拒絶者の行く世界

蒼華 スー

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空からやって来た!

戦い方

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    「えーっと、鈴葉?鈴葉はその学園の事を知っているの?」
    「うん。僕も通う事になっているから………。けど僕、里から出たのは今日が初めてだし、妖怪の友達とかもいないから………その、氷華ちゃんと一緒に通えるなら楽しそうだなーって。」



    そう言って鈴葉は、照れたように顔を逸らして言った。



    か、可愛いー!!!あぁ、どうしよう!?撫で撫でしたい。



    でも、冷静に、冷静に。




    とりあえず、頭でも撫でておこう。



    私は、鈴葉の頭を撫でながら緑志さんに聞いた。



    「魔妖学園と連絡着きますか?」
    「はい。先程連絡したのでもうすぐ着くとの事です。」






    ……………ん?もうすぐ着く?





    「あの、ちなみに、どんな人が来るんですか?祓い屋とか、陰陽師とか?」
    「えぇ。そうですね。多分そのどちらかの人は一人はいるでしょう。
    ……………何か問題が?」





    ……………逃亡しよう。




    いや、百歩譲って私が霊力を使えるのがバレるのは問題ないが、問題があるのは羅泉の方である。
    実は、羅泉と出会ったあと、私の”検索能力”の情報と、ネット情報を漁って、羅泉に纏わる伝説や伝承を調べてみたら………あら、大変!?羅泉に纏わる主な伝説等は幾つもあったが、そのどれもが”恐ろしい妖怪”と必ず表記してあるのだ。
    つまり、羅泉は危険な妖怪であり、この妖怪を退治出来たものには名誉と、報奨金まで約束されているという事で、羅泉とエンカウント=即殺し合い………な可能性が十分あるのだ。







    うん。羅泉が昔、何していたのかとかはどうでもいい。ハッキリ言って、羅泉が数えきれない程の人間を殺していようがそれは、私には関係無い(私には害がない訳だし)。だって、顔すら知らない奴が死んだ事に一々心を痛める必要があるか?答えは”NO”だ。そんな事をしても生き返らないし、第一そんな事をしていたら心が持たんわ。悪いが私は、博愛主義者ではないんでね。そういうのは正義のヒーローとかに頼んで下さい。





    まぁ、という訳で、私は羅泉が羅泉のままであるならば、友人として羅泉の護りたい。というか、護る。



    まぁ、純粋な力では羅泉の方が断然上だからそういう戦いになったら護るってより多分、足でまといになってしまうだろう。だが、人間相手の戦い方は力でねじ伏せるだけでは無い。というか、それよりももっと恐ろしい戦い方がある。



    ……………それは、情報戦である………と私は考える。何故なら、人は誰しも生きていく中で黒歴史やら、抹消したい出来事などを殆どの人間が抱える事になると思うからだ。そしてそれらがもし、敵にバレたとしたら?例えば、自身の汚職の証拠を敵が持つことになったとしたら?
    ……………答えは多分、一生敵の操り人形になるか、それ等がバラされて得た地位や信頼がぶっ壊れる………等殆ど確実に、いい結果にはならないだろう。そして、精神的苦痛は時間が経てば治る肉体的苦痛よりよっぽど堪える。
    ……………これ以上の報ふ………ゴホンっ、もとい、残酷な戦いは無いだろう。




    そして、私はそれ等の戦いでならば多分勝てる。……………いや、驕るのは良くないな。でも私には、そう思わせてくれる最高の味方がいる。
    そう、”検索能力”だ。この能力は使い方次第で恐ろしい凶器に変わる。
    例えば、○○の秘密を”検索”したら?……………あっという間に、相手に対するカードを持つことが出来るのだ。
    ……………だからこそ、この能力は便利だが使い方を間違えたら何処ぞの国の暗殺者に殺されるのではないか?という不安はあるが………。





    というか、話が逸れたな………。戻そう。
 




    まぁ、そんな訳で、私は羅泉を護る為なら全力を注いで護る。力で駄目なら情報で。








    だって羅泉は、私がこの世界で唯一私の作った壁の内側の更に内側にいる最大の友だからね。







    ……………てな訳で、さっさと逃げるか!!!








    私は羅泉と緑志達に向かって、言った。




    「羅泉、帰ろうか。後、緑志さん達にお願いがあるんだけど、私達の事は内緒にしてね?じゃあ、バイバイ。」




    そして私は、羅泉達の返事も聞かずさっさと羅泉の手を握って家の方に帰って行った。
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