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第79話 咸陽陥落
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弁慶と熊武将の一騎打ちは佳境を迎える。
双方互角に打ち合っているが、熊武将はすでに腕がしびれて力が入らなくなってきている。
「一体お前たちはなんなのだ!」
「突然この森に現れて、我々の覇業の邪魔をする!」
弁慶は大鉈を地面に立て熊武将に答える。
「拙者は転生者で、現世にカマドウマとして生まれた」
「本当であればそのまま虫として朽ちるところを、我が王が人へと進化させ、前世を思い出させてくれた」
「転生者?進化?」
何を言っているのかわからない熊武将へ、弁慶は更に告げる。
「ちなみにおぬしも転生者であるぞ?」
「なんだと?」
「お前の名前は確か…おお、そうであった」
「お前の名前は鍾離眜(しょうりばつ)だったぞ」
「俺に名前があっただと!」
武将熊は驚き、さらに弁慶は話を続ける。
「お前らは全員前世のことを忘れておるだけだ」
「その前世を思い出せば、自分たちがやりたいこともわかるはずだぞ!」
「俺が…転生者?」
熊武将はひどく混乱してしまう。
「敵の言葉に惑わされるな!!」
誰だと振り返る弁慶に、走りこんできた熊武将の斧槍が振り下ろされる。
危機一髪!のはずなのだが、熊武将が撃ち込んだ斧槍を、弁慶は片手で止めてしまう。
「信じられん!俺の渾身の一撃が!」
恐れおののく熊武将の斧槍を、弁慶は弾き飛ばし首を振る。
「まことに残念だ」
「できればお前らの真の姿と戦いたかった」
弁慶は半獣化をさらに強化し筋力がさらに増加、体がひと回り大きくなり手が4本の体となる。
「二人まとめてかかってこい!」
弁慶の言葉に一瞬たじろいた2頭の熊武将も、すぐさま連携攻撃を始める。
弁慶は上の腕2本で大鉈を振るい、下の腕で相手の武器をつかみ、熊武将ごと振り回す。
戦ってすぐに熊武将たちは気付く。
こいつは自分たちにどうにかできる相手ではない、と。
2頭は顔を合わせ、互いに頷くと門の方角へ走り出す。
「門を開けよ!」
熊武将の言葉に、門を開放する魔族兵たち。
「いいかお前ら!俺たちが脱出したら門を閉めて降伏しろ!」
「俺たちは大王様と合流し再起を図る!」
「けして戦闘は行うな!無駄に死ぬ必要はない!」
この言葉を最後に2頭は脱兎の如く逃げ出していった。
「者ども!勝鬨を上げよ!」
事の顛末を見ていた義経がこう叫ぶと、義経の家臣が一斉に声を上げた。
その声を聴き、残されたレッドキャップの兵たちは膝から崩れ落ち、武器を捨て投降した。
これにて咸陽の長い一日の戦いは、義経たちによって夕方までには制圧された。
双方互角に打ち合っているが、熊武将はすでに腕がしびれて力が入らなくなってきている。
「一体お前たちはなんなのだ!」
「突然この森に現れて、我々の覇業の邪魔をする!」
弁慶は大鉈を地面に立て熊武将に答える。
「拙者は転生者で、現世にカマドウマとして生まれた」
「本当であればそのまま虫として朽ちるところを、我が王が人へと進化させ、前世を思い出させてくれた」
「転生者?進化?」
何を言っているのかわからない熊武将へ、弁慶は更に告げる。
「ちなみにおぬしも転生者であるぞ?」
「なんだと?」
「お前の名前は確か…おお、そうであった」
「お前の名前は鍾離眜(しょうりばつ)だったぞ」
「俺に名前があっただと!」
武将熊は驚き、さらに弁慶は話を続ける。
「お前らは全員前世のことを忘れておるだけだ」
「その前世を思い出せば、自分たちがやりたいこともわかるはずだぞ!」
「俺が…転生者?」
熊武将はひどく混乱してしまう。
「敵の言葉に惑わされるな!!」
誰だと振り返る弁慶に、走りこんできた熊武将の斧槍が振り下ろされる。
危機一髪!のはずなのだが、熊武将が撃ち込んだ斧槍を、弁慶は片手で止めてしまう。
「信じられん!俺の渾身の一撃が!」
恐れおののく熊武将の斧槍を、弁慶は弾き飛ばし首を振る。
「まことに残念だ」
「できればお前らの真の姿と戦いたかった」
弁慶は半獣化をさらに強化し筋力がさらに増加、体がひと回り大きくなり手が4本の体となる。
「二人まとめてかかってこい!」
弁慶の言葉に一瞬たじろいた2頭の熊武将も、すぐさま連携攻撃を始める。
弁慶は上の腕2本で大鉈を振るい、下の腕で相手の武器をつかみ、熊武将ごと振り回す。
戦ってすぐに熊武将たちは気付く。
こいつは自分たちにどうにかできる相手ではない、と。
2頭は顔を合わせ、互いに頷くと門の方角へ走り出す。
「門を開けよ!」
熊武将の言葉に、門を開放する魔族兵たち。
「いいかお前ら!俺たちが脱出したら門を閉めて降伏しろ!」
「俺たちは大王様と合流し再起を図る!」
「けして戦闘は行うな!無駄に死ぬ必要はない!」
この言葉を最後に2頭は脱兎の如く逃げ出していった。
「者ども!勝鬨を上げよ!」
事の顛末を見ていた義経がこう叫ぶと、義経の家臣が一斉に声を上げた。
その声を聴き、残されたレッドキャップの兵たちは膝から崩れ落ち、武器を捨て投降した。
これにて咸陽の長い一日の戦いは、義経たちによって夕方までには制圧された。
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