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「そういうことでしたか。」

セオは納得したような顔をしていた。

「男漁りしているにしては性的な香りがしないというか、そういう行為している人ってパッとみたら分かる人には分かるものですもんね。アメリア嬢からはそれが見受けられませんでした。」

いりこの人は少し考えながら言った。
「元々目立つのも良くないから公式の場にあまり行かないようにしているからなんとも言えないが、この屋敷に来てからはどこか切羽詰まった印象を受けていた。」

「ランド様のことをアメリア嬢は来た初日から隙を見ては追いかけ回して仕事にならなかったですもんね。」

「公爵令嬢との婚約が決まって落ち着いていたが、再び始まりそうで困ったものだ。」

そうか、仕事に支障をきたすほど追いかけられてたか。

「相手が公爵令嬢から自分より格下の子爵令嬢になって可能性があるって考えてそうですし、ランド様と婚約することさえできれば王都での各貴族から対応が変わります。そして何より二人の姉の夫より格上なので見返すことが出来ますもんね。」

「正直迷惑だ。」

まあ確かに。二人の姉を見返すためだけに言い寄られても迷惑なだけだよな。しかも仕事を邪魔されるし。

「……?………!」

セオは少し考え何か思い付いたようだ。

「セオ、何か浮かんだのか。」

「はい、婚約者殿には申し訳ないのですがねぇ。」

?なんだ?

「アメリー侯爵からの返事および面会を取り付けるまでなんとか持ちこたえる方法なんですが、暫く人ではなく猫の姿でいてもらい、気を引いていてもらうのはどうですかねぇ?」

…?そんなことか。なんか楽しそうだな。

「人の姿だと恐らく今のアメリア嬢だと殺しかねません。でも猫だと話は変わる。この屋敷で婚約者殿が人と猫両方の姿をとれるのを知っているのは私含めランド様とメリアと父であるクライドだけです。」

メリアとクライドって誰?
…あぁメイド長と執事さんか。ふむふむ。

「周りはランド様が溺愛している猫としか見てませんし、婚約者いつ来るのといった状態です。」

ただの猫にそこまでひどいことはしないだろうし、からかいながら逃げていりこの人から遠ざければ仕事がはかどる…と。
別に構わないが、同人誌はどうしよう。
ま、夜書けばいいか。うん。
いりこの人なんか心配そうな顔?してる気がするがいくらでも頼ってくれて構わないぞ?
楽しそうだからこの際からかいまくってやる!
猫の姿で仁王立ちになって自信満々にニャンと鳴く私。

……あ、報酬に肉と魚よろしく!

セオがまた笑い出した。
「美味しいの用意してやる。楽しみにしておけ。」
いりこの人は目元を緩ませ頭撫でてくれた。うーんやっぱりいりこの人のなでなですきだなぁ、ふにゃーん。
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