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いつの時代も
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「そういえばお爺ちゃんは何故入り口に立ってたんですか?」
さも通りたくば俺を倒していけと言わんばかりであった。
「あぁ、このバカあんたたちが来るのを毎日あそこで待ってたんだよ」
…………え…毎日?
いつ来るかも分からない縁たちを毎日あそこに立って待っていたと言うのか?え?
「バカだろ?まぁこのバカが勝手にしたことだからアンタが気にすることはないよ」
「そう言いながらマーガレットだって私が戻ってくる度に来たか来たかって聞いてたじゃないか」
似た者夫婦である。
「う、うるさいね!ア、アンタがウロウロするから仕方なくさ!」
相変わらずの照れ屋具合だった。
「心配してくれていたんですね、ありがとうございます。今度からちゃんと連絡しますね」
子が出来る度に心配させては申し訳ない。
必ず連絡すると言えば、マーガレットたちも少しは安心したようだった。
それからなんだかんだで数時間ほどお邪魔し、ではと帰ろうとした時ーーー
「マジかよ。あいつどうやってギルマスに取り入ったんだ?」
「あそこまで気にいられてるのおかしくない?どんな卑怯なわざ使ったんだか」
「金、金か?さすがのギルマスも金には勝てなかったかー」
「じゃあ規約違反じゃない?もしかしてそれすら揉み消してもらってんの?ムカつく~」
男2人に女2人のグループのようだ。
明らかに目が縁たちを捉えていることから喧嘩を売られているようだ。
青筋を浮かべるジークに、大丈夫だと微笑む。
確かに縁はマーガレットたちと親しくさせてもらってはいるが、それで冒険者として何か優遇されたことはないのだ。
ならば何も気にすることなく堂々としていればいい。
そもそも縁をよく冒険者だと気づけたものだ。
初め来た時もそうだったが、一見して冒険者には見えないと言われていたのに。
もしかしてギルド内で噂になっていたのかもしれないと反省しつつ騒ぐ男たちの横を通り過ぎようとすれば、いきなり1人の男に腕を掴まれた。
「何か?」
「どうやって取り入ったんだよ。オレたちにも是非とも教えてくれよ。なぁ?」
「そうよ、そうよ。アンタだけいい思いするなんておかしいわ!」
はて?
「では貴方の言ういいこととは何ですか?」
「は?」
「貴方が今、私に言った、私だけしていると言ういい思い、とは何でしょうか?」
バカみたいに口を開け何を言っているんだという顔をする女にゆっくり、少々バカにし……分かりやすく聞いてみる。
「そ、そんなの決まってるじゃない。報酬の上乗せとかーー」
「ありません。私もみなさんと同じく依頼を受け、約束通りのお金を受け取ったことしかありません。記録を調べてもらえば分かると思いますが」
「な、なら、いい依頼を優先してーー」
「未だFランクの私にいい依頼とは何ですか?」
本当に優遇されているとするならば縁はすでにランクアップしているだろう。
それでも未だFランクなのは縁が薬草採取などの低ランクの依頼しか受けてないからだ。
縁自身それでも一向に構わないと思っている。
「どうせ裏で金でももらってんだろ」
「ではその証拠は?まさか証拠もなしに、かもしれないなどと子どものようなこと言うわけありませんよね?」
「「「「………」」」」
「だんまりですか。しかし今貴方たちが言ったことはこの場の皆が聞いていましたよ。堂々とここのギルドマスターは不正を働く卑怯者だと。大丈夫ですか?」
頭とか、今後のこととか。
いくら荒くれ者の冒険者とはいえ、大人なのだから発言には時と場所を考えなければ。
「「「「っ!!」」」」
あれほど騒いでいたのだ、周りにいた他の冒険者たちからは白い目を向けられ、当たり前だがこのギルドで働く職員たちからも冷たい視線を向けられている。
一緒にいたサブギルドマスターであるジンも目の前にいたのだから馬鹿としか言いようがない。
「………君たちはこのギルドに随分不満があるようだ。そんな君たちに依頼を任せるのは私たちも大変心苦しい。他にも冒険者はたくさんいるんだ。君たちは君たちに相応しいギルドへ行くことをお勧めするよ」
「ちょっ、ちょっと待って!」
ここまで言われてまだ何かあるのだろうか?
「そうだ、オレたちは何もそこまでーー」
「そこまで…何だい?気に食わないんだろ?なら他のギルドへ行けばいいじゃないか。君たちがいなくなったところで私たちは何ら困らないよ。むしろこの子をバカにするような奴はここにはいらないんだ」
「なんっーー」
慌てて言い訳しようとした男の胸ぐらを掴むとジンは今にも射殺さんばかりに睨みつける。
「黙れ。ガキが粋がってじゃねぇぞ。遊ぶのは勝手だが喧嘩する相手は選ぶんだな。じゃねぇとーー痛い目見んぞ」
ジンの言葉に恐れをなしたのか男たちはそそくさとギルドを後にするのだった。
良い子は真似しないように!
さも通りたくば俺を倒していけと言わんばかりであった。
「あぁ、このバカあんたたちが来るのを毎日あそこで待ってたんだよ」
…………え…毎日?
いつ来るかも分からない縁たちを毎日あそこに立って待っていたと言うのか?え?
「バカだろ?まぁこのバカが勝手にしたことだからアンタが気にすることはないよ」
「そう言いながらマーガレットだって私が戻ってくる度に来たか来たかって聞いてたじゃないか」
似た者夫婦である。
「う、うるさいね!ア、アンタがウロウロするから仕方なくさ!」
相変わらずの照れ屋具合だった。
「心配してくれていたんですね、ありがとうございます。今度からちゃんと連絡しますね」
子が出来る度に心配させては申し訳ない。
必ず連絡すると言えば、マーガレットたちも少しは安心したようだった。
それからなんだかんだで数時間ほどお邪魔し、ではと帰ろうとした時ーーー
「マジかよ。あいつどうやってギルマスに取り入ったんだ?」
「あそこまで気にいられてるのおかしくない?どんな卑怯なわざ使ったんだか」
「金、金か?さすがのギルマスも金には勝てなかったかー」
「じゃあ規約違反じゃない?もしかしてそれすら揉み消してもらってんの?ムカつく~」
男2人に女2人のグループのようだ。
明らかに目が縁たちを捉えていることから喧嘩を売られているようだ。
青筋を浮かべるジークに、大丈夫だと微笑む。
確かに縁はマーガレットたちと親しくさせてもらってはいるが、それで冒険者として何か優遇されたことはないのだ。
ならば何も気にすることなく堂々としていればいい。
そもそも縁をよく冒険者だと気づけたものだ。
初め来た時もそうだったが、一見して冒険者には見えないと言われていたのに。
もしかしてギルド内で噂になっていたのかもしれないと反省しつつ騒ぐ男たちの横を通り過ぎようとすれば、いきなり1人の男に腕を掴まれた。
「何か?」
「どうやって取り入ったんだよ。オレたちにも是非とも教えてくれよ。なぁ?」
「そうよ、そうよ。アンタだけいい思いするなんておかしいわ!」
はて?
「では貴方の言ういいこととは何ですか?」
「は?」
「貴方が今、私に言った、私だけしていると言ういい思い、とは何でしょうか?」
バカみたいに口を開け何を言っているんだという顔をする女にゆっくり、少々バカにし……分かりやすく聞いてみる。
「そ、そんなの決まってるじゃない。報酬の上乗せとかーー」
「ありません。私もみなさんと同じく依頼を受け、約束通りのお金を受け取ったことしかありません。記録を調べてもらえば分かると思いますが」
「な、なら、いい依頼を優先してーー」
「未だFランクの私にいい依頼とは何ですか?」
本当に優遇されているとするならば縁はすでにランクアップしているだろう。
それでも未だFランクなのは縁が薬草採取などの低ランクの依頼しか受けてないからだ。
縁自身それでも一向に構わないと思っている。
「どうせ裏で金でももらってんだろ」
「ではその証拠は?まさか証拠もなしに、かもしれないなどと子どものようなこと言うわけありませんよね?」
「「「「………」」」」
「だんまりですか。しかし今貴方たちが言ったことはこの場の皆が聞いていましたよ。堂々とここのギルドマスターは不正を働く卑怯者だと。大丈夫ですか?」
頭とか、今後のこととか。
いくら荒くれ者の冒険者とはいえ、大人なのだから発言には時と場所を考えなければ。
「「「「っ!!」」」」
あれほど騒いでいたのだ、周りにいた他の冒険者たちからは白い目を向けられ、当たり前だがこのギルドで働く職員たちからも冷たい視線を向けられている。
一緒にいたサブギルドマスターであるジンも目の前にいたのだから馬鹿としか言いようがない。
「………君たちはこのギルドに随分不満があるようだ。そんな君たちに依頼を任せるのは私たちも大変心苦しい。他にも冒険者はたくさんいるんだ。君たちは君たちに相応しいギルドへ行くことをお勧めするよ」
「ちょっ、ちょっと待って!」
ここまで言われてまだ何かあるのだろうか?
「そうだ、オレたちは何もそこまでーー」
「そこまで…何だい?気に食わないんだろ?なら他のギルドへ行けばいいじゃないか。君たちがいなくなったところで私たちは何ら困らないよ。むしろこの子をバカにするような奴はここにはいらないんだ」
「なんっーー」
慌てて言い訳しようとした男の胸ぐらを掴むとジンは今にも射殺さんばかりに睨みつける。
「黙れ。ガキが粋がってじゃねぇぞ。遊ぶのは勝手だが喧嘩する相手は選ぶんだな。じゃねぇとーー痛い目見んぞ」
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良い子は真似しないように!
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