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ダンジョン観光(攻略?)は突如として終わりを告げた。
「ルー、縁を頼む。ロンとエルは俺と前に出るぞ。セイン、アレンは子どもたちを見ながら周りの警戒を頼む。ーー帰るぞ」
力なく垂れ下がる腕にこのままここにいても仕方がないだろうと帰ることに決めた。
それなりに探検も楽しんだため子どもたちもぐずることはせず、ママは大丈夫かと心配している。
「ママなら大丈夫だ。けど早く寝かせてやりたいから急いで帰るぞ」
気絶しているだけなようなのですぐに目を覚ますとは思うが、念には念を入れ急ぐことにすれば、分かったと頷く子どもたちの頭を撫でてやるのだった。
「にしても運が悪かったな。まさかこの階のボスがアレとはな……」
「縁すっごい声だったね」
ルーも苦笑いしながら腕の中の縁をしっかりと抱き抱えていた。
確かにとジークも笑いながら先程聞いたばかりの縁の悲鳴を思い出す。
「っ、ぎゃあああぁぁぁぁーーーーっ!」
ボスがいる部屋の前、警戒しながら足を踏み入れソレを見た途端、縁が今まで聞いたことがないような男らしい(?)悲鳴を上げヤツをたぶんだが魔法で細切れにしていた。
あまりに一瞬の出来事に誰も何も反応できず、何が起こったのかと数分目を瞬かせる。
「………縁?」
いきなり消えた敵の姿に驚きながらも確認しようと後ろを振り返ったが……
「ムリ」
それだけ言い残し崩れ落ちた身体を手を繋いでいた双子が慌てて支えようとしたが、まだ幼く身体が出来上がっていない2人には難しく潰されているのを急いで駆け寄ると助け起こした。
「あー、そういやカエルだめだったな縁」
「小さくともダメならこれも無理に決まってるな」
以前聞いた話しではジークたちの握り拳ほどのものにも怯えていたというのだから、今倒したばかりの自分たちの何倍あるのだろう大きさなど見ただけで問題外だったのだろう。
我に返ったアレンとセインも苦笑いしながら縁を起こすのを手伝ってくれる。
「こりゃ完全に気失ってんな」
ペチペチと軽く頬を叩いてみるが反応はなく、起こすにも目を覚ましてまたこの場所では縁も混乱するだろうと戻ることに決めれば誰も反対することはないのだった。
細切れにしたとはいえ、その破片はそこら中に落ちているのだから。
子どもたちはリルが抱えてくれたためそう時間をかけず地上まで走り抜けることが出来た。
「縁は……まだ起きねぇか」
大丈夫だと分かってはいるが今までのこともあり無事に目を開けるまで安心出来なかった。
しかし外に出てみれば陽も傾き始めていたため一晩野宿し、明け方家に戻ろうと提案したのだがーー
「パパかえろう。ママ寝かせてあげたい」
アズが帰ろうと言ってきた。
「そうだな。ここまで来たならさっさと帰った方が一番だ。俺たちはあまり夜目が効かないから途中からは歩きになってしまうが日が落ちるギリギリまでは頑張ってみる」
まさかのロンまでそう言ってきたことは驚いた。
家まではそれなりに距離がある。
ロンやルーに任せれば勿論早いのだが、彼らも夜に飛ぶのは苦手と知っていたため早朝にしようとジークは言ったのだ。
だがアズもロンも縁のためにかすぐに帰ろうと言う。
「………本当にいいのか?」
「うん」
「ああ」
夜通し歩くも走るもジークたちに問題はないが、まだ幼いアズたちには辛いだろう。
無理せず明日でいいと言うが首を振られた。
「ママ思い出したらまたたおれちゃうかもしれないから。ゆっくり寝かせて上げたいの」
最近思うがアズまで縁に対して過保護になってきているのは気のせいだろうか?
だがジークも縁を休ませてやりたい気持ちは変わらないため有り難く提案に乗ることにした。
「分かった。なら悪いがロン頼んだ。ヤバそうになったら無理せず言え。繋たちは俺たちが抱えていく」
子どもたちを抱えて走るなど自分たちにとって何も問題はない。
アレンたちも賛成してくれドラゴンの姿に戻ったロンの背に乗せてもらうと自宅まで急いで帰るのだった。
それから無事に家に着いたのだが、一向に起きる気配のない縁に心配していれば……
「いや、これ寝てんじゃないの?昨日は見張りでずっと起きてたから。朝もあくびしてたし」
「「「「「…………だな」」」」」
エルの一言に納得すると自分たちも身体を癒すため一緒に眠りにつくのであった。
お騒がせな番には困ったものである。
「ルー、縁を頼む。ロンとエルは俺と前に出るぞ。セイン、アレンは子どもたちを見ながら周りの警戒を頼む。ーー帰るぞ」
力なく垂れ下がる腕にこのままここにいても仕方がないだろうと帰ることに決めた。
それなりに探検も楽しんだため子どもたちもぐずることはせず、ママは大丈夫かと心配している。
「ママなら大丈夫だ。けど早く寝かせてやりたいから急いで帰るぞ」
気絶しているだけなようなのですぐに目を覚ますとは思うが、念には念を入れ急ぐことにすれば、分かったと頷く子どもたちの頭を撫でてやるのだった。
「にしても運が悪かったな。まさかこの階のボスがアレとはな……」
「縁すっごい声だったね」
ルーも苦笑いしながら腕の中の縁をしっかりと抱き抱えていた。
確かにとジークも笑いながら先程聞いたばかりの縁の悲鳴を思い出す。
「っ、ぎゃあああぁぁぁぁーーーーっ!」
ボスがいる部屋の前、警戒しながら足を踏み入れソレを見た途端、縁が今まで聞いたことがないような男らしい(?)悲鳴を上げヤツをたぶんだが魔法で細切れにしていた。
あまりに一瞬の出来事に誰も何も反応できず、何が起こったのかと数分目を瞬かせる。
「………縁?」
いきなり消えた敵の姿に驚きながらも確認しようと後ろを振り返ったが……
「ムリ」
それだけ言い残し崩れ落ちた身体を手を繋いでいた双子が慌てて支えようとしたが、まだ幼く身体が出来上がっていない2人には難しく潰されているのを急いで駆け寄ると助け起こした。
「あー、そういやカエルだめだったな縁」
「小さくともダメならこれも無理に決まってるな」
以前聞いた話しではジークたちの握り拳ほどのものにも怯えていたというのだから、今倒したばかりの自分たちの何倍あるのだろう大きさなど見ただけで問題外だったのだろう。
我に返ったアレンとセインも苦笑いしながら縁を起こすのを手伝ってくれる。
「こりゃ完全に気失ってんな」
ペチペチと軽く頬を叩いてみるが反応はなく、起こすにも目を覚ましてまたこの場所では縁も混乱するだろうと戻ることに決めれば誰も反対することはないのだった。
細切れにしたとはいえ、その破片はそこら中に落ちているのだから。
子どもたちはリルが抱えてくれたためそう時間をかけず地上まで走り抜けることが出来た。
「縁は……まだ起きねぇか」
大丈夫だと分かってはいるが今までのこともあり無事に目を開けるまで安心出来なかった。
しかし外に出てみれば陽も傾き始めていたため一晩野宿し、明け方家に戻ろうと提案したのだがーー
「パパかえろう。ママ寝かせてあげたい」
アズが帰ろうと言ってきた。
「そうだな。ここまで来たならさっさと帰った方が一番だ。俺たちはあまり夜目が効かないから途中からは歩きになってしまうが日が落ちるギリギリまでは頑張ってみる」
まさかのロンまでそう言ってきたことは驚いた。
家まではそれなりに距離がある。
ロンやルーに任せれば勿論早いのだが、彼らも夜に飛ぶのは苦手と知っていたため早朝にしようとジークは言ったのだ。
だがアズもロンも縁のためにかすぐに帰ろうと言う。
「………本当にいいのか?」
「うん」
「ああ」
夜通し歩くも走るもジークたちに問題はないが、まだ幼いアズたちには辛いだろう。
無理せず明日でいいと言うが首を振られた。
「ママ思い出したらまたたおれちゃうかもしれないから。ゆっくり寝かせて上げたいの」
最近思うがアズまで縁に対して過保護になってきているのは気のせいだろうか?
だがジークも縁を休ませてやりたい気持ちは変わらないため有り難く提案に乗ることにした。
「分かった。なら悪いがロン頼んだ。ヤバそうになったら無理せず言え。繋たちは俺たちが抱えていく」
子どもたちを抱えて走るなど自分たちにとって何も問題はない。
アレンたちも賛成してくれドラゴンの姿に戻ったロンの背に乗せてもらうと自宅まで急いで帰るのだった。
それから無事に家に着いたのだが、一向に起きる気配のない縁に心配していれば……
「いや、これ寝てんじゃないの?昨日は見張りでずっと起きてたから。朝もあくびしてたし」
「「「「「…………だな」」」」」
エルの一言に納得すると自分たちも身体を癒すため一緒に眠りにつくのであった。
お騒がせな番には困ったものである。
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