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群雄進撃編
第222話 鶴ヶ城の会議
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「うわ~懐かしい景色だな!」
飯盛山から鶴ヶ城を眺めた八重は、前世の記憶した景色と重ね合わせる。
(お父さんやお母さん、兄上や三郎はこの世界に来ているのだろうか?)
(そうだ、この景色を再び炎に染めない為にも、僕が説得して新政府軍と共闘させなくちゃ!)
八重は鶴ヶ城へと歩き出す。
城下町は活気にあふれ、およそ戦争とは無関係の日常である。
しかし、鶴ヶ城の大広間では、カタモリ家臣とタノモが論戦を繰り広げていた。
「殿!こごは早急さ新政府ど手組んで、日ノ本の攻撃さ備えっぺぎだす!」
「このままではおらだぢの防備が遅れ、会津が火の海になっちまいます!」
タノモは必死にカタモリへと進言する。
「黙れタナモ!おめはトク家失脚させだ薩長や、得体のしれねえラビット国などど手組むづーのが?」
「おめには誇りで言うものはねえのが!」
家臣団の詰問にも、タノモは怯まず言い返す。
「ああ!この会津守る為だら、誇りなんて役さ立だねえものはなんぼでもなげでくれる!」
「おめだぢも、日ノ本どの決戦前さ、こだ事やってる時でねえどなして気付がねえ?!」
「日ノ本どは戦うさ!」
「げんとも、一緒さ戦うのは政府軍でねえ!奥羽越列藩同盟だ!」
双方一歩も引かない中、一人の重臣がタノモを援護する。
「殿!おらもタノモ殿の意見に賛成です!」
「今は新政府や幕府などに囚われず、日ノ本倒す仲間どして手結ぶべぎだす!」
「貴様シュリ!裏切ったが!」
重臣たちの非難は、シュリへと向けられる。
「新鋭兵器持った日ノ本さ、このまま奥州同盟だげで戦うのはあまりにも無謀すぎます!」
「こごは新政府ど協力し、兵や兵器の提供受げだ方が、この会津の損害グンど減らすこどがでぎます!」
「双方!それまでだ!」
二つの意見に、これまで黙って聞いていたカタモリが話を止めた。
「タノモ!シュリ!お前たちの意見はよくわかった」
「私もその意見に賛成だ!」
「それでは!」
タノモの言葉を、容保は遮る。
「いや、私だけが良くても、他の奥州諸藩が納得せねばだめだ!」
「これから諸藩の代表を集めて、新政府と手を組むように話さねばならぬ」
この言葉に二人は愕然とする。
「そんじはおらだぢの戦支度が間に合わねえだす!」
「先におらだぢだげでも新政府ど手結ぶべ!」
「そうしておげば、奥州の諸藩が窮地さ陥っても、すぐに手打ぢやすくなります!」
二人の言葉に、容保は頷く。
「分かった、その事は検討しておこう!」
「検討…だが…わがった、お願いします」
主君を怒らせると判断した二人は、それ以上何も言わなかった。
「うむ!では皆の者!戦準備に取り掛かってくれ!」
こうして、会津藩の運命を決める会議は終了したのだった。
飯盛山から鶴ヶ城を眺めた八重は、前世の記憶した景色と重ね合わせる。
(お父さんやお母さん、兄上や三郎はこの世界に来ているのだろうか?)
(そうだ、この景色を再び炎に染めない為にも、僕が説得して新政府軍と共闘させなくちゃ!)
八重は鶴ヶ城へと歩き出す。
城下町は活気にあふれ、およそ戦争とは無関係の日常である。
しかし、鶴ヶ城の大広間では、カタモリ家臣とタノモが論戦を繰り広げていた。
「殿!こごは早急さ新政府ど手組んで、日ノ本の攻撃さ備えっぺぎだす!」
「このままではおらだぢの防備が遅れ、会津が火の海になっちまいます!」
タノモは必死にカタモリへと進言する。
「黙れタナモ!おめはトク家失脚させだ薩長や、得体のしれねえラビット国などど手組むづーのが?」
「おめには誇りで言うものはねえのが!」
家臣団の詰問にも、タノモは怯まず言い返す。
「ああ!この会津守る為だら、誇りなんて役さ立だねえものはなんぼでもなげでくれる!」
「おめだぢも、日ノ本どの決戦前さ、こだ事やってる時でねえどなして気付がねえ?!」
「日ノ本どは戦うさ!」
「げんとも、一緒さ戦うのは政府軍でねえ!奥羽越列藩同盟だ!」
双方一歩も引かない中、一人の重臣がタノモを援護する。
「殿!おらもタノモ殿の意見に賛成です!」
「今は新政府や幕府などに囚われず、日ノ本倒す仲間どして手結ぶべぎだす!」
「貴様シュリ!裏切ったが!」
重臣たちの非難は、シュリへと向けられる。
「新鋭兵器持った日ノ本さ、このまま奥州同盟だげで戦うのはあまりにも無謀すぎます!」
「こごは新政府ど協力し、兵や兵器の提供受げだ方が、この会津の損害グンど減らすこどがでぎます!」
「双方!それまでだ!」
二つの意見に、これまで黙って聞いていたカタモリが話を止めた。
「タノモ!シュリ!お前たちの意見はよくわかった」
「私もその意見に賛成だ!」
「それでは!」
タノモの言葉を、容保は遮る。
「いや、私だけが良くても、他の奥州諸藩が納得せねばだめだ!」
「これから諸藩の代表を集めて、新政府と手を組むように話さねばならぬ」
この言葉に二人は愕然とする。
「そんじはおらだぢの戦支度が間に合わねえだす!」
「先におらだぢだげでも新政府ど手結ぶべ!」
「そうしておげば、奥州の諸藩が窮地さ陥っても、すぐに手打ぢやすくなります!」
二人の言葉に、容保は頷く。
「分かった、その事は検討しておこう!」
「検討…だが…わがった、お願いします」
主君を怒らせると判断した二人は、それ以上何も言わなかった。
「うむ!では皆の者!戦準備に取り掛かってくれ!」
こうして、会津藩の運命を決める会議は終了したのだった。
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