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準備しましょう
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アズが友達とケンカしたという日から数日。
未だに仲直りはできていないようだが、アズはちょこちょこと楽しそうにジークの周りを付いて回っていた。
ジークもそんなアズが可愛いのか嫌がる素振りもせず、逆にアズに危ないことをして真似されては大変と無茶なことはしなくなったのでアズ様々である。
お頭であるジークに子どもがあまり近寄らないことを知っていたのか、それともジークのそばにいるのが楽しいのか親鳥を追いかける雛のような姿に大人たちは癒されるのであった。
もちろん縁もその一人である。
「アズを可愛がるのはいいが、俺も少しはかまえ」
「俺も縁が足りなくなってきた」
両脇からくっついてくるアレンとセインは今日は非番らしく、アズを見守る縁を朝から抱きしめて離してくれない。
「構えと言われても……どうすればいいですか?」
「全身舐めまわーー」
「お前は黙ってろ!俺は縁に触れたい」
「アレンは置いといて。触れたいって、今も触ってるじゃないですか」
朝から離してくれないのは誰だ。
あとアレンの案は却下です。
「それはそうだが。そういう意味じゃなくて素肌に触れたい」
「ぶっ!?すっ、素肌って、裸ってことですか?こんな朝っぱらから?」
セインの衝撃発言に吹き出してしまった。
「驚くことじゃないだろ?それに多分俺の発情期が近い。慣らしていると言ってもまだ挿れたことはないだろ?」
「!?」
衝撃発言その②
発情期が近い!?
なにそれ、初耳なんですが!!
「い、挿れ、って発情期もうすぐなんですか!?どうしましょう、何も準備できてませんよ」
どうしようどうしようと慌てる縁に大丈夫だと頭を撫でられる。
「落ち着け。近いってだけで今すぐじゃない…はずだ。それより縁の身体の準備をしよう。朝っぱらからというが発情期に入ったらそんなこと気にしてられないからな」
顔を真っ赤にさせる縁を連れ、ジークに隔離部屋の場所を聞くとアレンとセインと共に向かう。
歩く内に一人また一人と周りから人が減っていくのに緊張が高まる。
そんな縁たちにどこに向かうのか分かったのか微笑ましそうに見つめる住人たちの目線に俯いていた縁が気付くことはなかった。
「セ、セイン……」
「大丈夫だ。そんなに怖がらないでくれ。いつもより少し多めに触るだけだ」
あまりの不安に名を呼んでしまったが、セインは大丈夫だと言い握っていた手に力が籠もる。
「俺もいるからな!大丈夫だ!」
あ、不安が増した。
「お前がいても縁が不安になるだけだろ」
セインが縁の気持ちを代弁してくれる。
「なんでだよ!大丈夫だぞ、全身舐めてトロトロにーー」
「縁から離れろ」
「はぁ?お前が離れろよ! 」
またケンカが始まったようだ。
「というかアレンはなんでそんなに舐めようとしてくるんですか?」
今までそういう事を何度かしてはいるが、最近のアレンは何かにつけて舐めたいと言ってくる気がする。
「うん?好きなやつがいたら舐めたくなるだろ?いや、あー、そうだ!毛づくろいみたいなものだな」
あ、なるほど。
犬や猫が毛づくろいするようなものかと納得していると。
「いや、それ嘘だからな。騙されるなよ縁」
「バッ、バカお前なんで言うんだよ!納得しそうだったのに」
どうやら嘘だったらしい。
ならばただアレンの性癖によるものなのだろう。
よく考えてみればセインがそういうことを言っているのを聞いたことがなかった。
「そういうお前だってよく縁のニオイかいでんじゃねぇか!縁が寝てるからって後ろからよくーー」
「バッ、バカ野郎!そんなこと言わなくでいいんだよ!」
焦ったセインがアレンの口を塞ぐが、すでに聞いてしまった。
え?私寝てる時匂い嗅がれてるんですか?
というかそれ大丈夫なんですか?臭くない?
臭いと思われてたらどうしようと自分を嗅いでみるが分からない。
「臭くないっ!臭くないからな!ちゃんとイイ匂いだから。なんだ、その……前に言っただろ?運命の番は匂いで分かるって。だからというだけじゃないが縁からいつもイイ匂いがするんだよ。けど起きてる時だと嗅がせてくれないだろうと……」
だから寝ている時に嗅いでいると。
縁に気を遣ってくれたのは分かるが、それが本人の知らぬ内に匂いを嗅がれているというのは怒っていいのか笑えばいいのか。
「……アレンに比べたらまだマシですかね」
「うそっ、なんで!俺も夜こっそり舐めればよかったのか?」
「そういう問題ではないです」
「そういうことじゃないだろ」
舐められくらいなら嗅がれる方がマシというだけだ。
自分から嗅がれたいとは思わない。
「ほら着いたぞ……すごいな個室になってるんだな。風呂も…ある」
「本当ですね。言われなければちょっとしたいい宿みたいです」
ある意味イイ宿というラブホテルみたいなものだろう。
10部屋ほど並んだ各部屋には大きめのベッドに、隣には仕切り越しに小さいが身体を洗う場所と風呂、トイレなどがあった。
「考えたのは番がいる若手らしいぞ。若いだけあって使うことが多いからか楽しそうに考えたんだと」
若さとはこういうところにも才能が発揮されるらしい。
縁も若い時に数回しか行ったことがないが、日本のラブホテルようにゴテゴテした感じではなく、主に機能性を重視した感じで恥ずかしくないのが嬉しい。
「どうする?この感じだと3人で風呂は無理そうだが。俺的には縁はそのままでいいがそれはイヤなんだろ?」
「嫌です!」
「なら俺と縁が入るからセインが1人でーー」
「2人が先に入って下さい。私は最後がいいです」
これからそういうことをするというのは分かっているが、その準備まで2人に見られなければいけないのは嫌だ。
こればかりは引けないと言えば、セインとアレンがまた言い合いをしながらも先に身体を洗いに行った。
「ど、どうしよう。最後まで…するんですよね。上手くできなかったら…どうしましょう」
色々シュミレーションをしてみたが、恥ずかしさのあまり途中で断念してしまう。
「あぁ、こんな初めての女の子じゃないんだからしっかりしないと………でも恥ずかしい」
ゔーんゔーんとベッドの上で唸っていれば、ギシリというベッドが沈む音と共に、温かい2本の手に頭を撫でられた。
「ほら縁も行ってこい」
「手伝ってやろうか?」
「結構です!!」
ニコニコと笑顔のアレンの申し出は断り、素早く身を起こすと風呂に向かった。
緊張でドクドクいう心臓を抑え準備を済ませるが、脱いだはずの服が見当たらない。
「……え、なんで?」
代わりに置いてあるのは大きめのバスタオルのみ。
これだけ巻いて出ろということだろうか。
探してみるがそれ以外は見つからないのでそういうことだろう。
仕方なく腰に巻いてみるが他が無防備な気がして心許ない。
では胸元からと巻いてみるが女性みたいで嫌だった。
悩んだ末、肩にかけるように被ると膝上まで隠してくれ安心できた。
「あの、私の服は?」
「いらないだろ?」
「あったら着ちゃうだろ」
やはり2人が犯人だったらしい。
ここまでくれば諦めるしかないと縁は一呼吸すると、彼らが待つベッドに足を進めるのであった。
未だに仲直りはできていないようだが、アズはちょこちょこと楽しそうにジークの周りを付いて回っていた。
ジークもそんなアズが可愛いのか嫌がる素振りもせず、逆にアズに危ないことをして真似されては大変と無茶なことはしなくなったのでアズ様々である。
お頭であるジークに子どもがあまり近寄らないことを知っていたのか、それともジークのそばにいるのが楽しいのか親鳥を追いかける雛のような姿に大人たちは癒されるのであった。
もちろん縁もその一人である。
「アズを可愛がるのはいいが、俺も少しはかまえ」
「俺も縁が足りなくなってきた」
両脇からくっついてくるアレンとセインは今日は非番らしく、アズを見守る縁を朝から抱きしめて離してくれない。
「構えと言われても……どうすればいいですか?」
「全身舐めまわーー」
「お前は黙ってろ!俺は縁に触れたい」
「アレンは置いといて。触れたいって、今も触ってるじゃないですか」
朝から離してくれないのは誰だ。
あとアレンの案は却下です。
「それはそうだが。そういう意味じゃなくて素肌に触れたい」
「ぶっ!?すっ、素肌って、裸ってことですか?こんな朝っぱらから?」
セインの衝撃発言に吹き出してしまった。
「驚くことじゃないだろ?それに多分俺の発情期が近い。慣らしていると言ってもまだ挿れたことはないだろ?」
「!?」
衝撃発言その②
発情期が近い!?
なにそれ、初耳なんですが!!
「い、挿れ、って発情期もうすぐなんですか!?どうしましょう、何も準備できてませんよ」
どうしようどうしようと慌てる縁に大丈夫だと頭を撫でられる。
「落ち着け。近いってだけで今すぐじゃない…はずだ。それより縁の身体の準備をしよう。朝っぱらからというが発情期に入ったらそんなこと気にしてられないからな」
顔を真っ赤にさせる縁を連れ、ジークに隔離部屋の場所を聞くとアレンとセインと共に向かう。
歩く内に一人また一人と周りから人が減っていくのに緊張が高まる。
そんな縁たちにどこに向かうのか分かったのか微笑ましそうに見つめる住人たちの目線に俯いていた縁が気付くことはなかった。
「セ、セイン……」
「大丈夫だ。そんなに怖がらないでくれ。いつもより少し多めに触るだけだ」
あまりの不安に名を呼んでしまったが、セインは大丈夫だと言い握っていた手に力が籠もる。
「俺もいるからな!大丈夫だ!」
あ、不安が増した。
「お前がいても縁が不安になるだけだろ」
セインが縁の気持ちを代弁してくれる。
「なんでだよ!大丈夫だぞ、全身舐めてトロトロにーー」
「縁から離れろ」
「はぁ?お前が離れろよ! 」
またケンカが始まったようだ。
「というかアレンはなんでそんなに舐めようとしてくるんですか?」
今までそういう事を何度かしてはいるが、最近のアレンは何かにつけて舐めたいと言ってくる気がする。
「うん?好きなやつがいたら舐めたくなるだろ?いや、あー、そうだ!毛づくろいみたいなものだな」
あ、なるほど。
犬や猫が毛づくろいするようなものかと納得していると。
「いや、それ嘘だからな。騙されるなよ縁」
「バッ、バカお前なんで言うんだよ!納得しそうだったのに」
どうやら嘘だったらしい。
ならばただアレンの性癖によるものなのだろう。
よく考えてみればセインがそういうことを言っているのを聞いたことがなかった。
「そういうお前だってよく縁のニオイかいでんじゃねぇか!縁が寝てるからって後ろからよくーー」
「バッ、バカ野郎!そんなこと言わなくでいいんだよ!」
焦ったセインがアレンの口を塞ぐが、すでに聞いてしまった。
え?私寝てる時匂い嗅がれてるんですか?
というかそれ大丈夫なんですか?臭くない?
臭いと思われてたらどうしようと自分を嗅いでみるが分からない。
「臭くないっ!臭くないからな!ちゃんとイイ匂いだから。なんだ、その……前に言っただろ?運命の番は匂いで分かるって。だからというだけじゃないが縁からいつもイイ匂いがするんだよ。けど起きてる時だと嗅がせてくれないだろうと……」
だから寝ている時に嗅いでいると。
縁に気を遣ってくれたのは分かるが、それが本人の知らぬ内に匂いを嗅がれているというのは怒っていいのか笑えばいいのか。
「……アレンに比べたらまだマシですかね」
「うそっ、なんで!俺も夜こっそり舐めればよかったのか?」
「そういう問題ではないです」
「そういうことじゃないだろ」
舐められくらいなら嗅がれる方がマシというだけだ。
自分から嗅がれたいとは思わない。
「ほら着いたぞ……すごいな個室になってるんだな。風呂も…ある」
「本当ですね。言われなければちょっとしたいい宿みたいです」
ある意味イイ宿というラブホテルみたいなものだろう。
10部屋ほど並んだ各部屋には大きめのベッドに、隣には仕切り越しに小さいが身体を洗う場所と風呂、トイレなどがあった。
「考えたのは番がいる若手らしいぞ。若いだけあって使うことが多いからか楽しそうに考えたんだと」
若さとはこういうところにも才能が発揮されるらしい。
縁も若い時に数回しか行ったことがないが、日本のラブホテルようにゴテゴテした感じではなく、主に機能性を重視した感じで恥ずかしくないのが嬉しい。
「どうする?この感じだと3人で風呂は無理そうだが。俺的には縁はそのままでいいがそれはイヤなんだろ?」
「嫌です!」
「なら俺と縁が入るからセインが1人でーー」
「2人が先に入って下さい。私は最後がいいです」
これからそういうことをするというのは分かっているが、その準備まで2人に見られなければいけないのは嫌だ。
こればかりは引けないと言えば、セインとアレンがまた言い合いをしながらも先に身体を洗いに行った。
「ど、どうしよう。最後まで…するんですよね。上手くできなかったら…どうしましょう」
色々シュミレーションをしてみたが、恥ずかしさのあまり途中で断念してしまう。
「あぁ、こんな初めての女の子じゃないんだからしっかりしないと………でも恥ずかしい」
ゔーんゔーんとベッドの上で唸っていれば、ギシリというベッドが沈む音と共に、温かい2本の手に頭を撫でられた。
「ほら縁も行ってこい」
「手伝ってやろうか?」
「結構です!!」
ニコニコと笑顔のアレンの申し出は断り、素早く身を起こすと風呂に向かった。
緊張でドクドクいう心臓を抑え準備を済ませるが、脱いだはずの服が見当たらない。
「……え、なんで?」
代わりに置いてあるのは大きめのバスタオルのみ。
これだけ巻いて出ろということだろうか。
探してみるがそれ以外は見つからないのでそういうことだろう。
仕方なく腰に巻いてみるが他が無防備な気がして心許ない。
では胸元からと巻いてみるが女性みたいで嫌だった。
悩んだ末、肩にかけるように被ると膝上まで隠してくれ安心できた。
「あの、私の服は?」
「いらないだろ?」
「あったら着ちゃうだろ」
やはり2人が犯人だったらしい。
ここまでくれば諦めるしかないと縁は一呼吸すると、彼らが待つベッドに足を進めるのであった。
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