423 / 475
オ、オレは?
しおりを挟む
そわそわ、チラチラ。
朝から落ち着きがないルーに首を傾げる。
「ねぇ、アイツなんなの?ウザイんだけど」
耐えきれなかったエルが苛ついたように言ってくるが、縁にも理由が分からない。
だが明らかにこちらを見てくることから何かしら縁に言いたいことがあるのだろう。
ごめんねとエルの頭を撫でながら、彼の精神安定をはかるためにも話しを聞くことにするのだった。
「それで?どうしたんですか?何か言いたいことがあるんでしょ?」
「う…あ、あの……身体もう大丈夫?」
キョロキョロと視線を彷徨わせながらも心配そうに尋ねてくるルーに笑って頷く。
帰ってきてからというもの子どもたちの相手はまだしも、セインたちの相手を連日したため少々疲れてはいたが、それもゆっくり休めばすぐに癒えた。
「大丈夫ですよ。心配してくれてありがとう」
「う、うん。いや、あの、その…えっと、そうじゃなくて…」
なぜ先程より挙動不審になるのか。
「どうしました?」
躊躇うように口をパクパクさせるルーに心配になってくる。
「言って。何か言いたいことがあるならちゃんと聞きますから」
「う…うぇ、オ、オレあとどんだけ待ってればいい?」
「?」
縋るように手を握られたかと思えば、泣きそうな……いや、泣きながらそう言われた。
……………………………何を?
「オ、オレだって、番だもん。縁の番なんだもん。ジークたちばっかズルい。オレだって縁に触りたいんだもん」
もんって……………エルが聞いてたら殴られてたかも。
言い方はさておき、どうやら縁がセインたちとばかり触れ合うのに我慢出来なくなったらしい。
だが元々の気の弱さと縁の身体を気遣って言えなかったのだろう。
別にルーを蔑ろにしていたわけではない。ないのだが………
「ルーも私と触れ合いたかったんですか?」
「うん」
それは………申し訳ない。
どうにもルーの気持ちはいまいち読みにくいというか、はっきり言ってルーはあまりそういう行為を望んでいないのではないかと勝手に思っていた。
「ごめんね。ごめんなさい。ルーはその、いつもそういう行為をする時躊躇っているように見えてたからそれほど関心がないのかと思ってました」
確かにセインともジークともいたしたが、それは彼らの甘え半分、縁が安心したいという甘え半分だった。
縁が求めた以上に愛してくれるジークたちはある意味分かりやすかった。
そのためそこまで欲求がないルーにそういうことを押し付けるのは申し訳ないと手を伸ばさなかったのだ。
「ち、ちがっ!ちがうもん。オレだってしたいもん。縁のこと大好きだもん。縁のこと気持ちよくしたいし、いっぱい舐めて、中突いてーー」
「ちょっと落ち着きましょうか」
素直に言ってくれるのはいいが時と場所を考えて欲しい。
このままでは子どもたちにまで聞かれてしまうとルーの手を引くと部屋へ向かうことにした。
「ごめんね。ちゃんとルーに確認しなかった私が悪かったです」
確かにルーは今まで言葉にしてイヤだと言ったことも、したくないと振り払うこともなかった。
ジークたちに比べれば回数こそ少なくはあったが、毎回一度で済むことはなかった。
「オレも縁のこと抱きたい」
「いいですよ」
手を伸ばせば引き寄せられ抱きしめられる。
「オレのだもん。今はオレだけのだもん」
「ええ。ルーも私の大事な番です。気付いて上げられなくてごめんなさい」
「ううん。オレいやじゃない、いやじゃないから。縁のこと大好き。すっごく大好き。でも身体がつらいならって、縁に無理してほしくなくて………」
縁を気遣って言えなかったというルーが愛おしい。
ジークたちとはまた違った優しさがルーにはある。
「ありがとうルー。私のために我慢してくれてたんですね。でも前に言ったでしょ?ちゃんと言って下さいって」
「で、でも縁腰痛いって……」
まぁ確かに連日セインたちの相手に少々腰が辛くはあった。
「そうですね。だからその時は少し待ってもらわないといけませんけど、言うだけは言って下さい。今回みたいに私が気付いて上げられないこともあるかもしれませんから言って」
アレンたちのように積極的になれとは言わないが、遠慮ばかりされては縁も気付いて上げられないかもしれない。
「大丈夫だと思ったらすぐ言いますから。ルーが求めてくれることを嫌だなんて思いません。嬉しいから、怒らないからこれからはちゃんと言って」
優しく頭を撫でてやれば、肩で頷いたのが分かった。
「ね、今日はする前に一緒にお風呂に入りましょうか。久しぶりにルーの頭洗って上げます」
「へへっ。うん、入る」
漸く笑ったルーはその後ご機嫌で頭を洗われると、それまでの気遣いはどこへやら縁が泣いて止めるまで求めてくるのだった。
一体今までどれほど我慢していたのやら。
我慢のさせ過ぎは良くないと身を持って知るのだった。
朝から落ち着きがないルーに首を傾げる。
「ねぇ、アイツなんなの?ウザイんだけど」
耐えきれなかったエルが苛ついたように言ってくるが、縁にも理由が分からない。
だが明らかにこちらを見てくることから何かしら縁に言いたいことがあるのだろう。
ごめんねとエルの頭を撫でながら、彼の精神安定をはかるためにも話しを聞くことにするのだった。
「それで?どうしたんですか?何か言いたいことがあるんでしょ?」
「う…あ、あの……身体もう大丈夫?」
キョロキョロと視線を彷徨わせながらも心配そうに尋ねてくるルーに笑って頷く。
帰ってきてからというもの子どもたちの相手はまだしも、セインたちの相手を連日したため少々疲れてはいたが、それもゆっくり休めばすぐに癒えた。
「大丈夫ですよ。心配してくれてありがとう」
「う、うん。いや、あの、その…えっと、そうじゃなくて…」
なぜ先程より挙動不審になるのか。
「どうしました?」
躊躇うように口をパクパクさせるルーに心配になってくる。
「言って。何か言いたいことがあるならちゃんと聞きますから」
「う…うぇ、オ、オレあとどんだけ待ってればいい?」
「?」
縋るように手を握られたかと思えば、泣きそうな……いや、泣きながらそう言われた。
……………………………何を?
「オ、オレだって、番だもん。縁の番なんだもん。ジークたちばっかズルい。オレだって縁に触りたいんだもん」
もんって……………エルが聞いてたら殴られてたかも。
言い方はさておき、どうやら縁がセインたちとばかり触れ合うのに我慢出来なくなったらしい。
だが元々の気の弱さと縁の身体を気遣って言えなかったのだろう。
別にルーを蔑ろにしていたわけではない。ないのだが………
「ルーも私と触れ合いたかったんですか?」
「うん」
それは………申し訳ない。
どうにもルーの気持ちはいまいち読みにくいというか、はっきり言ってルーはあまりそういう行為を望んでいないのではないかと勝手に思っていた。
「ごめんね。ごめんなさい。ルーはその、いつもそういう行為をする時躊躇っているように見えてたからそれほど関心がないのかと思ってました」
確かにセインともジークともいたしたが、それは彼らの甘え半分、縁が安心したいという甘え半分だった。
縁が求めた以上に愛してくれるジークたちはある意味分かりやすかった。
そのためそこまで欲求がないルーにそういうことを押し付けるのは申し訳ないと手を伸ばさなかったのだ。
「ち、ちがっ!ちがうもん。オレだってしたいもん。縁のこと大好きだもん。縁のこと気持ちよくしたいし、いっぱい舐めて、中突いてーー」
「ちょっと落ち着きましょうか」
素直に言ってくれるのはいいが時と場所を考えて欲しい。
このままでは子どもたちにまで聞かれてしまうとルーの手を引くと部屋へ向かうことにした。
「ごめんね。ちゃんとルーに確認しなかった私が悪かったです」
確かにルーは今まで言葉にしてイヤだと言ったことも、したくないと振り払うこともなかった。
ジークたちに比べれば回数こそ少なくはあったが、毎回一度で済むことはなかった。
「オレも縁のこと抱きたい」
「いいですよ」
手を伸ばせば引き寄せられ抱きしめられる。
「オレのだもん。今はオレだけのだもん」
「ええ。ルーも私の大事な番です。気付いて上げられなくてごめんなさい」
「ううん。オレいやじゃない、いやじゃないから。縁のこと大好き。すっごく大好き。でも身体がつらいならって、縁に無理してほしくなくて………」
縁を気遣って言えなかったというルーが愛おしい。
ジークたちとはまた違った優しさがルーにはある。
「ありがとうルー。私のために我慢してくれてたんですね。でも前に言ったでしょ?ちゃんと言って下さいって」
「で、でも縁腰痛いって……」
まぁ確かに連日セインたちの相手に少々腰が辛くはあった。
「そうですね。だからその時は少し待ってもらわないといけませんけど、言うだけは言って下さい。今回みたいに私が気付いて上げられないこともあるかもしれませんから言って」
アレンたちのように積極的になれとは言わないが、遠慮ばかりされては縁も気付いて上げられないかもしれない。
「大丈夫だと思ったらすぐ言いますから。ルーが求めてくれることを嫌だなんて思いません。嬉しいから、怒らないからこれからはちゃんと言って」
優しく頭を撫でてやれば、肩で頷いたのが分かった。
「ね、今日はする前に一緒にお風呂に入りましょうか。久しぶりにルーの頭洗って上げます」
「へへっ。うん、入る」
漸く笑ったルーはその後ご機嫌で頭を洗われると、それまでの気遣いはどこへやら縁が泣いて止めるまで求めてくるのだった。
一体今までどれほど我慢していたのやら。
我慢のさせ過ぎは良くないと身を持って知るのだった。
11
お気に入りに追加
3,691
あなたにおすすめの小説
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
偽物の番は溺愛に怯える
にわとりこ
BL
『ごめんね、君は偽物だったんだ』
最悪な記憶を最後に自らの命を絶ったはずのシェリクスは、全く同じ姿かたち境遇で生まれ変わりを遂げる。
まだ自分を《本物》だと思っている愛する人を前にシェリクスは───?
雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される
Noah
BL
【祝・書籍化!!!】令和3年5月11日(木)
読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!!
黒猫を庇って派手に死んだら、白いふわもこに転生していた。
死を望むほど過酷な奴隷からスタートの異世界生活。
闇オークションで競り落とされてから獣人の国の王族の養子に。
そこから都合良く幸せになれるはずも無く、様々な問題がショタ(のちに美青年)に降り注ぐ。
BLよりもファンタジー色の方が濃くなってしまいましたが、最後に何とかBLできました(?)…
連載は令和2年12月13日(日)に完結致しました。
拙い部分の目立つ作品ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。
Noah
伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします
*
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃんでした。
実際に逢ってみたら、え、おじいちゃん……!?
しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です!
めちゃくちゃかっこいー伴侶がいますので!
おじいちゃんと孫じゃないよ!
侯爵令息セドリックの憂鬱な日
めちゅう
BL
第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける———
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。
俺のこと、冷遇してるんだから離婚してくれますよね?〜王妃は国王の隠れた溺愛に気付いてない〜
明太子
BL
伯爵令息のエスメラルダは幼い頃から恋心を抱いていたレオンスタリア王国の国王であるキースと結婚し、王妃となった。
しかし、当のキースからは冷遇され、1人寂しく別居生活を送っている。
それでもキースへの想いを捨てきれないエスメラルダ。
だが、その思いも虚しく、エスメラルダはキースが別の令嬢を新しい妃を迎えようとしている場面に遭遇してしまう。
流石に心が折れてしまったエスメラルダは離婚を決意するが…?
エスメラルダの一途な初恋はキースに届くのか?
そして、キースの本当の気持ちは?
分かりづらい伏線とそこそこのどんでん返しありな喜怒哀楽激しめ王妃のシリアス?コメディ?こじらせ初恋BLです!
※R指定は保険です。
王太子殿下は悪役令息のいいなり
白兪
BL
「王太子殿下は公爵令息に誑かされている」
そんな噂が立ち出したのはいつからだろう。
しかし、当の王太子は噂など気にせず公爵令息を溺愛していて…!?
スパダリ王太子とまったり令息が周囲の勘違いを自然と解いていきながら、甘々な日々を送る話です。
ハッピーエンドが大好きな私が気ままに書きます。最後まで応援していただけると嬉しいです。
書き終わっているので完結保証です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる