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群雄進撃編
第143話 アリの恐怖
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魔族軍は攻撃の準備が整い、各方面の司令官から、準備完了の太鼓の合図が送られてくる。
「よし、では攻撃開始の合図を送れ!」
「やつらめ、この前の攻撃で死ねなかったことを後悔させてやる!」
満を持して攻撃命令を出そうとした瞬間、無数の爆発音があちこちから聞こえた。
「何事だ!?」
周りを見渡すが、この本陣も土煙に包まれてよく見えない。
ハウスは翼を出し、空へ飛びあがる。
上空の障壁ぎりぎりに達し、全体を確認すると、見える限りの陣内全てに土煙が上がっており、戦闘が行われているのか、怒声と叫び声、そして『次々と宙を舞う、人間や魔族の姿』が確認できた。
「何だ?何が起きている?」
必死に考えるハウスの足元でも、同じ惨劇が行われていた。
それは、何処からともなく湧いてきた『人間の大きさがある蟻のようなもの』が、付近の魔族兵を嚙み千切り、その辺の魔族兵にかたっぱしから投げつけていたのだ。
その『蟻のようなもの達』から投げられた魔族兵の体の一部が、次々と他の魔族兵にあたり、その魔族兵も動けなくなっていく。
障壁を張っていた魔法兵たちも、味方の中で魔法が撃てずに、どう対応していいか分らずにおろおろしていたが、やがて敵に見つかり次々とバラバラにされていった。
付近の魔族兵が斬りかかるも、「キチン」の外皮で覆われた虫達には全く効かない。
気が付けば、数千はいるであろう『蟻のようなもの達』に、本陣は蹂躙され壊滅的な状況になっている。
更に、城前で待機していた部隊も、同じ姿となり次々と陣を潰して行っている。
「こんなもの…どう相手にすればよいのだ?」
愕然とするハウスに一人の武将が名乗りを上げる。
「我が名は呂蒙子明!敵指揮官ハウス殿とお見受けした!」
「いざ、尋常に勝負!」
そう名乗り終えて、ハウスに突っ込んで行く呂蒙。
しかし、間一髪、ハウスの側近たちが間に割って入り、ハウスは事なきを得る。
「司令官!ここはもう持ちません!」
「後続の騎兵2000を連れてお逃げください!」
わかったと言い、その場を離れるハウス。
「匹夫ハウスよ!150000の総大将が、兵を見捨て逃げ出すとは、臆病風に吹かれたか!」
側近を斬り倒しながら呂蒙は挑発するも、ハウスは聞く耳をもたずに退却してしまった。
やがて、全ての側近を斬り倒し、宙に浮かんだ呂蒙はそっと呟く。
「よし、うまい事江陵方面へ撤退したな」
ハウスは完全に『周瑜と陸遜』の手の上で踊らされていることに、まだ気づいていない。
呂蒙はそのまま、全軍に対して呼びかける。
「魔族軍よ!お前たちの司令官であるハウスは、お前たちを見捨て、江陵へ逃げ帰った!」
「降伏する者は武器を捨てよ!」
「抵抗を続けるなら、そのまま殺されて、我らの糧となれ!」
一騎打ちの件から聞いていた、本陣で戦うハウスの部下たちはすぐさま投降し、それを機に、各方面で戦闘中の奏軍も、一斉に降伏していった。
これにより、江陵方面の秦軍は壊滅的な打撃を受けた。
「さて、こちらは片付いたし、私が用意した物を見たハウスは喜んでくれるだろうか?」
「ハウスはなぜそのことを知っているのか、孫堅様から聞かされることでしょう」
「せめて最後は『気高く』逝ってほしいものだ」
周瑜と陸遜は元いた城壁へと移動し、各部隊長へ負傷者の治療と、捕虜の対応の指示を行った。
「よし、では攻撃開始の合図を送れ!」
「やつらめ、この前の攻撃で死ねなかったことを後悔させてやる!」
満を持して攻撃命令を出そうとした瞬間、無数の爆発音があちこちから聞こえた。
「何事だ!?」
周りを見渡すが、この本陣も土煙に包まれてよく見えない。
ハウスは翼を出し、空へ飛びあがる。
上空の障壁ぎりぎりに達し、全体を確認すると、見える限りの陣内全てに土煙が上がっており、戦闘が行われているのか、怒声と叫び声、そして『次々と宙を舞う、人間や魔族の姿』が確認できた。
「何だ?何が起きている?」
必死に考えるハウスの足元でも、同じ惨劇が行われていた。
それは、何処からともなく湧いてきた『人間の大きさがある蟻のようなもの』が、付近の魔族兵を嚙み千切り、その辺の魔族兵にかたっぱしから投げつけていたのだ。
その『蟻のようなもの達』から投げられた魔族兵の体の一部が、次々と他の魔族兵にあたり、その魔族兵も動けなくなっていく。
障壁を張っていた魔法兵たちも、味方の中で魔法が撃てずに、どう対応していいか分らずにおろおろしていたが、やがて敵に見つかり次々とバラバラにされていった。
付近の魔族兵が斬りかかるも、「キチン」の外皮で覆われた虫達には全く効かない。
気が付けば、数千はいるであろう『蟻のようなもの達』に、本陣は蹂躙され壊滅的な状況になっている。
更に、城前で待機していた部隊も、同じ姿となり次々と陣を潰して行っている。
「こんなもの…どう相手にすればよいのだ?」
愕然とするハウスに一人の武将が名乗りを上げる。
「我が名は呂蒙子明!敵指揮官ハウス殿とお見受けした!」
「いざ、尋常に勝負!」
そう名乗り終えて、ハウスに突っ込んで行く呂蒙。
しかし、間一髪、ハウスの側近たちが間に割って入り、ハウスは事なきを得る。
「司令官!ここはもう持ちません!」
「後続の騎兵2000を連れてお逃げください!」
わかったと言い、その場を離れるハウス。
「匹夫ハウスよ!150000の総大将が、兵を見捨て逃げ出すとは、臆病風に吹かれたか!」
側近を斬り倒しながら呂蒙は挑発するも、ハウスは聞く耳をもたずに退却してしまった。
やがて、全ての側近を斬り倒し、宙に浮かんだ呂蒙はそっと呟く。
「よし、うまい事江陵方面へ撤退したな」
ハウスは完全に『周瑜と陸遜』の手の上で踊らされていることに、まだ気づいていない。
呂蒙はそのまま、全軍に対して呼びかける。
「魔族軍よ!お前たちの司令官であるハウスは、お前たちを見捨て、江陵へ逃げ帰った!」
「降伏する者は武器を捨てよ!」
「抵抗を続けるなら、そのまま殺されて、我らの糧となれ!」
一騎打ちの件から聞いていた、本陣で戦うハウスの部下たちはすぐさま投降し、それを機に、各方面で戦闘中の奏軍も、一斉に降伏していった。
これにより、江陵方面の秦軍は壊滅的な打撃を受けた。
「さて、こちらは片付いたし、私が用意した物を見たハウスは喜んでくれるだろうか?」
「ハウスはなぜそのことを知っているのか、孫堅様から聞かされることでしょう」
「せめて最後は『気高く』逝ってほしいものだ」
周瑜と陸遜は元いた城壁へと移動し、各部隊長へ負傷者の治療と、捕虜の対応の指示を行った。
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