189 / 329
145
しおりを挟む
いりこの人とセオの足のしびれがおさまり、オリガのいる扉の前にいりこの人に抱っこされながら行くと、やっぱりオリガはまだあの場所で固まったままぴくりとも動いていなかった。彫刻の如く動かない様はちょっとだけ怖い。
………どうしちゃったんだろう。
心配しているといりこの人が優しく撫でてくれた。いりこの人に撫でられるととても安心できるのだ。……大丈夫、きっとな。
「………これは……………。」
クライドさんは恐い顔して考え込んでしまった。かなりまずい事態のようだ。
「封印が解けかけてますねえ。」
セオも珍しく眉間にシワがよっていた。
「もう一度封印しなければならないようだ。だが……………。」
いりこの人も困った顔をしていた。
どうしたんだろう。封印って何のことだ?
「この部屋の中には人が接触したり近付いたりしただけで呪われる呪具が封印のスキル持ちによって封印されているんだ。」
うげえ、よりにもよって呪具かよ。
「最初の頃はこの国て呪具が見つかれは王城に持って行き、危険なようならそのまま王城に封印されていたようだが、呪具自体数が多く、封印のスキル持ちはこの国の人にしか出ないスキルだった。」
へえ、学校の授業での封印のスキルについては、そういうスキルがあるってことだけしかしなかったんだよな。かなりのレアスキルだったんだな。知らなかったぜ。
「破壊するにも、場合によっては壊した者にその呪いがかかり、その者の血を通して呪いは受け継がれていくことになる。壊すということはかなりの危険が伴うんだ。そうなった場合、通常の呪いと違い解呪のスキルではどうにもならない。だから呪具を壊したことでその呪具の効果がなくなることなく、壊した者に呪いがかかったときはその者が誰かと交わることがあってはならない。交われば自分の子に呪いが受け継がれてしまう。」
「通常でしたらその呪具を使い政敵の力を削いだり邪魔者を消したりするために隠しておくものなのでしょうが、実際はそうなりませんでした。」
「確か、こういう呪具って地面に埋めたり、気に入らない相手に呪具だと気付かれないように贈り物の中に紛れ込ませたりするのが普通ですからねえ。持っているだけ、近くにあるだけで効果を発揮してしまうんですよねえ。安全に持つのは不可能だったということですねえ。」
え、でも封印すれば大丈夫なんだろう?封印だけ頼んで封印されたものを持って帰れればいいじゃないか?
「それは不可能だ。」
?どうしてだ?
「この国を出たら効果が消える。」
「この国に置いていても一定の時期がくれば封印し直す必要がありますしねえ。」
「封印された呪具の扱いがそれだけ大変だということです。」
………どうしちゃったんだろう。
心配しているといりこの人が優しく撫でてくれた。いりこの人に撫でられるととても安心できるのだ。……大丈夫、きっとな。
「………これは……………。」
クライドさんは恐い顔して考え込んでしまった。かなりまずい事態のようだ。
「封印が解けかけてますねえ。」
セオも珍しく眉間にシワがよっていた。
「もう一度封印しなければならないようだ。だが……………。」
いりこの人も困った顔をしていた。
どうしたんだろう。封印って何のことだ?
「この部屋の中には人が接触したり近付いたりしただけで呪われる呪具が封印のスキル持ちによって封印されているんだ。」
うげえ、よりにもよって呪具かよ。
「最初の頃はこの国て呪具が見つかれは王城に持って行き、危険なようならそのまま王城に封印されていたようだが、呪具自体数が多く、封印のスキル持ちはこの国の人にしか出ないスキルだった。」
へえ、学校の授業での封印のスキルについては、そういうスキルがあるってことだけしかしなかったんだよな。かなりのレアスキルだったんだな。知らなかったぜ。
「破壊するにも、場合によっては壊した者にその呪いがかかり、その者の血を通して呪いは受け継がれていくことになる。壊すということはかなりの危険が伴うんだ。そうなった場合、通常の呪いと違い解呪のスキルではどうにもならない。だから呪具を壊したことでその呪具の効果がなくなることなく、壊した者に呪いがかかったときはその者が誰かと交わることがあってはならない。交われば自分の子に呪いが受け継がれてしまう。」
「通常でしたらその呪具を使い政敵の力を削いだり邪魔者を消したりするために隠しておくものなのでしょうが、実際はそうなりませんでした。」
「確か、こういう呪具って地面に埋めたり、気に入らない相手に呪具だと気付かれないように贈り物の中に紛れ込ませたりするのが普通ですからねえ。持っているだけ、近くにあるだけで効果を発揮してしまうんですよねえ。安全に持つのは不可能だったということですねえ。」
え、でも封印すれば大丈夫なんだろう?封印だけ頼んで封印されたものを持って帰れればいいじゃないか?
「それは不可能だ。」
?どうしてだ?
「この国を出たら効果が消える。」
「この国に置いていても一定の時期がくれば封印し直す必要がありますしねえ。」
「封印された呪具の扱いがそれだけ大変だということです。」
4
お気に入りに追加
1,756
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後
空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。
魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。
そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。
すると、キースの態度が豹変して……?
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
私達、政略結婚ですから。
黎
恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。
それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。
番から逃げる事にしました
みん
恋愛
リュシエンヌには前世の記憶がある。
前世で人間だった彼女は、結婚を目前に控えたある日、熊族の獣人の番だと判明し、そのまま熊族の領地へ連れ去られてしまった。それからの彼女の人生は大変なもので、最期は番だった自分を恨むように生涯を閉じた。
彼女は200年後、今度は自分が豹の獣人として生まれ変わっていた。そして、そんな記憶を持ったリュシエンヌが番と出会ってしまい、そこから、色んな事に巻き込まれる事になる─と、言うお話です。
❋相変わらずのゆるふわ設定で、メンタルも豆腐並なので、軽い気持ちで読んで下さい。
❋独自設定有りです。
❋他視点の話もあります。
❋誤字脱字は気を付けていますが、あると思います。すみません。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。
【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます
修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。
その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。
彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。
ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。
一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。
必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。
なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ──
そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。
これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。
※小説家になろうが先行公開です
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる