二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

文字の大きさ
上 下
385 / 475

いないいない

しおりを挟む
 笑ってはいけないと思う時ほど笑いを堪えられないのは何故だろう?

 「「「「……………」」」」

 皆が沈黙を守る中、しかし肩だけが小刻みに揺れている。

 「………笑いたければ笑えばいいだろ」

 「「「「あはははははっ」」」」

 拗ねたように顔を歪めながらもそう言ったロンに先程までのが嘘かのように皆声を上げて笑う。

 「大体お前が言い出したんだからお前がやればいいだろう!なんで俺なんだ!」

 そんなに笑うなら代われとロンは言うが、別に皆彼をバカにして笑っているわけではない。

 「私より頼もしい叔父ちゃんが翔はいいみたいですよ。ねぇ?」

 「ギャウ!」

 「…………ものは言いようだ」

 そうだと頷き鳴く翔に、頼られて嬉しいのか嫌だと言えなくなってしまったようだ。
 何とも甘い叔父だ。ちょろい。
 何故こうも皆が笑っているかと言うと、怯えてロンの顔面から離れない翔にそこは危ないからもっと安全な所があるよと翔を促せば喜んで移動したのだ。

 「だからってなんで服の中なんだ。前は見えるようになったが少し歩き辛いぞ」

 そう、顔面はやめろと言うロンにならばと豪快にロンの服を引き上げるとそこに翔を隠し入れた。
 伝わる温もりと隠れる身体に安心したのかご機嫌になった翔は少し開いたシャツの胸元からひょっこりと顔だけ出している。
 とても可愛らしい光景なのだが、その相手がロンだというのが笑えて仕方がない。

 「けど手を引かれて歩くよりは安全でしょ?それに翔も喜んでますし。何より私がすると転けた時翔の顔面がやばいことになります」

 鼻血程度ならまだいいが下手をすれば鼻の骨を折る重症にもなりかねない。

 「…………仕方ないな」

 それで納得されるのも複雑だが、納得してくれたならよしとしよう。

 「でもなんで兄貴なの?パパだっていいじゃん」

 何故自分の所へは来てくれないのだとルーが若干拗ねているが、もしものことを考えた時頼れるのがロンだと気付いているのだろう翔は賢いと思う。

 「パパには危険がないか周りを見てもらわないといけませんからね。もう翔が濡れないよう頑張って下さい」

 「そっか!頑張る!」

 ふふふ。兄弟揃ってちょろい。
 
 「どんだけ単純なんだよ」

 「シッ」

 呆れたようにエルが溜め息を溢したが、言わないで上げてと注意する。
 これはこれで可愛いからいいのだ。

 「そう言うエルだって繋には甘いでしょ?」

 「………ダ、ダメなの?」

 甘やかしている自覚はあるのだろう。
 マズいかと慌てるエルが面白く可愛い。

 「ダメではないですよ。けど怒るべき時はもう少し頑張って怒ってほしいな、とは思います」

 優しさだけが愛情ではないと思う。
 怒るべき時にはしっかりと怒り、泣いた時には何があったのかと背中を撫でてやる。
 笑う時には一緒に笑い、困っている時には少し手を貸してやることも大切だ。

 「甘いお兄ちゃんじゃなく、優しくて頼りになるお兄ちゃんになってくれると私は嬉しいです」

 「頑張る」

 そう言う意味ではアズは結構しっかりしている。
 それほど感情が激しいわけではないため怒鳴ることはしないが静かに怒り繋たちに注意している。
 子どもたちには逆にそれが効果的なようで、アズにぃは怒らせちゃダメなのと以前言っていたのには笑ってしまった。
 
 「みんなエルお兄ちゃんが大好きですからね。一緒に頑張っていきましょう」

 素直に頷くエルに、子どもたちが大好きだよと笑っていた。
 甘いのが悪いとは言わない。
 縁もやはり子どもたちを叱らず甘やかしたいとは思うが、それだけでは色々な物の良し悪しが判断出来ない人間になってしまう。
 してはいけないこと、どうすれば危険がなくなるか、それをすればどうなるかを考えられる人になってほしいのだ。

 「私だって日々勉強ですよ。子育ての正解が何なのかなんて分かりませんからこうなれたらいいなとやっているだけで正解かなんて分かりません。だからこそ一緒に考えていきましょう?」

 「うん。一緒にね」

 家族とは1人でなれるものではない。
 自分とは違う考えを持つ相手が集まり共に暮らすわけで、意見の食い違いがあることなんて当たり前だ。
 だからこそ話し合い歩み寄る。手を取り合い協力する。
 時には苛立つこともあるかもしれないが、手を離そうとは思わない。

 「まぁ、甘々なお兄ちゃんなエルも私は大好きですけどね」

 「は、はぁ!?なっ、なに言ってんの!」

 大切で大好きだからこそ子どもたちに甘くなってしまうエル。
 そんな兄を持てたことは子どもたちにとってとても幸せなことだろう。
 
 「ってなわけでお昼の準備を手伝ってくれると嬉しいです」

 「遊ばれた!?」

 楽しいなぁ。
 揶揄い甲斐があるエルとロンが縁は大好きなのだった。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)

美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!

転移者を助けたら(物理的にも)身動きが取れなくなった件について。

キノア9g
BL
完結済 主人公受。異世界転移者サラリーマン×ウサギ獣人。 エロなし。プロローグ、エンディングを含め全10話。 ある日、ウサギ獣人の冒険者ラビエルは、森の中で倒れていた異世界からの転移者・直樹を助けたことをきっかけに、予想外の運命に巻き込まれてしまう。亡き愛兎「チャッピー」と自分を重ねてくる直樹に戸惑いつつも、ラビエルは彼の一途で不器用な優しさに次第に心惹かれていく。異世界の知識を駆使して王国を発展させる直樹と、彼を支えるラビエルの甘くも切ない日常が繰り広げられる――。優しさと愛が交差する異世界ラブストーリー、ここに開幕!

偽物の番は溺愛に怯える

にわとりこ
BL
『ごめんね、君は偽物だったんだ』 最悪な記憶を最後に自らの命を絶ったはずのシェリクスは、全く同じ姿かたち境遇で生まれ変わりを遂げる。 まだ自分を《本物》だと思っている愛する人を前にシェリクスは───?

雪狐 氷の王子は番の黒豹騎士に溺愛される

Noah
BL
【祝・書籍化!!!】令和3年5月11日(木) 読者の皆様のおかげです。ありがとうございます!! 黒猫を庇って派手に死んだら、白いふわもこに転生していた。 死を望むほど過酷な奴隷からスタートの異世界生活。 闇オークションで競り落とされてから獣人の国の王族の養子に。 そこから都合良く幸せになれるはずも無く、様々な問題がショタ(のちに美青年)に降り注ぐ。 BLよりもファンタジー色の方が濃くなってしまいましたが、最後に何とかBLできました(?)… 連載は令和2年12月13日(日)に完結致しました。 拙い部分の目立つ作品ですが、楽しんで頂けたなら幸いです。 Noah

伴侶がいるので、溺愛ご遠慮いたします

  *  
BL
3歳のノィユが、カビの生えてないご飯を求めて結ばれることになったのは、北の最果ての領主のおじいちゃんでした。 実際に逢ってみたら、え、おじいちゃん……!? しあわせの絶頂にいるのを知らない王子たちが吃驚して憐れんで溺愛してくれそうなのですが、結構です! めちゃくちゃかっこいー伴侶がいますので! おじいちゃんと孫じゃないよ!

侯爵令息セドリックの憂鬱な日

めちゅう
BL
 第二王子の婚約者候補侯爵令息セドリック・グランツはある日王子の婚約者が決定した事を聞いてしまう。しかし先に王子からお呼びがかかったのはもう一人の候補だった。候補落ちを確信し泣き腫らした次の日は憂鬱な気分で幕を開ける——— ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初投稿で拙い文章ですが楽しんでいただけますと幸いです。

俺のこと、冷遇してるんだから離婚してくれますよね?〜王妃は国王の隠れた溺愛に気付いてない〜

明太子
BL
伯爵令息のエスメラルダは幼い頃から恋心を抱いていたレオンスタリア王国の国王であるキースと結婚し、王妃となった。 しかし、当のキースからは冷遇され、1人寂しく別居生活を送っている。 それでもキースへの想いを捨てきれないエスメラルダ。 だが、その思いも虚しく、エスメラルダはキースが別の令嬢を新しい妃を迎えようとしている場面に遭遇してしまう。 流石に心が折れてしまったエスメラルダは離婚を決意するが…? エスメラルダの一途な初恋はキースに届くのか? そして、キースの本当の気持ちは? 分かりづらい伏線とそこそこのどんでん返しありな喜怒哀楽激しめ王妃のシリアス?コメディ?こじらせ初恋BLです! ※R指定は保険です。

処理中です...