二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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ごめんなさい

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 どうしようどうしようどうしよう。
 守ると言いながら守るどこらか逆に庇われ怪我をさせてしまった。
 あの狼がママを噛んだのも自分が攻撃したことがきっかけだったのではと、ママが自分を怒っていたらどうしようと頭で考える。

 「……ママ、アズきらいになったかな?」

 一緒に食事の準備をしていた兄に聞いてみれば驚いた顔をされた。

 「へ?なんで?」

 「ママまもれなかった。それにあのオオカミきずつけたから」

 結果的に助かりはしたが、自分のせいかもしれないと思うと怖くて素直に本人に聞けなかった。

 「そんなことないよ。オレがアズライトの立場だったとしても同じことしてた。それにあれはエニシが無茶で異常な行動なんだよ」

 普通フェンリルを手懐けようなど誰も思わないと言われた。

 「でもママできたよ?」

 「うん、それはエニシだからだね。言っておくけど出来たんだからね」

 アズライトはマネしちゃダメだと言われたが、自分に出来るともしようとも思わないので素直に頷いておいた。

 「アズライトはさ、大好きなママを守ろうとしただけでしょ?そのことでエニシが怒るわけないよ。むしろありがとうって言うんじゃないかな」

 「ほんと?」

 「オレはそう思うよ」

 本当にそうだろうか?
 なんてことしてくれたんだと怒りはしないだろうか?
 傷つけるなんて可哀想だと責められはしないだろうか?
 守るといいながら何も出来てないじゃないかと言われはしないだろうか?
 考えれば考えるほど悪い方へ行き着く。
 こんな子もういらないと言われたら?
 もう私の子じゃありませんと言われたら?
 これまでの幸福な日々が一瞬で消え去るかもしれない。
 怖い怖い怖い。

 「ママ、アズいらないっていったらどうしよう」

 「言わないよ」

 本当に?怖くてたまらない。
 俯き泣きそうになっていれば、頭に何か暖かいものが触れる感触がした。

 「約束するよ。エニシはあの女とは違う。絶対にアズライトを捨てたりなんかしない。それこそ魔法を使えるって知らなくても助けてくれたんでしょ?それにいつも言ってたじゃん。アズのこと大好きだよって、可愛いアズって言って抱きしめてくれてたでしょ?」

 そう、いつも言ってくれていた。
 大好きですよって、アズが大事なんだって、何度も言ってくれた。
 言われる度に嬉しくて、自分もママを大好きになって絶対になくしたくないと思った。

 「もしそれでもアズライトがエニシに悪いことしたなぁって思うなら謝ってくればいいよ。大丈夫、絶対許してくれる」

 その魔力とは違い暖かい手の平に頭を撫でられる。

 「………………いっしょにきてくれる?」

 まだ少し自信が持てずそう言えば笑って頷いてくれた。
 ビクビクしながらも繋がれた手に勇気をもらいママの前までくるとごめんなさいと素直に謝る。

 「何がですか?」

 キョトンと見返してくる表情に怒っている様子はなかった。

 「ママまもれなかった。ママけがしてたのに……アズなんにもできなかった」

 ごめんなさいごめんなさいと泣きながら謝れば、伸ばされた腕にギュッと抱きしめられた。

 「謝らなくていいんです。アズは何も悪くない。私が少し無茶したせいです」

 「で、でも、アズ、な、なんにも、でき、できな、い、ママ、アズいらない、って、だからーー」

 「そんなことあるわけないです。アズはいつも一生懸命頑張ってくれてます。そんなアズが私は大好きですよ。いらないなんて思ってないです。思ったこともない」

 本当?一緒にいてもいい?いらなくなってない?

 「怖い思いさせてごめんなさい。でもアズのおかげで狼たちを助けようと思えたんです。アズのおかげで彼らを救うことが出来た。頑張ってくれてありがとう。守ろうとしてくれてありがとうアズ。大好きですよ」

 「ゔぇーーん」

 大好き。ママ大好き。
 ギュッと首に抱きつき泣きながらママ大好きと繰り返す。

 「そう焦らなくいいんです。焦って強くなろうとも大人になろうとしなくていい。アズがアズであれば、毎日元気にいてくれさえすれば私は幸せなんですよ」

 いらないと言われないように頑張ってきた。
 けどいくら頑張っても不安で、守られてばかりの自分が大嫌いだった。
 何でも出来てしまうママに、大好きなママにすごいねって褒めてもらえるよう自分なりに頑張ってきた。

 「それに以前言ったでしょう?アズがママなんかいらないって言わない限り一緒にいると。そんなこと言わないと言ってくれたじゃないですか。ずっと一緒だって言ったじゃないですか。ね?」

 「……ぐす、うん…いっしょ…」

 ママのこといらないなんて一生言うことはないだろう。
 それこそママがアズをいらないと言わない限り。
 だからずっとずーと一緒にいられると喜んだことを思い出すのであった。

 「ママだいすき」

 「私もアズが大好きですよ。もちろんエルもね」

 「……そう」

 あれほど優しく大丈夫と言ってくれていたのにママには随分素っ気ない兄の態度に首を傾げるアズなのだった。

 

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