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いないいない
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笑ってはいけないと思う時ほど笑いを堪えられないのは何故だろう?
「「「「……………」」」」
皆が沈黙を守る中、しかし肩だけが小刻みに揺れている。
「………笑いたければ笑えばいいだろ」
「「「「あはははははっ」」」」
拗ねたように顔を歪めながらもそう言ったロンに先程までのが嘘かのように皆声を上げて笑う。
「大体お前が言い出したんだからお前がやればいいだろう!なんで俺なんだ!」
そんなに笑うなら代われとロンは言うが、別に皆彼をバカにして笑っているわけではない。
「私より頼もしい叔父ちゃんが翔はいいみたいですよ。ねぇ?」
「ギャウ!」
「…………ものは言いようだ」
そうだと頷き鳴く翔に、頼られて嬉しいのか嫌だと言えなくなってしまったようだ。
何とも甘い叔父だ。ちょろい。
何故こうも皆が笑っているかと言うと、怯えてロンの顔面から離れない翔にそこは危ないからもっと安全な所があるよと翔を促せば喜んで移動したのだ。
「だからってなんで服の中なんだ。前は見えるようになったが少し歩き辛いぞ」
そう、顔面はやめろと言うロンにならばと豪快にロンの服を引き上げるとそこに翔を隠し入れた。
伝わる温もりと隠れる身体に安心したのかご機嫌になった翔は少し開いたシャツの胸元からひょっこりと顔だけ出している。
とても可愛らしい光景なのだが、その相手がロンだというのが笑えて仕方がない。
「けど手を引かれて歩くよりは安全でしょ?それに翔も喜んでますし。何より私がすると転けた時翔の顔面がやばいことになります」
鼻血程度ならまだいいが下手をすれば鼻の骨を折る重症にもなりかねない。
「…………仕方ないな」
それで納得されるのも複雑だが、納得してくれたならよしとしよう。
「でもなんで兄貴なの?パパだっていいじゃん」
何故自分の所へは来てくれないのだとルーが若干拗ねているが、もしものことを考えた時頼れるのがロンだと気付いているのだろう翔は賢いと思う。
「パパには危険がないか周りを見てもらわないといけませんからね。もう翔が濡れないよう頑張って下さい」
「そっか!頑張る!」
ふふふ。兄弟揃ってちょろい。
「どんだけ単純なんだよ」
「シッ」
呆れたようにエルが溜め息を溢したが、言わないで上げてと注意する。
これはこれで可愛いからいいのだ。
「そう言うエルだって繋には甘いでしょ?」
「………ダ、ダメなの?」
甘やかしている自覚はあるのだろう。
マズいかと慌てるエルが面白く可愛い。
「ダメではないですよ。けど怒るべき時はもう少し頑張って怒ってほしいな、とは思います」
優しさだけが愛情ではないと思う。
怒るべき時にはしっかりと怒り、泣いた時には何があったのかと背中を撫でてやる。
笑う時には一緒に笑い、困っている時には少し手を貸してやることも大切だ。
「甘いお兄ちゃんじゃなく、優しくて頼りになるお兄ちゃんになってくれると私は嬉しいです」
「頑張る」
そう言う意味ではアズは結構しっかりしている。
それほど感情が激しいわけではないため怒鳴ることはしないが静かに怒り繋たちに注意している。
子どもたちには逆にそれが効果的なようで、アズにぃは怒らせちゃダメなのと以前言っていたのには笑ってしまった。
「みんなエルお兄ちゃんが大好きですからね。一緒に頑張っていきましょう」
素直に頷くエルに、子どもたちが大好きだよと笑っていた。
甘いのが悪いとは言わない。
縁もやはり子どもたちを叱らず甘やかしたいとは思うが、それだけでは色々な物の良し悪しが判断出来ない人間になってしまう。
してはいけないこと、どうすれば危険がなくなるか、それをすればどうなるかを考えられる人になってほしいのだ。
「私だって日々勉強ですよ。子育ての正解が何なのかなんて分かりませんからこうなれたらいいなとやっているだけで正解かなんて分かりません。だからこそ一緒に考えていきましょう?」
「うん。一緒にね」
家族とは1人でなれるものではない。
自分とは違う考えを持つ相手が集まり共に暮らすわけで、意見の食い違いがあることなんて当たり前だ。
だからこそ話し合い歩み寄る。手を取り合い協力する。
時には苛立つこともあるかもしれないが、手を離そうとは思わない。
「まぁ、甘々なお兄ちゃんなエルも私は大好きですけどね」
「は、はぁ!?なっ、なに言ってんの!」
大切で大好きだからこそ子どもたちに甘くなってしまうエル。
そんな兄を持てたことは子どもたちにとってとても幸せなことだろう。
「ってなわけでお昼の準備を手伝ってくれると嬉しいです」
「遊ばれた!?」
楽しいなぁ。
揶揄い甲斐があるエルとロンが縁は大好きなのだった。
「「「「……………」」」」
皆が沈黙を守る中、しかし肩だけが小刻みに揺れている。
「………笑いたければ笑えばいいだろ」
「「「「あはははははっ」」」」
拗ねたように顔を歪めながらもそう言ったロンに先程までのが嘘かのように皆声を上げて笑う。
「大体お前が言い出したんだからお前がやればいいだろう!なんで俺なんだ!」
そんなに笑うなら代われとロンは言うが、別に皆彼をバカにして笑っているわけではない。
「私より頼もしい叔父ちゃんが翔はいいみたいですよ。ねぇ?」
「ギャウ!」
「…………ものは言いようだ」
そうだと頷き鳴く翔に、頼られて嬉しいのか嫌だと言えなくなってしまったようだ。
何とも甘い叔父だ。ちょろい。
何故こうも皆が笑っているかと言うと、怯えてロンの顔面から離れない翔にそこは危ないからもっと安全な所があるよと翔を促せば喜んで移動したのだ。
「だからってなんで服の中なんだ。前は見えるようになったが少し歩き辛いぞ」
そう、顔面はやめろと言うロンにならばと豪快にロンの服を引き上げるとそこに翔を隠し入れた。
伝わる温もりと隠れる身体に安心したのかご機嫌になった翔は少し開いたシャツの胸元からひょっこりと顔だけ出している。
とても可愛らしい光景なのだが、その相手がロンだというのが笑えて仕方がない。
「けど手を引かれて歩くよりは安全でしょ?それに翔も喜んでますし。何より私がすると転けた時翔の顔面がやばいことになります」
鼻血程度ならまだいいが下手をすれば鼻の骨を折る重症にもなりかねない。
「…………仕方ないな」
それで納得されるのも複雑だが、納得してくれたならよしとしよう。
「でもなんで兄貴なの?パパだっていいじゃん」
何故自分の所へは来てくれないのだとルーが若干拗ねているが、もしものことを考えた時頼れるのがロンだと気付いているのだろう翔は賢いと思う。
「パパには危険がないか周りを見てもらわないといけませんからね。もう翔が濡れないよう頑張って下さい」
「そっか!頑張る!」
ふふふ。兄弟揃ってちょろい。
「どんだけ単純なんだよ」
「シッ」
呆れたようにエルが溜め息を溢したが、言わないで上げてと注意する。
これはこれで可愛いからいいのだ。
「そう言うエルだって繋には甘いでしょ?」
「………ダ、ダメなの?」
甘やかしている自覚はあるのだろう。
マズいかと慌てるエルが面白く可愛い。
「ダメではないですよ。けど怒るべき時はもう少し頑張って怒ってほしいな、とは思います」
優しさだけが愛情ではないと思う。
怒るべき時にはしっかりと怒り、泣いた時には何があったのかと背中を撫でてやる。
笑う時には一緒に笑い、困っている時には少し手を貸してやることも大切だ。
「甘いお兄ちゃんじゃなく、優しくて頼りになるお兄ちゃんになってくれると私は嬉しいです」
「頑張る」
そう言う意味ではアズは結構しっかりしている。
それほど感情が激しいわけではないため怒鳴ることはしないが静かに怒り繋たちに注意している。
子どもたちには逆にそれが効果的なようで、アズにぃは怒らせちゃダメなのと以前言っていたのには笑ってしまった。
「みんなエルお兄ちゃんが大好きですからね。一緒に頑張っていきましょう」
素直に頷くエルに、子どもたちが大好きだよと笑っていた。
甘いのが悪いとは言わない。
縁もやはり子どもたちを叱らず甘やかしたいとは思うが、それだけでは色々な物の良し悪しが判断出来ない人間になってしまう。
してはいけないこと、どうすれば危険がなくなるか、それをすればどうなるかを考えられる人になってほしいのだ。
「私だって日々勉強ですよ。子育ての正解が何なのかなんて分かりませんからこうなれたらいいなとやっているだけで正解かなんて分かりません。だからこそ一緒に考えていきましょう?」
「うん。一緒にね」
家族とは1人でなれるものではない。
自分とは違う考えを持つ相手が集まり共に暮らすわけで、意見の食い違いがあることなんて当たり前だ。
だからこそ話し合い歩み寄る。手を取り合い協力する。
時には苛立つこともあるかもしれないが、手を離そうとは思わない。
「まぁ、甘々なお兄ちゃんなエルも私は大好きですけどね」
「は、はぁ!?なっ、なに言ってんの!」
大切で大好きだからこそ子どもたちに甘くなってしまうエル。
そんな兄を持てたことは子どもたちにとってとても幸せなことだろう。
「ってなわけでお昼の準備を手伝ってくれると嬉しいです」
「遊ばれた!?」
楽しいなぁ。
揶揄い甲斐があるエルとロンが縁は大好きなのだった。
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