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お裾分け
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「喜んでくれるといいですね?」
「うん!」
仲良く手を繋ぎ来たのはランがいる工房だった。
無事干物も完成し、干物といえばやはり酒だろうとお裾分けにきたのだ。
「こんにちは」
「こんにちはーー」
元気よく挨拶すればバタバタと、時々どこかにぶつけているのかガツンガツンという音をさせながら慌てたようにランが駆けてくる。
「エ、エニシくんっ!?ケ、ケイちゃんっ!?」
………そこまで驚くようなことでもないと思うのだが。
ランの慌てぶりにガンズも気が付いたようで、久しぶりだなと手を振りながら近づいてきた。
「お久しぶりです。今日はちょっとお裾分けにお邪魔しました」
「おすそわけ?」
「あげる」
どうぞと繋が差し出せば、受け取り中身を確認したガンズが嬉しそうに繋の頭を撫でた。
「こりゃ旨そうだな。ありがとよ」
「えへへ」
ここはやはり繋というか、一見怖く見えるガンズにしかし繋は一切怖がることなく頭を撫でられ嬉しそうに笑っていた。
生まれる前から見ていたこともありガンズにしても孫のような感覚らしい。
「この前出かけた時にたくさん獲れたので。干物ならきっとお酒にも合うだろうと伺いました」
「あんがとな。こりゃ夜が楽しみだな」
ついでにと言っては何だがご飯も持ってきたので一緒に食べようと誘えば、これまた嬉しそうに部屋に案内してくれるのだった。
「あ、あの、ケイちゃん?エニシくん、のところじゃなくていいの?」
「ここがいい!」
「ごめんね。嫌じゃないならそのまま乗せておいてあげて下さい」
さぁご飯だと席についたはいいが、何故か縁ではなくランの膝に乗った繋には苦笑いしてしまう。
本当によく懐いたものだ。
嫌なら言ってほしいと言ったが、戸惑っただけで構わないと言われそのまま乗せておくことにした。
「これが繋と2人で作ったお稲荷さんで、お味噌汁と酢漬けにした野菜と少しですが焼いた干物も持ってきたので味見としてでも食べてみて下さい」
「これは……すげぇ見た目だな」
こちらではないお稲荷さんに2人共最初は戸惑っていたが、早く食べてと繋に促され一口食べると気に入ってくれたようで美味いなと言い合いながら美味しそうに食べてくれる。
ランに褒められ繋もご機嫌だ。
「すごい身が厚い魚だね。どこでとれたの?」
「だんじょんです」
「「ぶふぅっ!」」
驚き咳き込むランの背を撫でてやり、喉に詰まらせているガンズには水を渡した。
「すいません。私たちも食べて異常はなかったので大丈夫だと思ったんですが……」
合わなかったのかもしれないと慌てて謝罪すればーー
「そこじゃねぇよっ!」
「エニシくんダンジョン行ったのっ!?」
縁の気遣いとは別のところで驚かれていたらしい。
「?、はい。依頼されたので。とても楽しかったです」
「「…………」」
そう言えば冒険者だったなと今更思い出した2人であった。
「………まぁ、あれだ。怪我もねぇようで安心した」
コイツはこういうやつだったと一人納得するガンズに、ランは未だ驚きに固まっている。
面白いなと遊び心で開いていた口にお稲荷さんを突っ込んでやれば、ハッと我に返り慌てて口を動かしていた。
エルと同じで意外にランも量を食べるのだ。
「で、ですね。肉も魚もたくさん手に入ったんですが、それとは別に珍しい調味料も手に入ったんですよ。そのお稲荷さんもそれで作ったんですが、良かったらこれも食べてみて下さい」
味付けした魚を瓶詰めにしたものを渡せば、まだ何も説明していないのにガンズが嬉しそうに受け取った。
「こりゃ焼きゃいいのか?」
「はい。お酒に合うものばかりになってしまいましたが食べてもられえると嬉しいです。繋も頑張ってお手伝いしてくれたので。ね?」
「ケイがんばったのよ!」
「そりゃ旨ぇに決まってんな。有り難くもらっておくよ」
褒められたせいか普段よりもりもり食べる繋を心配しつつ、ランには肉を詰めたものを渡した。
やはり食べ盛りの男の子だけあってとても喜んでくれた。
「それでと言ってはなんですがお酒を少し分けていただくことは出来ますか?」
「お前はもう飲むんじゃねぇ」
理由を言う前にダメだと言われてしまった。
一度の失敗により縁は完全に飲酒禁止令が出たようだ。
「飲みたいわけではなく料理に使いたいんですが……ダメですか?」
縁としても気を失ってまで飲みたいとは思わないし、子どもたちもいるためそんな暇がないというのもある。
それなら仕方ないかと渡された一升瓶に、これは本当に止められているのだろうかと疑問に思った。
余ったら余ったでアレンたちが飲んでくれるだろうと有り難く受け取っておくことにした。
「今度また色々作って持ってくるので一緒に食べましょうね」
「うん。待ってるね」
「いつでも遊びにこい」
また来ることを約束し再び仲良く手を繋ぐと家に帰るのだった。
「うん!」
仲良く手を繋ぎ来たのはランがいる工房だった。
無事干物も完成し、干物といえばやはり酒だろうとお裾分けにきたのだ。
「こんにちは」
「こんにちはーー」
元気よく挨拶すればバタバタと、時々どこかにぶつけているのかガツンガツンという音をさせながら慌てたようにランが駆けてくる。
「エ、エニシくんっ!?ケ、ケイちゃんっ!?」
………そこまで驚くようなことでもないと思うのだが。
ランの慌てぶりにガンズも気が付いたようで、久しぶりだなと手を振りながら近づいてきた。
「お久しぶりです。今日はちょっとお裾分けにお邪魔しました」
「おすそわけ?」
「あげる」
どうぞと繋が差し出せば、受け取り中身を確認したガンズが嬉しそうに繋の頭を撫でた。
「こりゃ旨そうだな。ありがとよ」
「えへへ」
ここはやはり繋というか、一見怖く見えるガンズにしかし繋は一切怖がることなく頭を撫でられ嬉しそうに笑っていた。
生まれる前から見ていたこともありガンズにしても孫のような感覚らしい。
「この前出かけた時にたくさん獲れたので。干物ならきっとお酒にも合うだろうと伺いました」
「あんがとな。こりゃ夜が楽しみだな」
ついでにと言っては何だがご飯も持ってきたので一緒に食べようと誘えば、これまた嬉しそうに部屋に案内してくれるのだった。
「あ、あの、ケイちゃん?エニシくん、のところじゃなくていいの?」
「ここがいい!」
「ごめんね。嫌じゃないならそのまま乗せておいてあげて下さい」
さぁご飯だと席についたはいいが、何故か縁ではなくランの膝に乗った繋には苦笑いしてしまう。
本当によく懐いたものだ。
嫌なら言ってほしいと言ったが、戸惑っただけで構わないと言われそのまま乗せておくことにした。
「これが繋と2人で作ったお稲荷さんで、お味噌汁と酢漬けにした野菜と少しですが焼いた干物も持ってきたので味見としてでも食べてみて下さい」
「これは……すげぇ見た目だな」
こちらではないお稲荷さんに2人共最初は戸惑っていたが、早く食べてと繋に促され一口食べると気に入ってくれたようで美味いなと言い合いながら美味しそうに食べてくれる。
ランに褒められ繋もご機嫌だ。
「すごい身が厚い魚だね。どこでとれたの?」
「だんじょんです」
「「ぶふぅっ!」」
驚き咳き込むランの背を撫でてやり、喉に詰まらせているガンズには水を渡した。
「すいません。私たちも食べて異常はなかったので大丈夫だと思ったんですが……」
合わなかったのかもしれないと慌てて謝罪すればーー
「そこじゃねぇよっ!」
「エニシくんダンジョン行ったのっ!?」
縁の気遣いとは別のところで驚かれていたらしい。
「?、はい。依頼されたので。とても楽しかったです」
「「…………」」
そう言えば冒険者だったなと今更思い出した2人であった。
「………まぁ、あれだ。怪我もねぇようで安心した」
コイツはこういうやつだったと一人納得するガンズに、ランは未だ驚きに固まっている。
面白いなと遊び心で開いていた口にお稲荷さんを突っ込んでやれば、ハッと我に返り慌てて口を動かしていた。
エルと同じで意外にランも量を食べるのだ。
「で、ですね。肉も魚もたくさん手に入ったんですが、それとは別に珍しい調味料も手に入ったんですよ。そのお稲荷さんもそれで作ったんですが、良かったらこれも食べてみて下さい」
味付けした魚を瓶詰めにしたものを渡せば、まだ何も説明していないのにガンズが嬉しそうに受け取った。
「こりゃ焼きゃいいのか?」
「はい。お酒に合うものばかりになってしまいましたが食べてもられえると嬉しいです。繋も頑張ってお手伝いしてくれたので。ね?」
「ケイがんばったのよ!」
「そりゃ旨ぇに決まってんな。有り難くもらっておくよ」
褒められたせいか普段よりもりもり食べる繋を心配しつつ、ランには肉を詰めたものを渡した。
やはり食べ盛りの男の子だけあってとても喜んでくれた。
「それでと言ってはなんですがお酒を少し分けていただくことは出来ますか?」
「お前はもう飲むんじゃねぇ」
理由を言う前にダメだと言われてしまった。
一度の失敗により縁は完全に飲酒禁止令が出たようだ。
「飲みたいわけではなく料理に使いたいんですが……ダメですか?」
縁としても気を失ってまで飲みたいとは思わないし、子どもたちもいるためそんな暇がないというのもある。
それなら仕方ないかと渡された一升瓶に、これは本当に止められているのだろうかと疑問に思った。
余ったら余ったでアレンたちが飲んでくれるだろうと有り難く受け取っておくことにした。
「今度また色々作って持ってくるので一緒に食べましょうね」
「うん。待ってるね」
「いつでも遊びにこい」
また来ることを約束し再び仲良く手を繋ぐと家に帰るのだった。
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