上 下
191 / 329

147

しおりを挟む
うーーーん、うーーーーん?

ずっと考え込んでいた私をクライドさんはいつの間にか戻ってきたいりこの人に返却した。
返却された私はいりこの人の顔を見る。

大丈夫だったか?心配したんだぞ!もう無茶はするなよ!

尻尾でいりこの人の腕をばちんばちんしながら肉球を顔に押し当てた。

ぷに。ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに。

………おお、もち肌だぜ。極上のさわり心地。

いつの間にかさっきまで考えていたことを忘れて無心でもち肌を堪能していた。

なんて最高のさわり心地なんだぜ!

ぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷにぷに。

ぷにぷにぷにぷに……ぷに………にゃあ?

片手で頬っぺたをむにっとつままれた。

ひゃへれらいろー?

「なんていってるんだ?」

いりこの人はとても楽しそうである。

「よく伸びるなこの頬っぺた。」

みょーーーーーーーーん。

頬っぺたは気持ちいいくらいみょーーんと伸びていく。いりこの人はご機嫌で私のよく伸びる頬っぺたを伸ばしていた。

はらひへふれえー。

「すまない、わからない(笑)」

じとおぉーーーーーーーーーっ。

クライドさんは呆れた顔でこちらを見ていた。セオはいつものごとく爆笑中だ。

ひひはへんはらひへふれーー!

必死に苦情申し立てする私と気付かぬ振りで頬っぺたを伸ばすいりこの人の攻防戦はクライドさんの鶴の一声で終わった。

「ランド様。」

クライドさんの背中から黒いものがまた放出された。

うわーーすごーーい(棒読み)
いりこの人と私から冷や汗がだらだら出てくる。

「手を。」

いりこの人は頬っぺたを伸ばしながら固まっていたが手を離した。

次の瞬間ものすごい音がした。

ゴチーーーーーーーン!

「痛っ!」

セオ、まだ爆笑してたのか?クライドさんの背中の黒いものに気付こうぜ。

セオの頭の上には巨大なたんこぶができていた。

「何で私だけなんですかねえ。」

涙目でそう言ったセオにクライドさんはニーーーーッコリ笑った。その黒い笑顔にセオは顔をひきつらせていた。

「ランド様は解呪をされたばかりですから免除です。」

「それならついでに見逃してくださいませんかねえ(汗)」

クライドさんの笑みが深くなる。セオといりこの人と私は数歩後ろに下がった。こういうときのクライドさんはヤバいのである。クライドさんは指をボキボキ鳴らしながらセオに近寄った。もちろんセオは近付く度に一歩下がっていく。

あぁ、これはあのパターンだな。

いりこの人と私の心は一致した。

「………………私そういえばしなければならなきことが………。」

「逃がすと思いますか?フフフフフフフ!」

うわーセオ幸運を祈るぜ(汗)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

運命の歯車が壊れるとき

和泉鷹央
恋愛
 戦争に行くから、君とは結婚できない。  恋人にそう告げられた時、子爵令嬢ジゼルは運命の歯車が傾いで壊れていく音を、耳にした。    他の投稿サイトでも掲載しております。

兄を溺愛する母に捨てられたので私は家族を捨てる事にします!

ユウ
恋愛
幼い頃から兄を溺愛する母。 自由奔放で独身貴族を貫いていた兄がようやく結婚を決めた。 しかし、兄の結婚で全てが崩壊する事になった。 「今すぐこの邸から出て行ってくれる?遺産相続も放棄して」 「は?」 母の我儘に振り回され同居し世話をして来たのに理不尽な理由で邸から追い出されることになったマリーは自分勝手な母に愛想が尽きた。 「もう縁を切ろう」 「マリー」 家族は夫だけだと思い領地を離れることにしたそんな中。 義母から同居を願い出られることになり、マリー達は義母の元に身を寄せることになった。 対するマリーの母は念願の新生活と思いきや、思ったように進まず新たな嫁はびっくり箱のような人物で生活にも支障が起きた事でマリーを呼び戻そうとするも。 「無理ですわ。王都から領地まで遠すぎます」 都合の良い時だけ利用する母に愛情はない。 「お兄様にお任せします」 実母よりも大事にしてくれる義母と夫を優先しすることにしたのだった。

姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。 王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。 数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ! 自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。

私がいなくなった部屋を見て、あなた様はその心に何を思われるのでしょうね…?

新野乃花(大舟)
恋愛
貴族であるファーラ伯爵との婚約を結んでいたセイラ。しかし伯爵はセイラの事をほったらかしにして、幼馴染であるレリアの方にばかり愛情をかけていた。それは溺愛と呼んでもいいほどのもので、そんな行動の果てにファーラ伯爵は婚約破棄まで持ち出してしまう。しかしそれと時を同じくして、セイラはその姿を伯爵の前からこつぜんと消してしまう。弱気なセイラが自分に逆らう事など絶対に無いと思い上がっていた伯爵は、誰もいなくなってしまったセイラの部屋を見て…。 ※カクヨム、小説家になろうにも投稿しています!

【完】あの、……どなたでしょうか?

桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー  爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」 見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は……… 「あの、……どなたのことでしょうか?」 まさかの意味不明発言!! 今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!! 結末やいかに!! ******************* 執筆終了済みです。

皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした

葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。 でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。 本編完結済みです。時々番外編を追加します。

【完結】高嶺の花がいなくなった日。

恋愛
侯爵令嬢ルノア=ダリッジは誰もが認める高嶺の花。 清く、正しく、美しくーーそんな彼女がある日忽然と姿を消した。 婚約者である王太子、友人の子爵令嬢、教師や使用人たちは彼女の失踪を機に大きく人生が変わることとなった。 ※ざまぁ展開多め、後半に恋愛要素あり。

「お前を妻だと思ったことはない」と言ってくる旦那様と離婚した私は、幼馴染の侯爵から溺愛されています。

木山楽斗
恋愛
第二王女のエリームは、かつて王家と敵対していたオルバディオン公爵家に嫁がされた。 因縁を解消するための結婚であったが、現当主であるジグールは彼女のことを冷遇した。長きに渡る因縁は、簡単に解消できるものではなかったのである。 そんな暮らしは、エリームにとって息苦しいものだった。それを重く見た彼女の兄アルベルドと幼馴染カルディアスは、二人の結婚を解消させることを決意する。 彼らの働きかけによって、エリームは苦しい生活から解放されるのだった。 晴れて自由の身になったエリームに、一人の男性が婚約を申し込んできた。 それは、彼女の幼馴染であるカルディアスである。彼は以前からエリームに好意を寄せていたようなのだ。 幼い頃から彼の人となりを知っているエリームは、喜んでその婚約を受け入れた。二人は、晴れて夫婦となったのである。 二度目の結婚を果たしたエリームは、以前とは異なる生活を送っていた。 カルディアスは以前の夫とは違い、彼女のことを愛して尊重してくれたのである。 こうして、エリームは幸せな生活を送るのだった。

処理中です...