二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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チラチラ

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 パタパタパタ、ツンツン、ハッ!、ささっ。
 パタパタパタ、チラチラ、ツンツン、ささっ。

 「ねぇ、あれ何やってんの?」

 「おもろしいですよね」

 「そういうことじゃなくてさ……」

 そんな感想を聞きたいのではないと首を振るエルだが、勿論縁も分かった上でそう言っているのだ。
 マーガレットたちとの再会から早30分。
 最近こそ彼らに怯えていた翔だが縁や繋たちが話すのを見て何か感じたのか、そろそろとマーガレットたちに近付いていってはツンツンと突っついては逃げ、ツンツンと突っついては逃げを繰り返している。
 特に何か話しかけるというわけでも、警戒心がなくなったという感じでもない。
 ただ、本当に大丈夫?怖くない?と確認するような動きに見える。
 マーガレットたちも何となくそう感じているのか、特に反応することなく苦笑いするだけで怒ることもなかった。

 「にしても今回は2人とも旦那の方に似たようだね」

 「ですね。私の祈りが届いたようです」

 「なにそれ。祈ったら選べんの?」

 「オレは縁に似てほしかった~」

 エルの突っ込みとルーの希望は無視しつつ、我が子たちを見守る。
 いつの間にか繋までもが翔と並んでマーガレットたちを突きにいっていた。
 
 「で?来るのが遅れた理由は何なんだい?」

 「あー、その、森に住んでる子どもたちの様子を見に行って……」

 「だけじゃないんだろ?それだけならいつものことじゃないか」

 なぜバレたのだろうか。
 どうしたものかと悩んでいれば、早く言えとばかりにエルに肘で小突かれた。

 「うーん、その、出産時に出血量が多くて少し寝込んでたんです。それで体調を戻すのに時間がかかって……あと玲の世話もあったので中々落ち着かなかったというか………」

 「大丈夫なのかいっ!?」

 「「っ!!」」

 心配してくれるのは有り難いが、そのせいで繋が驚き、翔が怯えてルーの背中に隠れてしまった。
 今までの頑張りが水の泡だ。

 「バカっ!脅かすんじゃないよ!」

 「ご、ごめん」

 何してんだいとジンを怒こるマーガレットだが、そんな彼女の姿にも翔は怯えてしまい色々台無しなってしまっている。

 「ばーば、ぷんぷんしたらショウえーんよ」

 「はっ!ち、ちがうからね。ア、アンタのことを怒ったんじゃないからね」

 何なんだろう、この面白い人たち。
 そもそもの原因は我が子なのだが、嫌われないようにと必死にちがうと叫ぶ2人が面白い。
 どうなるか最後まで見ていたい気もするが、今にも涙を溢しそうな翔に仕方ないかと鞄を漁る。

 「(お婆ちゃん、お婆ちゃん)」

 「え?な、なんだい?」

 取り出したケーキをマーガレットに渡すと、翔に上げてとこっそり指差す。
 
 「大きな声出して悪かったね。ほら」

 「翔の好きなオヤツだよ。よかったね」

 もらっておいでというパパであるルーの言葉に隠れていた顔を出すと数秒迷い、オヤツの誘惑に勝てなかったのかそろそろと近付いて行くとオヤツをもらっていた。

 「翔良かったね。ありがとうは?」

 「……あーと」

 「私こそ悪かったね。ゆっくりお食べ」

 頷き返事をするとルーの膝に乗りご機嫌で頬張り始めた翔に、マーガレットもホッとしたように肩の力を抜いていた。

 「ばーば、ケイのは?」

 「そうですね。ちょうど良いのでみんなでお茶にしましょうか」

 翔だけズルいと頬を膨らませる繋に、ならばとお茶にすることにした。
 
 「すいませんギルマス、こちらにサインをーーわっ」

 仲良くお茶をしていれば、突如入ってきた職員らしき男が縁の足につま付き倒れ込んでくーーると思ったが、いち早く反応したルーによって腰を引かれ、エルによって危ねぇなぁと蹴り飛ばされていた。
 おかけで縁は無事だったがーー

 「うわっ、わわわっ」

 ガッシャーンッ!
 蹴られたせいで机の方に倒れていった男は悲しいかな、用意したお茶たちをなぎ倒していくのだった。
 
 「「「「「……………」」」」」

 「………うぇ~ん。ケイのオヤツ~」

 床に転がるオヤツたちに繋が泣いてしまい、その泣き声につられ翔に玲まで泣き始めしまう。
 今日は何とも騒がしい1日である。
 申し訳ないが翔はルーに任せ、繋にはエル……に任せようとしたが、何故かマーガレットたちが駆け寄ってきて宥めている。
 
 「…………あー、その、大丈夫ですか?」

 必然的に皆に放っておかれてしまっている男を、玲を宥めながら助け起こした。
 すいませんすいませんと頭を下げる男は、すぐに片付けますと手元にあった紙で床を拭いていく。

 「それは大切な書類なのではないんですか?」

 「え?はっ!ああ~~」

 そうだったと慌ててぐしゃぐしゃになった紙を伸ばすが、勢いよ過ぎて破いてしまっていた。
 見たところ新人職員のようだが、この調子でちゃんと仕事ができているのかと心配になってしまう。

 「とりあえず怪我はありませんでしたか?痛むところは?」

 「あ、ありません。大丈夫です」

 ぺこぺこと頭を下げる男に、なら良かったと微笑むのだった。
 
 

 

 
 

 

 
 
 


 




 
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