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2章:贋作は真作足りえるか
ある昼下がりの一幕
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「んで、結局方向はこっちであってるのか?」
照りつける太陽の下、見渡す限り草木しかない平原を見まわしつつクロウは隣を歩く少女に話しかけた。
「あぁ、太陽の向きから言って、まずもって間違いないさ。まぁ、私たちが向かっている街はここからかなり離れているからね。気長に行こうじゃないか」
マリーたちと別れて以降、クロウとアリスはオーディム帝国副都市であるサルティオへと向かっていた。
「なぁやっぱり、帝国首都のカーティオの方が魔族がいっぱいいるし、そっちの方がいいんじゃないか?いろんな魔族に会おうとしたら、やっぱ副都市よりも首都だろ」
「はぁ、クロウ。昨日も言っただろう、カーティオは前魔王が生きていた時から魔王軍に入っていた魔人が何人もいるんだ。もうあの戦争からかなり経っているとはいえ、まだ君の存在を知っている魔人がいても何ら不思議じゃないんだよ。だから、まずは君だとばれにくくする魔道具を、サルティオへ探しに行くんだよ」
そう語るアリスの横顔をクロウはじっと見つめた。
「・・・なんだい、そんなに見つめられると照れるじゃないかい」
にやりと笑いながら、冗談口調でそう言った。
「あーいや、なんつーかさ。どうしてそこまでしてくれんだろうなって不思議に思っただけだよ。」
「あぁ、理由は2つある。1つ目は、魔法研究に関して帝国内最高と言われているサルティオへ個人的に行ってみたいということ。そして、2つ目は君がバカだからだ」
とアリスは言った。その透き通るような翠色の瞳からは、今言った言葉に悪意がないことが伝わってきた。
「・・・ほほう、詳しく聞こうじゃないか」
右眉をぴくぴくと痙攣させながら、努めて穏やかにクロウはアリスに尋ねた。アリスはキョトンとした顔で
「詳しくも何も、このまま君を放り出したら、どうせ君のことだ、考えなしに行動してやらかすに決まってるじゃないか。さすがに、やらかすとわかってて放り出すのは良心が痛むからね。少なくともサルティオまでは君に付き合ってあげることにするよ。存分に感謝するといい」
そう言って、アリスは無い胸をこれでもかと張った。
「くそぅ、心当たりがありすぎて否定できねぇ。つーか、なんでお前は子供なのにそんな頭と口が回るんだ?」
と何の気なしにクロウが言うと、
「あ゛ぁ!?私は子供じゃない、20を超えた立派なレディだ!」
それを聞いて、クロウはぷっと笑いながら言った。
「アリスもそんなすぐばれる嘘つくんだなぁ。どう贔屓目に見ても16,7歳くらいだろうに」
それを聞いたアリスは、先ほどまでの純粋そうな表情はどこへやら、ひどく邪悪な笑みを浮かべ手のひらをクロウに向けた。その手のひらは、ほんのりとオレンジ色に光っていた。クロウの脳裏に、彼の家を吹き飛ばしたあの爆炎がよみがえる。クロウは慌てて
「お、落ち着けアリス、悪かったって!」
アリスは、はぁーと深くため息をつき、
「まったく、次言ったら遠慮なく————」
「いやー、誰だって言われたくないことはあるよな!あっ、でも小さくてもいいこともたくさんあるぜ!馬車に子供料金で乗れたり、商店のおっちゃんとかにお菓子とかもらえたりもするしな。」
墓穴を必死に掘り続けるクロウに対し、アリスは怖いくらいの満面の笑みで
「へー、そうなんだー、知らなかったよ。そうだクロウ、私からも一つ、君に教えてあげよう。遠い国では、馬鹿は死んでも治らないといわれているそうだよ。真偽のほど、気にならないかい?」
「えっ、別に気にならな————」
「そうか、やっぱり君も気になるのかい。それならちょうどいい実験台もここにいることだし、試してみようか!」
そうしてアリスは先ほど下ろしかけた手を、再び持ち上げクロウへと向けた。昼下がりの平原で、原因不明の爆発が起こったことは言うまでもないだろう。
照りつける太陽の下、見渡す限り草木しかない平原を見まわしつつクロウは隣を歩く少女に話しかけた。
「あぁ、太陽の向きから言って、まずもって間違いないさ。まぁ、私たちが向かっている街はここからかなり離れているからね。気長に行こうじゃないか」
マリーたちと別れて以降、クロウとアリスはオーディム帝国副都市であるサルティオへと向かっていた。
「なぁやっぱり、帝国首都のカーティオの方が魔族がいっぱいいるし、そっちの方がいいんじゃないか?いろんな魔族に会おうとしたら、やっぱ副都市よりも首都だろ」
「はぁ、クロウ。昨日も言っただろう、カーティオは前魔王が生きていた時から魔王軍に入っていた魔人が何人もいるんだ。もうあの戦争からかなり経っているとはいえ、まだ君の存在を知っている魔人がいても何ら不思議じゃないんだよ。だから、まずは君だとばれにくくする魔道具を、サルティオへ探しに行くんだよ」
そう語るアリスの横顔をクロウはじっと見つめた。
「・・・なんだい、そんなに見つめられると照れるじゃないかい」
にやりと笑いながら、冗談口調でそう言った。
「あーいや、なんつーかさ。どうしてそこまでしてくれんだろうなって不思議に思っただけだよ。」
「あぁ、理由は2つある。1つ目は、魔法研究に関して帝国内最高と言われているサルティオへ個人的に行ってみたいということ。そして、2つ目は君がバカだからだ」
とアリスは言った。その透き通るような翠色の瞳からは、今言った言葉に悪意がないことが伝わってきた。
「・・・ほほう、詳しく聞こうじゃないか」
右眉をぴくぴくと痙攣させながら、努めて穏やかにクロウはアリスに尋ねた。アリスはキョトンとした顔で
「詳しくも何も、このまま君を放り出したら、どうせ君のことだ、考えなしに行動してやらかすに決まってるじゃないか。さすがに、やらかすとわかってて放り出すのは良心が痛むからね。少なくともサルティオまでは君に付き合ってあげることにするよ。存分に感謝するといい」
そう言って、アリスは無い胸をこれでもかと張った。
「くそぅ、心当たりがありすぎて否定できねぇ。つーか、なんでお前は子供なのにそんな頭と口が回るんだ?」
と何の気なしにクロウが言うと、
「あ゛ぁ!?私は子供じゃない、20を超えた立派なレディだ!」
それを聞いて、クロウはぷっと笑いながら言った。
「アリスもそんなすぐばれる嘘つくんだなぁ。どう贔屓目に見ても16,7歳くらいだろうに」
それを聞いたアリスは、先ほどまでの純粋そうな表情はどこへやら、ひどく邪悪な笑みを浮かべ手のひらをクロウに向けた。その手のひらは、ほんのりとオレンジ色に光っていた。クロウの脳裏に、彼の家を吹き飛ばしたあの爆炎がよみがえる。クロウは慌てて
「お、落ち着けアリス、悪かったって!」
アリスは、はぁーと深くため息をつき、
「まったく、次言ったら遠慮なく————」
「いやー、誰だって言われたくないことはあるよな!あっ、でも小さくてもいいこともたくさんあるぜ!馬車に子供料金で乗れたり、商店のおっちゃんとかにお菓子とかもらえたりもするしな。」
墓穴を必死に掘り続けるクロウに対し、アリスは怖いくらいの満面の笑みで
「へー、そうなんだー、知らなかったよ。そうだクロウ、私からも一つ、君に教えてあげよう。遠い国では、馬鹿は死んでも治らないといわれているそうだよ。真偽のほど、気にならないかい?」
「えっ、別に気にならな————」
「そうか、やっぱり君も気になるのかい。それならちょうどいい実験台もここにいることだし、試してみようか!」
そうしてアリスは先ほど下ろしかけた手を、再び持ち上げクロウへと向けた。昼下がりの平原で、原因不明の爆発が起こったことは言うまでもないだろう。
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