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姉達という名の毒

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あの日、貴族街をふらふら猫の姿で自由に散歩していたら何か気になってひとつの屋敷の庭に入り込んだ。
小さな花がたくさん咲いている庭でとてもいい香りがしていたから花壇の中に入り込んでいたんだよな。

「………ア…リア………」

そしたら奥の方から声が聞こえてきた。近付くとアメリー家の麗しの双華とその妹他数人の令嬢がお茶会をしていた。

もちろんアメリア嬢の二人の姉達メインのお茶会のようだったから来ている客も二人の姉達の友人だけだったみたいだ。

「アメリア、あなた古くさい図書館に行ってばかりだそうね。少しは他の令嬢をみならったらいかがかしら。」

「我が妹ながら情けないですわ。ほんとすいませんね?我が妹に社交というものを学ばせないとと思ってこのお茶会を開いたのですがこの通り………。」

もともと小さなお茶会みたいだが、来ている顔ぶれは割りと豪華だったのは覚えている。
ひたすら妹のいる前で妹の悪いところを挙げていくお茶会、なんとも居心地の悪いお茶会だと思った。

妹のためのお茶会という名の悪口お茶会が終わるとずっとだまったままだったアメリア嬢が泣き出したんだ。

その日のお茶会が大分堪えたようだった。あれはどうみても妹いじめだった。あまりにあんまりだったから定期的に様子を見ることにしたんだよな、たしか。
ちょうどもともとのお散歩コースでもあったしな。うん。

そこでわかったのはアメリア嬢がかなり勤勉な令嬢だってことだ。それに別の人主催のお茶会でも人との交流苦手なんだなとは思ったがそれでもうまく社交というものを理解して交流しているようだった。アメリア嬢の姉達が言うほど問題ではなかったのだ。
アメリア嬢も一生懸命頑張っていたのだ。しかし、あるとき急にそれが変わった。服装も派手になり、男漁りするようになった。
………正確には男に好かれているように見えるように見せていただけなのだがな。彼女自身、頭脳明晰で領地経営についても一生懸命勉強しているようだった。

読書も好きなことが幸いして他の国の本とかも読んだりして……多分、アメリー侯爵家は子どもが女の子だけしかいないから侯爵家継ごうとしていたんだろうな。
だが、派手で男に好かれているように見えるように行動し始めた頃にはもうそういった勉強を諦めてしまったようだった。図書館にも本を借りに行かなくなったしな。

そう言えば急に派手な服着始める少し前、こんなことがあったっけ。

アメリー侯爵家の窓が開いてたから猫の姿で入ると二人の女性の声が聞こえた。近付くとやっぱりアメリア嬢とその姉たちだった。

「あなたみたいな勉強しかできないカビ臭い女が家の末娘だなんて恥ですわ。」

「あなたの服装ってぼろ雑巾より酷い。」

「っ!姉様達酷いです!そこまでひどくありません!姉様達みたいな最高級のものではないかもしれませんが、オーダーメイドですし、自分に似合った服を着ていますわ。」

「それが似合うというならとんだ平民以下のゴミですわ。」

「両親には似てないしもしかしたら愛人の子なのかも知れなくてよ。」

「いや、そもそも我がアメリー家の血一滴も入っていないのかもしれなくてよ。母がこの子が生まれる頃身ごもっていたのは事実ですけど流産したのを隠すのに他所からもらってきてたりして………。」

「それなら納得ですわ。こんな美しくない、勉強しか能のないカビ臭女、家の子であるはずはないですわ。」

これは酷いと思った。


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