二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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 それからジークに抱き抱えられながら隠れ家に戻れば、案の定すごい勢いで駆けてくる2人の姿が。

 「お仕事は終わったんですか?」

 「終わった」
 「終わらせた!」

 ん?
 若干アレンの物言いは気になったが、まぁいいかと4人で部屋に向かう。
 途中アズも回収し、部屋に着けば当たり前かのようにソファに座るジークの膝に座らされた。

 「ジーク?」

 「ん?」

 なぜ?と首を傾げれば、逆に不思議そうな顔で返される。
 あれ?おかしいのは私なんですかね?

 「まぁ、いいか。それでですね、ジークがーー」

 「よくない!アンタさっきからなんなんだ。縁は俺たちのだぞ!」

 「そうだ、とっとと離せ。ほら縁、俺の膝にこい」

 セインとアレンが手を伸ばしてくるが、ジークに腰を掴まれているため動けない。
 睨み合う3人にアズも戸惑っている。

 「落ち着いて下さい。アズが困っているでしょう?アレンたちも膝になら後で乗ってあげますから今は話しを聞いて下さい」

 縁が注意すればアレンとセインも渋々ながら頷き、縁たちの正面の椅子に腰を下ろす。
 アズは縁の膝の上である。

 「では、急ではありますがジークが番になりました」

 「ちっ!」
 「やはりか……」

 こらアレン行儀が悪いです。
 2人はかなり苛立っているようだが、あまり驚いている様子はない。

 「驚かないんですね?」

 どうしてだろうと思っていれば、何故か溜め息を返された。

 「ジークを見てれば分かる。ジークの縁を見る目は俺たちと一緒だった」

 「それにあんだけ縁にかまいまくってたじゃん」

 構いまくっていた?
 そんなことあったかな?
 縁は知らなかったが、ジークは仲間たちと仲は良かったがどこかしら一線を置いていた。
 エリーを亡くし悲しむ自分を見せるのが嫌だったのか、それともそのせいで気を使わせるのが嫌だったのか分からないが、仲良くしながらもどこか一歩距離を置いていた。
 それが縁が来てからというもの率先して世話を焼き、楽しそうに笑っている姿を見ればアレンたちだけでなく周りも気づいていた。

 「それに縁も何だかんだ言ってジークを頼ってたからな。気に入らないが縁がそう決めたなら俺は従う」

 「そうだな。か・な・り気に入らないが仕方ないから認めてやるよ」

 アレンは何故そう偉そうなのか……
 でもジークを番にしたいというのは確かに縁の我儘なので何も言わなかった。

 「サッズだってジークの心配してたしな」

 「サッズが?」

 どういうことだとジークが問えばセインが苦笑いしながらも教えてくれた。

 「あんなデカイ図体してるけどそんなに強くないんだ、ってな。あ、もちろん精神面のことだぞ」

 「あははっ、サッズさんはお母さん気質ですね」

 1人誰にも頼らず立つジークにサッズはかなり心配していたようだ。
 心配されて喜んでいいのか、年下である部下に心配されて情けないと落ち込めばいいのかジークは複雑そうな表情だ。
 素直に喜べはいいのに。
 思ったが、言えば拗ねそうなのでやめておく。

 「だからアンタが縁をかまっていてもあんまり邪魔してやってくれるなとも言われた」

 甘えることが苦手なジークなりの甘え方なのだろうとサッズは笑っていたらしいが。

 「サッズさんはいい方ですね」

 「アイツはダメだぞ」
 「これ以上はダメだからな」

 純粋に褒めただけだったのだが、サッズまで番にしようとしている思われたのか絶対にダメだと言われた。
 何故そう思ったのか……
 確かにサッズのことは好きだが、それは友情的なものでそこに恋愛的要素は含まれていない。
 例えるなら親切な隣の家のお兄さん。

 「そんなことあるわけないでしょう?これ以上獣人の番を増やすなんて私の身体が壊れてしまいます」

 アレンとセインの発情期でさえ無事切り抜けられるか分からないのにジークまで加わったのだ。
 ……あれ?もしかして無理なのでは?
 想像して無様に倒れる自分の姿しか浮かばない。

 「そのことなんだがーー」

 「ママしんじゃうの!?ヤダ、ヤダヤダ」

 それまで黙って聞いてたアズが、身体が壊れる=ママが死んじゃうと思ったらしくヤダヤダとギュッと首に抱きついてくる。
 あー、癒されます。
 暢気にそんなことを考えていたが、ジークに脇腹を突かれアズを抱きしめ返してやるとそんなことないと言ってやる。

 「今はものの例えです。本当に壊れるわけではありません。それぐらい疲れるだろうなってことです」

 大丈夫だと背を撫でてやれば、何とか落ち着いたのか腕を離した。

 「それよりアズのパパが増えたってことですよ。アズはジークが大好きでしょう?」

 「すき!」

 「それは良かった。今日からジークもアズのパパですからね。何かあったらジークを頼るといいです」

 「うん!」

 笑顔で答えるアズにジークも嬉しそうだ。

 「俺は!?」
 「俺にも頼ってくれていいんだからな!」

 焦ったようにそう言うが、2人は日頃縁ばかり構ってアズを後回しにする時があるのが原因だと思う。
 俺たちだってパパだ!と主張する2人は放っておき、他3人で夕食を食べに向かうのであった。
 もちろんアレンたちは後ろから追って来ていたが。

 「お頭よかったですね!」

 「おめでとうございます頭っ!」

 食堂へ入った途端、みんなに祝いの言葉をかけられ縁は戸惑った。
 何故彼らが知っているのか?
 聞けば帰って来た時の縁の状態でバレてしまったようだ。
 腰の痛みにジークに抱えられながら戻ってきた縁だったが、それが先日アレンたちと致した後の様子に似ていたため、一緒にいたはずのジークとの間に進展があったのだと悟ったらしい。
 だがそれを聞き、ではジークとヤッてきたとバレているということに縁は恥ずかしくて顔を上げられない。
 真っ赤な顔で俯く縁にジークは苦笑いすると抱えたまま椅子に座る。
 普段なら何をしているんだと言っていただろうが、この恥ずかしさに1人にされるのは心細かったため大人しくしていることにした。

 「ほら腹すいてんだろ?食え」

 口に放り込まれるまま咀嚼し食べ切れば速攻部屋まで運んでもらう。
 アズはというとパパと認めてもらおうと必死に世話するアレンたちに任せておいた。

 「みなさんにバレているなんて……」

 「そんなに俺とのことを知られるのいやなのかよ」

 ジークの胸に隠すように顔を擦りよせていれば、頭上から拗ねたような声でそう聞こえてきた。
 そういう意味ではなかったのだが……

 「違います。ジークとのことは後悔してないし、恥ずかしくもないですが……その、そういう、ことを…していたんだとバレるのは、ちょっと……」

 あくまでSEXしていたということがバレるのが嫌なのだ。
 そんなこと自慢することでもなければ、言いふらすことでもない。

 「ならもっと体力つけるしかねぇな」

 毎回する度に翌日抱えられる縁に、ならば体力をつけろとジークの助言に納得した。
 やはり筋肉が必要なようですね!
 
 「……体力であって筋肉じゃねぇからな」

 もはやどうやって筋肉をつけると考える縁にジークのその言葉は届いていなかった。
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