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「そこの貴方!」
「かなり間が合いてしまいましたね。ジンさんたちが卒倒していなければいいんですが……」
新たな住居の作成などでギルドへ来るのにかなり時間が空いてしまっていた。
「ちょっと!そーー」
「あの人たちって何なの?ロンなんか斧持って追いかけられたって言ってたけど、鬼ババアなの?」
頰を引きつらせながら言っていたロンにエルはもうあの2人が分からないと唸っている。
「だから待ちなさいといーー」
「元冒険者ですからね。色々な攻撃手段があるのはすごいことです」
安全な依頼しかこなしたことがない縁たちとは違い、ギルドマスターにまで上り詰めるほどの依頼をこなしてきたマーガレットたちを縁はすごいと感心する。
「いや、そういうことを言ってるんじゃなく…」
「待ちなさいと言っているでしょう!!そこの2人!」
「「?」」
先程から何やら後ろが騒がしいとは思っていたが、まさか自分たちに言っていたとは思わず、無視する形になってしまっていたらしい。
もちろんエルは気付いていた。わざとだ。
「先程からずっと話しかけていましたのに随分だこと。まぁ、いいわ。それより最近お兄様に纏わり付いているというエニシという男のことを探していたのだけど、貴方のことよね?」
「違いますよ」
「え?」
さらりと笑顔で嘘をついた縁は、驚くお嬢様(?)に挨拶するとそそくさとその場を離れた。
「突然ですがリックって妹さんとかいます?」
「?、はい。2つ違いですが妹が1人」
久しぶりの再会にも関わらず挨拶もそこそこに質問すれば、リックも戸惑いながらも素直に答えてくれる。
「ってことはコイツの妹だね。めんどくさ」
「えーと、もしかして会いましたか?」
「さっきそこで絡まれたんだよ。オニイサマに纏わりつくエニシさんをオサガシなんだって」
エルの嫌な言い回しにリックが平謝りしてくる。
確かに絡まれはしたが、何かされたわけではないので大丈夫だとリックに頭を上げさせる。
「仲が良いんですか?」
「いえ全く。同じ城にいますが昔は会うのは年に1、2回程度で、会っても嫌味しか言ってこないので殆ど無視してました」
本当に気にしてないのだろう。
けろりとした顔で首を振っている。
ならば何故だろう?
「……ただ最近は何かと見かけるというか、目につくといいますか…あまりに見かけるので理由を聞こうと話しかけても急に怒りだして走って逃げていく感じで」
ストーカーではないことを祈ろう。
兄妹でそんなことはないと思うが。
「っていうか纏わり付くってかなり失礼じゃない?実際は逆じゃん」
確かに。縁はリックに頼まれて依頼を受けている立場なのであって、リックに頼んで依頼を出してもらっているわけでも付き纏っているわけでもない。
だがそれを何も知らないリックに言うのも酷だろう。
「まぁまぁ、特に何かされたわけでもありませんから。それより会わない内に随分身長が伸びましたね。身体もガッシリしてますし」
縁に対する態度は全くと言っていいほど変わってないが、その体格は以前会った時より大人びている。
凄いですねと褒めれば嬉しそうに笑って今までのことを話してくれる。
「その、言われたことを私なりに考えてみたんです。それで自分に出来ることをとりあえず頑張ってみようと思って。剣も前より上達しましたし、勉強は今でも苦手ですけど少しずつ頑張って最近は珍しく宰相から褒めの言葉ももらいました」
どうやらこの国の王様はあまりのようで、殆どが宰相が仕切っているらしい。
それほどキレ者ならば周りからよく思われていないだろうと思えばかなりの実力者らしく、使えないと判断したものは片っ端から破棄し、弱味を握ろうにもそんな隙がなく、そんなこと考えた馬鹿たちはいつの間にかいなくなるという怪談話になっているようだ。
怖っ!!
「良かったですね。貴方の頑張りを見ていてくれた人がいたってことです。ギルドの方でも依頼を受けているんでしょう?ランクが上がったと聞きました」
「Eですけど。あの、ランクが違ってもまた一緒に依頼に付いて行ってもいいですか?」
それで特にリックに旨味があるとは思えないが、ただ単に縁といたいだけだと分かっているので付いてくるのには問題ない。
「もちろん。今日はどうしますか?依頼を受けてもいいですけど、久しぶりなので少しお話しでもしますか?」
「はい!ぜひ!」
まさかギルド内で依頼も受けずに話すのはどうかと思い、では外でお茶でもしようということになったのだが。
「あ、あのその前に実は渡しーー」
「「ちょーーっと待った!!」」
「待ちなさーーい!!」
そんな大声がギルド内に響き渡ったかと思えば、見知った顔の2人と先程見かけた少女が縁らに駆け寄ってくるのであった。
「………とりあえず、みなさん驚かれてるので謝りましょうか」
「「ごめんなさい!」」
にっこりと笑いそう言えば、何故か縁に対してすごい勢いで頭を下げてくるジンとマーガレットであった。
相手が違いますよ?
「かなり間が合いてしまいましたね。ジンさんたちが卒倒していなければいいんですが……」
新たな住居の作成などでギルドへ来るのにかなり時間が空いてしまっていた。
「ちょっと!そーー」
「あの人たちって何なの?ロンなんか斧持って追いかけられたって言ってたけど、鬼ババアなの?」
頰を引きつらせながら言っていたロンにエルはもうあの2人が分からないと唸っている。
「だから待ちなさいといーー」
「元冒険者ですからね。色々な攻撃手段があるのはすごいことです」
安全な依頼しかこなしたことがない縁たちとは違い、ギルドマスターにまで上り詰めるほどの依頼をこなしてきたマーガレットたちを縁はすごいと感心する。
「いや、そういうことを言ってるんじゃなく…」
「待ちなさいと言っているでしょう!!そこの2人!」
「「?」」
先程から何やら後ろが騒がしいとは思っていたが、まさか自分たちに言っていたとは思わず、無視する形になってしまっていたらしい。
もちろんエルは気付いていた。わざとだ。
「先程からずっと話しかけていましたのに随分だこと。まぁ、いいわ。それより最近お兄様に纏わり付いているというエニシという男のことを探していたのだけど、貴方のことよね?」
「違いますよ」
「え?」
さらりと笑顔で嘘をついた縁は、驚くお嬢様(?)に挨拶するとそそくさとその場を離れた。
「突然ですがリックって妹さんとかいます?」
「?、はい。2つ違いですが妹が1人」
久しぶりの再会にも関わらず挨拶もそこそこに質問すれば、リックも戸惑いながらも素直に答えてくれる。
「ってことはコイツの妹だね。めんどくさ」
「えーと、もしかして会いましたか?」
「さっきそこで絡まれたんだよ。オニイサマに纏わりつくエニシさんをオサガシなんだって」
エルの嫌な言い回しにリックが平謝りしてくる。
確かに絡まれはしたが、何かされたわけではないので大丈夫だとリックに頭を上げさせる。
「仲が良いんですか?」
「いえ全く。同じ城にいますが昔は会うのは年に1、2回程度で、会っても嫌味しか言ってこないので殆ど無視してました」
本当に気にしてないのだろう。
けろりとした顔で首を振っている。
ならば何故だろう?
「……ただ最近は何かと見かけるというか、目につくといいますか…あまりに見かけるので理由を聞こうと話しかけても急に怒りだして走って逃げていく感じで」
ストーカーではないことを祈ろう。
兄妹でそんなことはないと思うが。
「っていうか纏わり付くってかなり失礼じゃない?実際は逆じゃん」
確かに。縁はリックに頼まれて依頼を受けている立場なのであって、リックに頼んで依頼を出してもらっているわけでも付き纏っているわけでもない。
だがそれを何も知らないリックに言うのも酷だろう。
「まぁまぁ、特に何かされたわけでもありませんから。それより会わない内に随分身長が伸びましたね。身体もガッシリしてますし」
縁に対する態度は全くと言っていいほど変わってないが、その体格は以前会った時より大人びている。
凄いですねと褒めれば嬉しそうに笑って今までのことを話してくれる。
「その、言われたことを私なりに考えてみたんです。それで自分に出来ることをとりあえず頑張ってみようと思って。剣も前より上達しましたし、勉強は今でも苦手ですけど少しずつ頑張って最近は珍しく宰相から褒めの言葉ももらいました」
どうやらこの国の王様はあまりのようで、殆どが宰相が仕切っているらしい。
それほどキレ者ならば周りからよく思われていないだろうと思えばかなりの実力者らしく、使えないと判断したものは片っ端から破棄し、弱味を握ろうにもそんな隙がなく、そんなこと考えた馬鹿たちはいつの間にかいなくなるという怪談話になっているようだ。
怖っ!!
「良かったですね。貴方の頑張りを見ていてくれた人がいたってことです。ギルドの方でも依頼を受けているんでしょう?ランクが上がったと聞きました」
「Eですけど。あの、ランクが違ってもまた一緒に依頼に付いて行ってもいいですか?」
それで特にリックに旨味があるとは思えないが、ただ単に縁といたいだけだと分かっているので付いてくるのには問題ない。
「もちろん。今日はどうしますか?依頼を受けてもいいですけど、久しぶりなので少しお話しでもしますか?」
「はい!ぜひ!」
まさかギルド内で依頼も受けずに話すのはどうかと思い、では外でお茶でもしようということになったのだが。
「あ、あのその前に実は渡しーー」
「「ちょーーっと待った!!」」
「待ちなさーーい!!」
そんな大声がギルド内に響き渡ったかと思えば、見知った顔の2人と先程見かけた少女が縁らに駆け寄ってくるのであった。
「………とりあえず、みなさん驚かれてるので謝りましょうか」
「「ごめんなさい!」」
にっこりと笑いそう言えば、何故か縁に対してすごい勢いで頭を下げてくるジンとマーガレットであった。
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