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#スイーツ男子のお悩み事は甘くてほろ苦いティラミスの味
ティラミス 1食目
しおりを挟む299... 299... 299…
ぐるぐると頭の中を駆け巡っている数字は19時間前から何ら変わらず微動だにしない。
「𝑥 座標=cos𝜃、𝑦 座標=sin𝜃、𝑦𝑥(𝑂𝑃の傾き)
=tan𝜃」
sinθ,cosθ,tanθの定義を当てはめても解決しない問題。すべての数字は公式に当てはめれば答えは出るというけれどこれは一体どうしたらいい?
「………き……がわっ」
誰かが僕を呼んでいる声が聞こえる気がするのは気のせいかな。それも二度、三度繰り返してるけれど。それでも僕の視線は机の下のスマホに向けられていた。
「おい!暖!当てられてんで」
『えっっ!はい!299です!!』
思わず声を張りあげてしまった僕にグリーンの黒板の前で先生の顔は冷ややかだった。
「どうやら滝川だけ違う問題解いてるみたいだな。乾どこか教えてやれ」
シーンと静まり返る教室で数秒遅れでクスクスと笑いが溢れ恥ずかしくなって明希の背中に隠れるよう身を縮めた。
「暖どないしたん?、、299って何や?」
振り向いて改めて聞き返したクラスメイトでもあり僕の家庭教師と言っても過言ではない乾 明希は含み笑いで面白がって聞いてくる。
『あーもう、、やめて恥ずかしいよ』
「暖が言うたんやろ。せやけどここの問題大事なとこやからちゃんと聞いとった方がええよ」
『……うん、わかった』
チャイムがなって今日最後の授業が終わる。教室を出ると生徒達が先生に質問をしたり、指導ルームで熱心に話を聞いているのが見える。
そう、学校といってもここは高校でもなく大学生でもなく予備校だ。ロビーには過去の合格大学名や人数が貼り出され、まるで居酒屋の壁のメニューのよう。
大学受験失敗=負け組という考えは古臭いかしれないが、現役合格で大学生活を謳歌している同級生を見てそう思わざる得ない。
とにかくこの一年間は"勉強と言う箱の中に監禁される"そんな生活をしなければいけないにも関わらずどこか集中出来ずフラフラしていた。
「暖、このあとどないする?バイトあるけどまだ時間あるし自習ルーム行っ……」
『行きたいカフェある!!』
質問を食い気味に答えると"またか"と声に出さなくてもわかる表情をしてる明希に飛びっきりの微笑みを返してみた。
「まぁええわ、付き合ったるわ」
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