呪具の封印スキルを持つ者が屋敷に来て必要なくなったことを説明したい、王城のほうにその件に関しての説明しに行くという手紙を出したら、何故か王弟殿下がトラバス家屋敷に来ちゃったりと忙しい毎日が続いた。古の一族達についてもこの国の国民として認められ、トラバス領への居住が正式に王城から許可が出された。ちなみに私はやはり顔の傷は誤魔化されてくれず、これまで保留になっていた分、いりこの人にお説教された後、猫用フリフリドレスを着せられたのは言うまでもない。
………まあ、いりこの人喜んでいたからいいか。
その数日後、猫の姿でぬるめの紅茶を飲んでいた私はふと思い付いて人の姿に戻った。いりこの人は私と一緒に仕事が一段落ついて一緒に休憩していた。
ぽん!
「………今日は人の姿になってくれたのか?」
最近、人の姿になると婚約者としてのスキンシップをよくするようになったいりこの人は、私を自分の方に引き寄せて膝の上に乗せた。私の名前を呼ぶ声はとても甘い。実はいまだにいりこの人と呼んでいるのだが、いりこの人はその事に関しては何も言ってこないので申し訳なく思っている。それに私はまだあの言葉をちゃんと言えていない。しばらく黙ったままていると、いりこの人は私がなにかを言おうとしているのに気づいていたのか黙って待っていてくれた。これまで待っていてくれたいりこの人にこんしゃしつつも、かなり時間がかかったもののようやく一言その言葉を伝えることができた。
「ラド、愛してるぞ。」
言い逃げといわんばかりに逃走を図ろうとする私を抱き締めると耳元で囁くような声で言った。
「………俺も愛してる。」
いりこの人は最近よく愛の言葉を伝えてくれていたが私は今回が初めてだったからか、いりこの人はとても幸せそうな顔をしていた。そんな彼の顔を間近に見てしまった私はとっさにある言葉を口にした。
「こ……………。」
「こ?」
「今度からいりこの人じゃなくてジャーキーの人って呼ぶからなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁァァァーーー!」
ぽんっと音をたてて猫の姿になると素早い動きで今度は逃走に成功したのだった。
しばらくキョトンとしていたいりこの人改め、ジャーキーの人は一人になった部屋で思わず爆笑した。
「ぷっあーっはははははっ!……………俺の嫁可愛い。」
しばらく、ジャーキーの人の笑い声は屋敷中に響いていた。
「…………今回限りじゃなくてまたラドって呼んでくれ。」
その言葉はどこまでも甘く優しさに包まれていた。
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