婚約破棄なんてどうでもいい脇役だし。この肉うめぇ

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彼は来たときと同じように静かに消えていった。私はしばらく彼がいた場所を見つめていたがそっとため息をつくと、彼が先ほど言っていた言葉について考えた。

………………もうあの扉の近くに近付いても大丈夫ってことは、この腕輪の中にあの扉に嵌まっている命の石を入れても平気ってことだよな。

つまり先に命の石を入れてから扉を開けってことだよな。そうじなければ、近付いても大丈夫じゃなくて扉を開けても大丈夫って言うはずだしな。

「にゃあ(それじゃあ行くか)！」

目指すはあのキラキラした扉の前までだぜっ！

ととととととととととととととととととと！

扉まで走りながらさっきの彼のことを考える。

……………あの人って何者なんだろう。

角が生えていたよな。しかも白いやつ。角が映えている種族って意外とたくさんあったよな。なにがあったっけ？………えーと。

オーガ族………は違うな。牙はなかったし、巨体ではなかった。
ユニコーン族………はそもそも人になれたっけ？あまり書物にないんだよな。
ペガサス族………は角ないな。それに人の姿になるかは不明だしな。
インキュバスとかサキュバス……………もないだろうしな。インキュバスのように全身でエロいって類いの人でもない。むしろ神聖なオーラが周りを漂っているしな。サキュバスは問題外。あれは性別的に合わない。

…………………………それなら獣人はどうだろうか。
山羊獣人、羊獣人、鹿獣人……………どれもなんか違う気がする。
あ、ドラゴニュート………は保留かな。一番可能性があるがそもそもここにいきなり現れた理由がわからない。ドラゴニュートは獣人だから闇の一族からすれば利用できる存在のはずだ。よって闇の一族が問答無用で命の石の姿に変えたはずだ。

……………ということはあれか？あの黒ちゃんと精霊達がちょっと言っていたこの遺跡が建つ前から祭られている存在。これが一番あり得そうだな。うん。

……………もし、本当に彼がその存在であったとして何故力を貸してくれたんだろう。

この遺跡にいる間の出来事を見てたとしても、そう簡単には力を貸してくれなさそうなんだがな。それだけ人間がやってしまったことはマズいことだったからな。勘ぐられるのがおちなんだがな。何を企んでいるんだってな。
それなのに、実際は力を貸してくれて扉を開いても誰も犠牲にならないようにしてくれた。
それがどれだけありがたいことか……………。

「にゃあ(ありがとな)。」