上 下
118 / 329

番外編 ギルゼスと噂のにゃんこ

しおりを挟む
※102話で出た肉串ならぬ猫串の話です。

「ぐぅーにゃにゃーにゃにゃーぐぅ。」

陽当たりりの良いベンチでお昼寝を堪能している私は、お腹を丸出しで猫の姿でベンチから落ちるか落ちないかのギリギリラインでひっかかっていた。

ぶらーんぶらーん。

もちろん頭はベンチの上にはなく、上下が逆になりぶらーんぶらーんと揺れている。

「がははは、うまそうな肉串だなぁっ!5本頼む!」

「はいよっ!」

「大将!その場での買い食いは止めてくださいとあれほどっ…………!」

うにゃぁ…なんか聞こ………ぐうぐう。

「………これはうまいなあっ!がははははっ!お前も食べてみろ!」

「おごっ!ごほごほっ………んぐ、……もぐもぐ…あれ美味しいですね。」

「がははははっ!そうだろそうだろ!」

「しかし今回はなぜこのような……。」

「あー、あれだ猫も釣れるほど美味しい肉串っつーやつ聞いて食べてみたくなってよぉ。猫だぞ。普通、猫と言えば魚だろう?」

「………まあ、わからなくもありませんが…………。」

ドシンッ!

「まあ、座って食おうや。」

……んにゃ?何か圧迫感が…………………クンクン……………!?。

に……………肉うぅぅぅぅぅぅぅぅぅゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ!

キランッ!ピョーン、がぶっ!

ぶらーんぶらーん。

「「?……………あ。」」

大将と呼ばれた筋肉ムキムキの大槍をベンチに立て掛けているおっさんが右手に持っていた肉串にぶら下がる魚模様のついた猫。
それはまさしく肉串の店の看板に書いてあったー。

“猫釣り出来るかも!猫にも愛された激ウマ肉串の店・エルマフ”

そう、猫釣りである。

「「……………本当に釣れたな。」」

うまあー。もぐもぐ。

大将と呼ばれた男とその従者らしき人物は思わず顔を見合わせた。

「がははははっ!」
「くっふふふふふっ!」

もぐもぐもぐもぐ、ん??

ぺろり。何で笑ってるんだろう?

首をかしげる私に更に爆笑するムキムキのおっさんとインテリのおっさん二人。

「美味しいよな、この肉串。がははははっ!」

………いつの間にか微笑ましげに見るこの街の住人達。

今ではすっかり名物認定。
そして、それを見て他の野良猫が肉串見たらレッツチャレーンジ!
そしてまた観光客が増える。

食べ物への執着がまさかこんなことになるとは………。正直何か複雑である。

最近では猫にトイレのしつけをして猫用のベッド付き小屋が出来上がった。そして、この街は猫の街として更に有名になっていった。

それからしばらくして、両親からあの日会ったあの筋肉ムキムキのおっさんとインテリのおっさん二人がまさか、カーリス伯爵とその補佐官であると知ることになったが、やらかしてしまったことはもうどうにもなるまい。まあ、せめてバレないようにしようぜ(汗)
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ

音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。 だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。 相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。 どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

MIRICO
恋愛
フィオナは没落寸前のブルイエ家の長女。体調が悪く早めに眠ったら、目が覚めた時、夫のいる公爵夫人セレスティーヌになっていた。 しかし、夫のクラウディオは、妻に冷たく視線を合わせようともしない。 フィオナはセレスティーヌの体を乗っ取ったことをクラウディオに気付かれまいと会う回数を減らし、セレスティーヌの体に入ってしまった原因を探そうとするが、原因が分からぬままセレスティーヌの姉の子がやってきて世話をすることに。 クラウディオはいつもと違う様子のセレスティーヌが気になり始めて……。 ざまあ系ではありません。恋愛中心でもないです。事件中心軽く恋愛くらいです。 番外編は暗い話がありますので、苦手な方はお気を付けください。 ご感想ありがとうございます!! 誤字脱字等もお知らせくださりありがとうございます。順次修正させていただきます。 小説家になろう様に掲載済みです。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

貧乏男爵家の末っ子が眠り姫になるまでとその後

空月
恋愛
貧乏男爵家の末っ子・アルティアの婚約者は、何故か公爵家嫡男で非の打ち所のない男・キースである。 魔術学院の二年生に進学して少し経った頃、「君と俺とでは釣り合わないと思わないか」と言われる。 そのときは曖昧な笑みで流したアルティアだったが、その数日後、倒れて眠ったままの状態になってしまう。 すると、キースの態度が豹変して……?

私は逃げます

恵葉
恋愛
ブラック企業で社畜なんてやっていたら、23歳で血反吐を吐いて、死んじゃった…と思ったら、異世界へ転生してしまったOLです。 そしてこれまたありがちな、貴族令嬢として転生してしまったのですが、運命から…ではなく、文字通り物理的に逃げます。 貴族のあれやこれやなんて、構っていられません! 今度こそ好きなように生きます!

私達、政略結婚ですから。

恋愛
オルヒデーエは、来月ザイデルバスト王子との結婚を控えていた。しかし2年前に王宮に来て以来、王子とはろくに会わず話もしない。一方で1年前現れたレディ・トゥルペは、王子に指輪を贈られ、二人きりで会ってもいる。王子に自分達の関係性を問いただすも「政略結婚だが」と知らん顔、レディ・トゥルペも、オルヒデーエに向かって「政略結婚ですから」としたり顔。半年前からは、レディ・トゥルペに数々の嫌がらせをしたという噂まで流れていた。 それが罪状として読み上げられる中、オルヒデーエは王子との数少ない思い出を振り返り、その処断を待つ。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

八重
恋愛
※発売日少し前を目安に作品を引き下げます 修道院で生まれ育ったローゼマリーは、14歳の時火事に巻き込まれる。 その火事の唯一の生き残りとなった彼女は、領主であるヴィルフェルト公爵に拾われ、彼の養子になる。 彼には息子が一人おり、名をラルス・ヴィルフェルトといった。 ラルスは容姿端麗で文武両道の次期公爵として申し分なく、社交界でも評価されていた。 一方、怠惰なシスターが文字を教えなかったため、ローゼマリーは読み書きができなかった。 必死になんとか義理の父や兄に身振り手振りで伝えようとも、なかなか伝わらない。 なぜなら、彼女は火事で声を失ってしまっていたからだ── そして次第に優しく文字を教えてくれたり、面倒を見てくれるラルスに恋をしてしまって……。 これは、義理の家族の役に立ちたくて頑張りながら、言えない「好き」を内に秘める、そんな物語。 ※小説家になろうが先行公開です

処理中です...