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王弟殿下の幼なじみってだけならともかく、その人以上の変人となればちょっとだけ………いや、かなり、かなーり不安ではあるが、正直背筋が寒くなってきたが、それでも呼ばない訳にはいかないだろう?

いりこの人は終始顔をひきつらせていたが、どのみち呼ばないといけないのは事実なので諦めて手紙を書くことにしたようだ。………私を連れて。

「にゃあ?」

あのう………いりこの人?私を抱えたまま書く気なのか?

いりこの人は私を抱えたままメリアさんに部屋の前には近付かないように、この屋敷にいる人全員に徹底するよう指示を出した。クライドさんとセオがまだ追いかけっこ中のためである。いりこの人はため息をつくと目の前に便箋を出した。

じいぃ~~~~~~~~~~~。

いりこの人、睨み付けても手紙を書くことは回避不可能だぜ………。

………………………………。

………そんなに嫌か?そうなのか。

これだけ嫌がるいりこの人も珍しい。どんだけヤバい人なんだろう。

…………………………わかった。しょうがないな。

いりこの人の腕の中から机の上に移動した。
机の上に後ろ足で立ち上がると便箋をじっと見る。書くことは一つだけである。封印が解けかけているから封印してくれと書けばいいのだ。

正直、貴族同士の手紙って書くのがまどろっこしいのである。手紙を書くこと自体面倒くさいのに、貴族当ての手紙となるとさらに面倒なのだ。

……………………………。

………よし、面倒だからこうしよう!

ペンを両手で持った。猫の姿だとちょっとばかし大変だ。だが、人間の姿になる気には今のところならないのでこのまま書くのである。えっへん。

書きかきかきかき。

ヨロヨロしながら書き始めた私はペンに翻弄されながらも必死に書き続ける。

書きかきかきかき。

ちょっと休憩。はぁ(ため息)。

よし、頑張るぞ!

書きかきかきかきかきかきかきかき。

バタン。

………なんか音が聞こえてきたが、今はそれどころではないのである。

いりこの人の視線が手紙を便箋を睨み付けるのから私を面白そうな目で見る視線に変わったのは気にしないことにしよう。うん、うん。

書きかきかきかき。

時間が大分かかってしまったがようやく書き終えた。

………ふう。ようやく書き終えたぜ。我ながら力作だと思うぜ。えっへん。

………ん?いつの間にクライドさんとセオも来たのか?

不思議に思いつつも先ほど書いた手紙を見せることにした。

はい、どうぞ!頑張ったんだぜ、これ書くのかなり大変だったんだからな(汗)
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