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第61話 最狂戦士・暴威
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精悍な熊武将と、魔族の将軍のような井出立ちの率いる兵団6000が、中央の砦に到着したのは、その日の昼過ぎであった。
「うん?」
熊武将は砦に続く橋の上に4人の人影を見る。
一人は椅子に座り、後ろに長い槍を持つ武将が3人立っている形だ。
椅子に座った男は、赤いベレー帽に迷彩服、黒のブーツで片胡坐をかき、その胡坐に肘を立て、顎を乗せている。
また、右手には人ほどの大きさがあるバトルアックスを橋に立てている。
「そこの矮小な人間ども!誰の前で橋を塞いでおる!」
魔族将軍は4人を怒鳴り散らす。
その声を聴き、4人は大声で話し始める。
「は~ん?何を言っているのかよく聞こえんな?」
ベレー帽の男は耳に手を当てながら後ろの武将に話しかける。
「飯田直景、あの顔色の悪い男は何を言っているのだ?」
「さあ?魔族訛りの言葉はよく聞き取れませぬ」
「森本一久はわかったか?」
「奴が何を言ったのかわかりませぬが、強烈な獣臭があちらから流れてきておりますな」
「そうか、獣の言葉なら何を言っているのかわからぬのう?庄林一心」
「はい、我らは「ワンワン」や「キャンキャン」など言われましても理解できませぬからな」
この会話に魔族将軍は完全に切れた。
「貴様ぁなます斬りにしてくれる!」
熊武将の制止も聞かず、こちらも自慢の戦斧を両手に持ち、一瞬で距離を詰めた魔族将軍の戦斧が、ベレー帽の頭を砕いた、はずだったのだが、ベレー帽の男は片手で戦斧を止めていた。
「この俺の攻撃をよく止めたではないか!」
焦る魔族将軍の言葉に、片胡坐のままの男はこう告げる。
「攻撃?今のが?」
そう言って立ち上がったベレー帽の男は、魔族の将軍にこう告げる。
「よく覚えておけ!攻撃ってのはこうやるものだ!」
次の瞬間、右手から繰り出されたバトルアックスにより、魔族将軍は真っ二つとなる。
「ははは!流石は友成が作った斧だ!刃こぼれ一つしておらぬ!」
この一連の行動を唖然と見ていた熊武将は慌てて部下に指示をだす。
「魔法兵!すべての魔力を使って正面に闇の障壁を出せ!」
その時、こつ然と陣内に現れた一人の男に魔族兵たちは気付く。
その姿は武具を付けた道士のようだ。
「なんだ貴様は?何時から居た?」
道士は笑う。
「いつから?最初から居ましたぞ?」
次の瞬間、彼の手から稲妻が電光石火で放たれ、20人の魔法兵全てを貫く。
貫かれた魔法兵はその場に倒れ、体をピクピクさせている。
「我が名はピット王の配下、混世魔王・樊瑞である!」
名乗りを上げた次の瞬間、樊瑞は敵陣後方に雷を次々と落としだす!
後方にいた弓兵や補給兵たちが一瞬で壊滅した。
付近にいた魔族兵たちは、樊瑞の攻撃を慌てて止めようと襲い掛かるが、そこに樊瑞の姿はない。
よく見ると橋の真ん中にいるベレー帽の左隣に立っていた。
「まさかとは思うが…お前ら、わしの動きが見えなかったのか?」
樊瑞の一言で、魔族兵団は大混乱に陥る。
ベレー帽はここで名乗りを上げる。
「遠からん者は音に聞け!近くば寄って目にも見よ!」
「我こそはラビット王国最強の戦士・ラビット・ボウイである!」
「この俺と戦う勇気があるならば掛かってこい!」
続いて3人も名乗りを上げる。
「我こそはラビット王国の臣下である・加藤清正十六将の三傑、飯田直景である!」
「同じく加藤清正十六将の三傑、森本一久推参!」
「同じく加藤清正十六将の三傑、庄林一心、土木工事に飽きたので此方に参った!」
名乗りを上げた瞬間、4人は一斉に突撃する。
ケラの腕である3人の腕力は尋常ではない。
鉄でできた槍に、パンチに、魔族兵は斬られ、潰され、バラバラになっていく。
もはやこの戦場は、ボウイ達の殺戮現場と化した。
慌てて森の中に逃げ込む魔族兵たち。
しかし、そんな魔族兵たちを伏兵で待機していた百地とホブゴブリンたちが次々と刈り取っていく。
そんな中、熊武将はボウイの前に立ちはだかる。
「貴様だけは!貴様だけは大王様と戦わせるわけにはいかん!」
「たとえこの命尽きようとも、指の1本だけでも切り取って見せる!」
熊武将は鉾槍を両手に持ち、渾身の力でボウイに打ち込んでくる。
しかしボウイはバトルアックスでいなす。
「この緑の服を着た化け物め!」
熊武将の言葉にボウイは返事をする。
「この服はな、俺が遠い昔に住んでいた国の『戦闘服』なんだよ」
「しかしお前の攻撃は、さっきの魔族の奴と違って実に素晴らしい攻撃だ!」
「ただお前…前世の名は『龍且(りゅうしょ)』だったかな?」
「出来ればお前の半獣化の姿と戦いたかった!」
「なにを言っている?」
そう言った熊武将に対して、ボウイは半獣化し、ウサギのような顔立ちとなる。
次の瞬間、ボウイは渾身のボディブローを打ち込んだ。
強烈な一撃に、熊武将はくの字に折れる。
「ぐはっ!…大王様…すみません」
その言葉を残し、熊武将は意識を失くし倒れこんだ。
それを見た魔族兵は口々に語る。
「暴威だ….ラビット王国の最狂戦士・暴威だ!」
戦意を失くした魔族兵とレッドキャップの部下たちは次々と投降した。
こうして橋の上の戦いは、3時間ほどでレッドキャップ勢6000の兵団が壊滅となった。
「うん?」
熊武将は砦に続く橋の上に4人の人影を見る。
一人は椅子に座り、後ろに長い槍を持つ武将が3人立っている形だ。
椅子に座った男は、赤いベレー帽に迷彩服、黒のブーツで片胡坐をかき、その胡坐に肘を立て、顎を乗せている。
また、右手には人ほどの大きさがあるバトルアックスを橋に立てている。
「そこの矮小な人間ども!誰の前で橋を塞いでおる!」
魔族将軍は4人を怒鳴り散らす。
その声を聴き、4人は大声で話し始める。
「は~ん?何を言っているのかよく聞こえんな?」
ベレー帽の男は耳に手を当てながら後ろの武将に話しかける。
「飯田直景、あの顔色の悪い男は何を言っているのだ?」
「さあ?魔族訛りの言葉はよく聞き取れませぬ」
「森本一久はわかったか?」
「奴が何を言ったのかわかりませぬが、強烈な獣臭があちらから流れてきておりますな」
「そうか、獣の言葉なら何を言っているのかわからぬのう?庄林一心」
「はい、我らは「ワンワン」や「キャンキャン」など言われましても理解できませぬからな」
この会話に魔族将軍は完全に切れた。
「貴様ぁなます斬りにしてくれる!」
熊武将の制止も聞かず、こちらも自慢の戦斧を両手に持ち、一瞬で距離を詰めた魔族将軍の戦斧が、ベレー帽の頭を砕いた、はずだったのだが、ベレー帽の男は片手で戦斧を止めていた。
「この俺の攻撃をよく止めたではないか!」
焦る魔族将軍の言葉に、片胡坐のままの男はこう告げる。
「攻撃?今のが?」
そう言って立ち上がったベレー帽の男は、魔族の将軍にこう告げる。
「よく覚えておけ!攻撃ってのはこうやるものだ!」
次の瞬間、右手から繰り出されたバトルアックスにより、魔族将軍は真っ二つとなる。
「ははは!流石は友成が作った斧だ!刃こぼれ一つしておらぬ!」
この一連の行動を唖然と見ていた熊武将は慌てて部下に指示をだす。
「魔法兵!すべての魔力を使って正面に闇の障壁を出せ!」
その時、こつ然と陣内に現れた一人の男に魔族兵たちは気付く。
その姿は武具を付けた道士のようだ。
「なんだ貴様は?何時から居た?」
道士は笑う。
「いつから?最初から居ましたぞ?」
次の瞬間、彼の手から稲妻が電光石火で放たれ、20人の魔法兵全てを貫く。
貫かれた魔法兵はその場に倒れ、体をピクピクさせている。
「我が名はピット王の配下、混世魔王・樊瑞である!」
名乗りを上げた次の瞬間、樊瑞は敵陣後方に雷を次々と落としだす!
後方にいた弓兵や補給兵たちが一瞬で壊滅した。
付近にいた魔族兵たちは、樊瑞の攻撃を慌てて止めようと襲い掛かるが、そこに樊瑞の姿はない。
よく見ると橋の真ん中にいるベレー帽の左隣に立っていた。
「まさかとは思うが…お前ら、わしの動きが見えなかったのか?」
樊瑞の一言で、魔族兵団は大混乱に陥る。
ベレー帽はここで名乗りを上げる。
「遠からん者は音に聞け!近くば寄って目にも見よ!」
「我こそはラビット王国最強の戦士・ラビット・ボウイである!」
「この俺と戦う勇気があるならば掛かってこい!」
続いて3人も名乗りを上げる。
「我こそはラビット王国の臣下である・加藤清正十六将の三傑、飯田直景である!」
「同じく加藤清正十六将の三傑、森本一久推参!」
「同じく加藤清正十六将の三傑、庄林一心、土木工事に飽きたので此方に参った!」
名乗りを上げた瞬間、4人は一斉に突撃する。
ケラの腕である3人の腕力は尋常ではない。
鉄でできた槍に、パンチに、魔族兵は斬られ、潰され、バラバラになっていく。
もはやこの戦場は、ボウイ達の殺戮現場と化した。
慌てて森の中に逃げ込む魔族兵たち。
しかし、そんな魔族兵たちを伏兵で待機していた百地とホブゴブリンたちが次々と刈り取っていく。
そんな中、熊武将はボウイの前に立ちはだかる。
「貴様だけは!貴様だけは大王様と戦わせるわけにはいかん!」
「たとえこの命尽きようとも、指の1本だけでも切り取って見せる!」
熊武将は鉾槍を両手に持ち、渾身の力でボウイに打ち込んでくる。
しかしボウイはバトルアックスでいなす。
「この緑の服を着た化け物め!」
熊武将の言葉にボウイは返事をする。
「この服はな、俺が遠い昔に住んでいた国の『戦闘服』なんだよ」
「しかしお前の攻撃は、さっきの魔族の奴と違って実に素晴らしい攻撃だ!」
「ただお前…前世の名は『龍且(りゅうしょ)』だったかな?」
「出来ればお前の半獣化の姿と戦いたかった!」
「なにを言っている?」
そう言った熊武将に対して、ボウイは半獣化し、ウサギのような顔立ちとなる。
次の瞬間、ボウイは渾身のボディブローを打ち込んだ。
強烈な一撃に、熊武将はくの字に折れる。
「ぐはっ!…大王様…すみません」
その言葉を残し、熊武将は意識を失くし倒れこんだ。
それを見た魔族兵は口々に語る。
「暴威だ….ラビット王国の最狂戦士・暴威だ!」
戦意を失くした魔族兵とレッドキャップの部下たちは次々と投降した。
こうして橋の上の戦いは、3時間ほどでレッドキャップ勢6000の兵団が壊滅となった。
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