ネコ科男子は彼に孕まされたい！

ネコ科男子は彼に孕まされたい！①

　やぁ、諸君。ご機嫌はいかがかな？
　……ごめん、調子乗った。言いたかっただけです……。
　色々言いたいことはあると思うが、まずは俺の話を聞いてほしい。

　俺は姫奈。読みは「ひな」。
　こんな可愛らしい名前をしているがれっきとした男で、身長はありがたいことにそろそろ180が迫ってきた高校3年生だ。体型は女子が好むらしいと噂の細マッチョ。顔も悪いと言われたことは無いし、むしろ好ましいと言われたことがある。伸びしろ豊富です。将来有望筆頭株。でも、彼女が居たことはありません。現実って最低だよな。

　……まぁ、俺に彼女が居ないのは世界が冷酷なんじゃなくてもっと違う理由があるんだけど……。

　それはそれとして、皆様は『獣人』と呼ばれる種族をご存知だろうか。うん、そう、それ。人間に近い獣だったり、獣に近い人間だったりする人たち。共通することはちゃんと感情を持っていて、人の言葉を介すので意思疎通が可能であること。少なくとも、俺の世界ではそうだ。
　この世界には、先祖代々何の種とも交わっていない生粋の『ヒト』と何らかの種と交わり遺伝子情報を持つ『獣人』が混ざり合いながら生きている。俺らの祖父ちゃん祖母ちゃんの親御さん、つまりは曽祖父ちゃん曽祖母ちゃんくらいには社会的な問題が様々あったらしいが今は昔のことだ。
　俺からしてみれば友達が犬の血を持つ獣人でも、キリンの血が混ざった奴でも関係ない。趣味が合って、ツボが合って、一緒に居て楽しいのなら友達だ。友達はどんな姿でも友達だ。

　そう、友達は友達……なんだよな……。