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私の朝は早い。猫の姿なので手で顔を洗うと毛繕いして窓から散歩に出る。もちろんハンカチは持参してるぞ。戻るときは足を拭いて中に入らないとな。えへん。

窓の外にはきれいな庭がある。ゆったりお散歩は楽しい。時々会う屋敷の人が私が首に巻いたスカーフをごときハンカチを見て首輪の代わりだと思われたみたいだ。

「ランド様のにゃんこか。首輪代わりに貰ったのか?」

そういって撫でてきたのは料理長さん。年は50歳、未婚。
ちなみに長の付く仕事をしてるのに私のことを知らない理由は隠し事に向いていないから本人が敢えて聞かなかったからなのだという。

どうやらいつの間にか調理場近くまで来ていたらしい。中から魚の美味しそうな香りがしてきた。

うーんいい香りだ……ん?何か今、聞き覚えのある声がしたような……。

キランッ!

何か今中で光った?え?え?

…………ぎ、ぎゃああああああぁぁぁぁぁっ!!天敵いぃぃっ!

思わず回れ右して逃げようとしたら鷲掴みされもふられた。

「我が敬愛すべきお嬢様まあああぁぁぁぁっ!!このふわふわな毛並みとこの匂いやっぱりお嬢様だあ!!」

お腹の毛をくんかくんか匂っている様は何て言うか一言で言うと……。

「……変態なのか新人は。」

え、新人?というか料理長顔がひきつってる。

「そうですよおおぉぉっ!お嬢様からオレが離れるわけないじゃないですかあぁ!!」

目をキラキラさせながら追加の一言。

「オレがお嬢様のステキな匂いでお嬢様を見つけられない訳ないじゃないてすかあぁ!!」

うげえぇ。この変態さらにパワーアップしてないか???





その頃実家では。

「「「あの変態が野に放たれたあっ?!!!」」」

件の変態ケイラン家の若き料理人コルト・クレイガンの行方が分からなくなったことで大騒ぎになっていた。
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