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第21話 三狐の礼

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庵の前には白い眉をした狐が庵を守るように立っていた。

ピットたちはクイから飛び降り、白い眉の狐にお辞儀をして用件を伝える。

「この度は突然の来訪申し訳ない」

「こちらはラビット村の主、ラビット・ピット様と、軍師の黒田官兵衛である」

「宜しければ、この森の盟主ナインテール様にお取次ぎ願いないだろうか?」

二人がお辞儀をすると、門番の狐があわてて説明する。

「わざわざこちらに来ていただいて申し訳ないのだが…」
「ナインテール様は本日偵察に出向いておりまして、いつ戻られるかわかりませぬ…」

説明を終えると、狐は申し訳なさそうに頭を下げる。

「いえいえ、突然お伺いしたのはこちらの方です。どうか頭をお上げください」

そう話すピットに、門番は驚いた顔をする。

「では、いつお伺いすれば会えますかな?」

官兵衛が尋ねると、

「明後日は大事な軍議がありますので、盟主も必ずおります」

「わかりました、では明後日また伺います」

ふたりは礼をして振り返ると、後方に下がっていた百地と合流し庵を後にした。

2日後、2頭はまた庵を訪ねる。

今度は白い眉の狐ではなく、やや長身で精悍な顔つきの狐が立っていた。

「先日伺ったもので、こちらはラビット村の主、ラビット・ピット様と、軍師の黒田官兵衛である」
「本日は軍議でこちらにご滞在と聞いて伺って参ったのであるが…」

門番は、アッと顔をし、申し訳なさそうに話す。

「申し訳ありません、それが…」
「今朝方イワイの隣接地に襲撃の予兆ありと、急遽軍議を中止しその対処に向かってしまわれました」

「そうだったのですか!それで、イワイのほうは大丈夫だったのですか?」

ピットは慌てて門番に聞いた。

「それは大丈夫だったのですが…今日は恐らく戻らないかと思われます」

門番は申し訳なさそうに頭を下げる。

「それは安心しました。何事もなければよかったのです」

そう話し、帰路につこうとする2頭に対し、

「明日は必ず此方にいらっしゃるはずです!」

そう告げて2頭は謝罪し、ピットたちも低頭し庵を後にした。

次の日、2頭が向かった庵の前に2頭の門番が立っていた。

「ラビット様、お待ちしておりました。ラビット様のみ奥へお入りください」

ピットは官兵衛に行ってくると一言だけ言って庵へ向かう。
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