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第二章
第24話 人を守るための力
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「そんなバカな、竜の力を持つこの私が負けるはずが……」
アーロイは足に力を入れ立とうするが、それはかなわなかった。
「ウィリーお前も竜だとでも言うのか?」
「俺は正真正銘の只の人間さ」
アーロイにそう告げるとカイトは倒れる私の元を駆けつけた。
「アサしっかりするんだ」
カイトが私の身体を何度も揺らし、私は意識を取り戻しゆっくりと目を開いた。
「カイト助けにきてくれたのね」
「ああサリサの避難は無事に終わったよ。これで一件落着だな。立てるか?」
「ちょっと無理みたい」
カイトの肩を借りることで、私はなんとか立ち上がることが出来た。
するとずっと空にいたアザエルさんが地上へと下りてきた。
アザエルさんの背中にはジュエルさんもおり、ジュエルさんは地上に下りるなり、一直線にボロボロになったアーロイの元に駆けつけた。
そしてアザエルの大きな口が開く。
「アサ、アーロイよ、こちらに来るがいい。今からお前らの竜の力を封印する。それで今回のことは見逃してやろう」
アザエルさんに呼ばれ、私はゆっくりアザエルさんの元へと向かった。
アーロイは自力では立ち上がることができず、ジュエルさんとカイトが肩を貸すことで、なんとか立ち上がることが出来たが、もう既に一人で歩く気力も彼にはなかった。
ジュエルさんとカイトに運ばれ、アーロイがアザエルの前に無事到着することができた。
しかし次の瞬間、私達の耳元に大きな破裂音が周囲一帯に響き渡った。
「今のは一体なに!?」
私は驚き、辺りを警戒したが何かが襲いかかってくる様子もない。
私達が不思議に思っていると、空に上がっていたリップとジョセがその一部始終を確認しており、私に叫んで言った。
「アサ、水圧で水路に穴があいちまったぞ。このままじゃマカが飲み込まれる!!」
私はジョセの言葉を聞いて、アザエルさんに向き合って言った。
「アザエルさんまだ私達には竜の力が必要です。後一回だけでいいんです、お願いします。
私達にはマカ村を救う力を下さい」
アザエルさんは思い悩んだ末に私に言った。
「よかろう」
アザエルさんが言うと途端に力がみなぎってくるのが分かった。重症でふらついていた身体も、今は身軽に動かすことができた。それはアーロイにも言える事だった。
「力が戻った。アザエルさんありがとうございました」
「お前ならこの力を正しいことに使ってくれると信じてのことだ」
アザエルさんも少しは私の事を信頼してくれたみたいで、私はそれを嬉しく思った。
でも一人の力だけではマカは救えない。私はアーロイさんに向きかえり言った。
「アーロイさんあなたもマカのために力を貸して下さい」
「なぜ私がマカのために。こんなものはマカの自業自得じゃないか」
この後及んでもアーロイが協力を拒否すると、隣にいたジュエルさんが突然アーロイの頬を思いっきり平手で引っぱたいた。乾燥した『パンっ』という音が響いた。
「アーロイいい加減にしなさい。
アサのように竜の力を兵器としてじゃなく、人を守るために使いなさい。
これが私達が和解する最後のチャンスよ」
この平手でアーロイの頭も冷えたようで冷静な顔つきでアーロイが言った。
「分かった。ジュエル、君の言うとおりしよう。アサやるぞ」
「ええ」
アーロイさんは黒竜になると、私より先に飛び立ち、水路から漏れ出る水を大きな竜の体で塞ぎこんだ。
「ジョセとカイトはリップにのってマカの人に避難するように言って、私もアーロイさんと一緒に水をなんとか抑えこむから」
「分かった」
カイトがそう言うとジョセとともにリップに乗り込みマカに向けて出発した。
ジュエルさんはアザエルさんの背中に乗り、どうやらアザエルさんもマカの人たちの避難協力してくれるようだ。
私は心強い仲間に支えられていることを実感に、赤き竜へと変身しアーロイさんに加勢した。
アーロイは足に力を入れ立とうするが、それはかなわなかった。
「ウィリーお前も竜だとでも言うのか?」
「俺は正真正銘の只の人間さ」
アーロイにそう告げるとカイトは倒れる私の元を駆けつけた。
「アサしっかりするんだ」
カイトが私の身体を何度も揺らし、私は意識を取り戻しゆっくりと目を開いた。
「カイト助けにきてくれたのね」
「ああサリサの避難は無事に終わったよ。これで一件落着だな。立てるか?」
「ちょっと無理みたい」
カイトの肩を借りることで、私はなんとか立ち上がることが出来た。
するとずっと空にいたアザエルさんが地上へと下りてきた。
アザエルさんの背中にはジュエルさんもおり、ジュエルさんは地上に下りるなり、一直線にボロボロになったアーロイの元に駆けつけた。
そしてアザエルの大きな口が開く。
「アサ、アーロイよ、こちらに来るがいい。今からお前らの竜の力を封印する。それで今回のことは見逃してやろう」
アザエルさんに呼ばれ、私はゆっくりアザエルさんの元へと向かった。
アーロイは自力では立ち上がることができず、ジュエルさんとカイトが肩を貸すことで、なんとか立ち上がることが出来たが、もう既に一人で歩く気力も彼にはなかった。
ジュエルさんとカイトに運ばれ、アーロイがアザエルの前に無事到着することができた。
しかし次の瞬間、私達の耳元に大きな破裂音が周囲一帯に響き渡った。
「今のは一体なに!?」
私は驚き、辺りを警戒したが何かが襲いかかってくる様子もない。
私達が不思議に思っていると、空に上がっていたリップとジョセがその一部始終を確認しており、私に叫んで言った。
「アサ、水圧で水路に穴があいちまったぞ。このままじゃマカが飲み込まれる!!」
私はジョセの言葉を聞いて、アザエルさんに向き合って言った。
「アザエルさんまだ私達には竜の力が必要です。後一回だけでいいんです、お願いします。
私達にはマカ村を救う力を下さい」
アザエルさんは思い悩んだ末に私に言った。
「よかろう」
アザエルさんが言うと途端に力がみなぎってくるのが分かった。重症でふらついていた身体も、今は身軽に動かすことができた。それはアーロイにも言える事だった。
「力が戻った。アザエルさんありがとうございました」
「お前ならこの力を正しいことに使ってくれると信じてのことだ」
アザエルさんも少しは私の事を信頼してくれたみたいで、私はそれを嬉しく思った。
でも一人の力だけではマカは救えない。私はアーロイさんに向きかえり言った。
「アーロイさんあなたもマカのために力を貸して下さい」
「なぜ私がマカのために。こんなものはマカの自業自得じゃないか」
この後及んでもアーロイが協力を拒否すると、隣にいたジュエルさんが突然アーロイの頬を思いっきり平手で引っぱたいた。乾燥した『パンっ』という音が響いた。
「アーロイいい加減にしなさい。
アサのように竜の力を兵器としてじゃなく、人を守るために使いなさい。
これが私達が和解する最後のチャンスよ」
この平手でアーロイの頭も冷えたようで冷静な顔つきでアーロイが言った。
「分かった。ジュエル、君の言うとおりしよう。アサやるぞ」
「ええ」
アーロイさんは黒竜になると、私より先に飛び立ち、水路から漏れ出る水を大きな竜の体で塞ぎこんだ。
「ジョセとカイトはリップにのってマカの人に避難するように言って、私もアーロイさんと一緒に水をなんとか抑えこむから」
「分かった」
カイトがそう言うとジョセとともにリップに乗り込みマカに向けて出発した。
ジュエルさんはアザエルさんの背中に乗り、どうやらアザエルさんもマカの人たちの避難協力してくれるようだ。
私は心強い仲間に支えられていることを実感に、赤き竜へと変身しアーロイさんに加勢した。
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