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第一章 後編
第47話 リィズvsルヴィー 後編
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この時私たちはリィズさんの背中の上で、攻撃が突然やんだことを不思議に思っていた。
「砲撃が止んだ?弾を使い果たしたのかしら?」
「奴が考えなしに、弾切れを起こすとは思えんが」
リィズさんはルヴィーさんがそんな理由から攻撃を止めたとは思えなかった。
カイトはリンドセル号に大砲以外の武装に機関銃があることを思いだした。
「奴ら機関銃を使うつもりだ。さっきより弾数が一気に増すぞ。アサすぐに伏せた方がいい」
カイトが言い終えて、すぐに機関銃は轟音ならし私達に容赦なく放たれた。
しかし機関銃は連謝こそきくが、大砲より本体そのものの数が少なく、ましてやリィズさん程のスピードを捉えられる者等いなかった。
距離を一気に詰めより、私はこのまま軍艦に食らい付けると確信したその時だった。
左下に設置された機能を停止していた機関銃が不意に動き出し、私達を襲った。
リィズさんも急の不意打ちに銃弾を頬にかすめ、直ぐ様接近を中止し回避に専念したがその機関銃は追尾するかのように私達を逃がそうとしない。明らかに他の機関銃とはまるで早さも制度も桁外れであった。
「奴だ」
リィズさんがそう言い、私は一瞬誰のことかと考えたが、こんなことをやってのけられるのは彼女をおいて他にいなかった。
「ルヴィーさん」
私はリィズさん相手にもまったく引けをとらないルヴィーさんに恐怖を覚えた。
このルヴィーさんの働きにはリンドセル号の二人も驚きの色を隠せずにいた。
「ルヴィーの奴、馬鹿力で無理矢理に制御してやがる」
「それだけじゃありません、命中制度も正確そのものです」
「ミハエル聞こえるか」
机に置かれた通信機からルヴィーさんの声が聞こえてきた。
「はい」
ミハエルさん慌てて声を張り上げこたえた。
「今から奴を上空に誘導する大砲を準備させろ」
「わかりました」
ミハエルさんは通信使い大砲操縦員に指示を送る。
「大砲操縦員の皆さま今からターゲットを上空に誘導しますので合図と共に一斉攻撃を行って下さい」
「ルヴィー司令準備が整いまたしたので合図をお願いします」
ルヴィーさんは他の機関銃操縦員とうまく連携を取り、私たちの動きに制限をかけ、上へ上へと導いていった。
まんまと操られてることにも気付かず上空に待ち構えていた大砲が私達に牙を向こうとしていた。
「今だミハエル撃ち込め」
「撃ち方始め」
ミハエルさんが指示を送り、大砲による総攻撃が始まり私達は逃げ場を失ってしまった。
砲撃が着弾したのか大きな音をあげ煙が辺りを立ち込めた。
ルヴィーさんは攻撃をやめさせ、煙が止むのをまったが黒煙が止まぬうちに1頭の竜がその煙を切り裂き、さらに上空へとかけ上がった。
「竜はまだ健在です」
「バカな直撃のはずだ」
バルバロスさんが額から汗を流し、まるで悪夢でもみてるかのように顔を歪ませた。
しかしこんな時でさえ、ルヴィーさんは動揺の色を一切見せる事なく、納得するように言った。
「なるほどたまらず火炎弾を使ったか」
リィズさんは砲弾の直撃が避けられないと悟り、砲弾にむけ火の玉を打ち込んだのだ。
それでも機関銃による猛追は緩むことなく私達を追いこみ、リィズさんの体を何度も被弾させた。
足から血をしたたらせるのをみた私は「リィズさん大丈夫ですか?」とリィズさんを体を案じた。
「この程度どうということはない」
その言葉とは裏腹にリィズさんは焦りを感じはじめていた。
私達に嘘をついた訳ではない、自分は大丈夫でもこのままでは私達に銃弾があたる心配があったからだ。
リィズさんは長期戦は危険と判断し一つ大きな賭けにでることにした。
「横の動きでは奴らに距離を離されるばかりだ、上空から急降下して前方に進む。これなら奴しか着いてこれまい」
「きゃー」
ジェットコースターのように急降下するリィズさんに私はたまらず悲鳴をあげてしまった。リップは逆に楽しげに叫び、カイトに至っては放心状態で目が虚ろで気持ち悪そうにしている。
リィズさんを必死に追う機関銃だがリィズさんの思惑通り次々と機関銃の追撃を引き離していった。ただ一つの機関銃を除いて。
「リィズ私と一対一でやろうってのかい。いい根性だ」
ルヴィーさんは闘争心に火がついたのか、目をギラギラとさせリィズさんの挑戦状に受けて立った。
ルヴィーさんは力任せに機関銃を操作し、リィズさんに銃撃を接近させようと試みるも、リィズさんのスピードに追い付けず苦戦を強いられた。
「やるね、だがリィズお前の射程が命とりだ」
ルヴィーさんは自分の勝ちを微塵も疑うことはなかった。リィズさんの火炎弾はその弾速から距離を詰めなければ当たらない、かといって近付けば的が大きくなり、被弾は避けられない。そして上空から急降下を続けたリィズさんはこれ以上下がれば逆に艦から遠ざかってしまう状況下に立たされていた。
正面から向かっていけばルヴィーさんの攻撃は避けられない。
「リィズ私の勝ちだ」
正面から向かってくるリィズさんを目の前に、ルヴィーさんは照準を合わせ自身の勝ちを確信した。
しかし次の瞬間、機関銃室の視界となるガラスに小さなひびが出来た。その中心には矢とおぼしきものが、すかさず前方に目を向けるとルヴィーさんの目に写ったのは弓を構えた私の姿だった。
「当たった」
私は苦しまぎれに放った矢が当たるとは自分でも思ってもみなかった。
「アサの仕業か」
瞬く間に蜘蛛の巣状にひびが広がっていき、ルヴィーさんの視界を奪っていく。
今まで冷静に判断してきたルヴィーさんもこれには苛立ちをあらわにさせた。
「視界がクソ」
ルヴィーさんは直ぐ様操縦席を立ち上がりガラスに向かって拳を突き立て、ガラスを見事に粉砕した。
しかしルヴィーさんの目には私たちの姿はそこにはなかった。
「まずい取り付かれた」
ルヴィーさんは状況を直ぐ様理解し、その場を離れようとしたが、次の瞬間リィズさんが割れたガラス窓から顔をだし、ルヴィーさんにむけて大きな爪で切り裂いた。
リィズさんの斬撃はルヴィーさんに直接当たることはしなかったが、操縦席を粉々にぶち壊し、それによりルヴィーさんは軽傷では済まない傷跡を体に残した。
顔や体から血を流しながらもルヴィーさんはなんとか部屋から脱出し、分厚い防火シャッターのスイッチを押し私達の侵入を阻止した。
「リィズのやつ躊躇なく殺しにかかるとは」
するとポシェットに入れた通信機からバルバロスさんの声が聞こえてきた。
「ルヴィー大丈夫なのか?お前その傷、今すぐ医務室に行ってこい」
ルヴィーさんの姿をモニターで確認したバルバロスさんが心配そうな声で言った。
「バカ言え艦に竜が取りついているのだぞ」
「だがその体では……」
「何も問題ない、私は魔女と呼ばれた男だぞ」
ルヴィーさんのその言葉にバルバロスさんは言葉を失った。私も含め誰もがルヴィーさんの事を女性とみていたからだ。
「目標地点はもうすぐだ。攻撃合図はお前にまかせる」
ルヴィーさんが淡々とバルバロスさんに言った。
「お前はどうする?」
「奴らと決着をつけるさ。ミハエル、スピードを更に上げろ。奴らに身動きをとらせるな」
そう言い残しルヴィーさんは通信を切った。
「ここまで来て、私の悲願をあんな小娘に阻まれてたまるか」
「砲撃が止んだ?弾を使い果たしたのかしら?」
「奴が考えなしに、弾切れを起こすとは思えんが」
リィズさんはルヴィーさんがそんな理由から攻撃を止めたとは思えなかった。
カイトはリンドセル号に大砲以外の武装に機関銃があることを思いだした。
「奴ら機関銃を使うつもりだ。さっきより弾数が一気に増すぞ。アサすぐに伏せた方がいい」
カイトが言い終えて、すぐに機関銃は轟音ならし私達に容赦なく放たれた。
しかし機関銃は連謝こそきくが、大砲より本体そのものの数が少なく、ましてやリィズさん程のスピードを捉えられる者等いなかった。
距離を一気に詰めより、私はこのまま軍艦に食らい付けると確信したその時だった。
左下に設置された機能を停止していた機関銃が不意に動き出し、私達を襲った。
リィズさんも急の不意打ちに銃弾を頬にかすめ、直ぐ様接近を中止し回避に専念したがその機関銃は追尾するかのように私達を逃がそうとしない。明らかに他の機関銃とはまるで早さも制度も桁外れであった。
「奴だ」
リィズさんがそう言い、私は一瞬誰のことかと考えたが、こんなことをやってのけられるのは彼女をおいて他にいなかった。
「ルヴィーさん」
私はリィズさん相手にもまったく引けをとらないルヴィーさんに恐怖を覚えた。
このルヴィーさんの働きにはリンドセル号の二人も驚きの色を隠せずにいた。
「ルヴィーの奴、馬鹿力で無理矢理に制御してやがる」
「それだけじゃありません、命中制度も正確そのものです」
「ミハエル聞こえるか」
机に置かれた通信機からルヴィーさんの声が聞こえてきた。
「はい」
ミハエルさん慌てて声を張り上げこたえた。
「今から奴を上空に誘導する大砲を準備させろ」
「わかりました」
ミハエルさんは通信使い大砲操縦員に指示を送る。
「大砲操縦員の皆さま今からターゲットを上空に誘導しますので合図と共に一斉攻撃を行って下さい」
「ルヴィー司令準備が整いまたしたので合図をお願いします」
ルヴィーさんは他の機関銃操縦員とうまく連携を取り、私たちの動きに制限をかけ、上へ上へと導いていった。
まんまと操られてることにも気付かず上空に待ち構えていた大砲が私達に牙を向こうとしていた。
「今だミハエル撃ち込め」
「撃ち方始め」
ミハエルさんが指示を送り、大砲による総攻撃が始まり私達は逃げ場を失ってしまった。
砲撃が着弾したのか大きな音をあげ煙が辺りを立ち込めた。
ルヴィーさんは攻撃をやめさせ、煙が止むのをまったが黒煙が止まぬうちに1頭の竜がその煙を切り裂き、さらに上空へとかけ上がった。
「竜はまだ健在です」
「バカな直撃のはずだ」
バルバロスさんが額から汗を流し、まるで悪夢でもみてるかのように顔を歪ませた。
しかしこんな時でさえ、ルヴィーさんは動揺の色を一切見せる事なく、納得するように言った。
「なるほどたまらず火炎弾を使ったか」
リィズさんは砲弾の直撃が避けられないと悟り、砲弾にむけ火の玉を打ち込んだのだ。
それでも機関銃による猛追は緩むことなく私達を追いこみ、リィズさんの体を何度も被弾させた。
足から血をしたたらせるのをみた私は「リィズさん大丈夫ですか?」とリィズさんを体を案じた。
「この程度どうということはない」
その言葉とは裏腹にリィズさんは焦りを感じはじめていた。
私達に嘘をついた訳ではない、自分は大丈夫でもこのままでは私達に銃弾があたる心配があったからだ。
リィズさんは長期戦は危険と判断し一つ大きな賭けにでることにした。
「横の動きでは奴らに距離を離されるばかりだ、上空から急降下して前方に進む。これなら奴しか着いてこれまい」
「きゃー」
ジェットコースターのように急降下するリィズさんに私はたまらず悲鳴をあげてしまった。リップは逆に楽しげに叫び、カイトに至っては放心状態で目が虚ろで気持ち悪そうにしている。
リィズさんを必死に追う機関銃だがリィズさんの思惑通り次々と機関銃の追撃を引き離していった。ただ一つの機関銃を除いて。
「リィズ私と一対一でやろうってのかい。いい根性だ」
ルヴィーさんは闘争心に火がついたのか、目をギラギラとさせリィズさんの挑戦状に受けて立った。
ルヴィーさんは力任せに機関銃を操作し、リィズさんに銃撃を接近させようと試みるも、リィズさんのスピードに追い付けず苦戦を強いられた。
「やるね、だがリィズお前の射程が命とりだ」
ルヴィーさんは自分の勝ちを微塵も疑うことはなかった。リィズさんの火炎弾はその弾速から距離を詰めなければ当たらない、かといって近付けば的が大きくなり、被弾は避けられない。そして上空から急降下を続けたリィズさんはこれ以上下がれば逆に艦から遠ざかってしまう状況下に立たされていた。
正面から向かっていけばルヴィーさんの攻撃は避けられない。
「リィズ私の勝ちだ」
正面から向かってくるリィズさんを目の前に、ルヴィーさんは照準を合わせ自身の勝ちを確信した。
しかし次の瞬間、機関銃室の視界となるガラスに小さなひびが出来た。その中心には矢とおぼしきものが、すかさず前方に目を向けるとルヴィーさんの目に写ったのは弓を構えた私の姿だった。
「当たった」
私は苦しまぎれに放った矢が当たるとは自分でも思ってもみなかった。
「アサの仕業か」
瞬く間に蜘蛛の巣状にひびが広がっていき、ルヴィーさんの視界を奪っていく。
今まで冷静に判断してきたルヴィーさんもこれには苛立ちをあらわにさせた。
「視界がクソ」
ルヴィーさんは直ぐ様操縦席を立ち上がりガラスに向かって拳を突き立て、ガラスを見事に粉砕した。
しかしルヴィーさんの目には私たちの姿はそこにはなかった。
「まずい取り付かれた」
ルヴィーさんは状況を直ぐ様理解し、その場を離れようとしたが、次の瞬間リィズさんが割れたガラス窓から顔をだし、ルヴィーさんにむけて大きな爪で切り裂いた。
リィズさんの斬撃はルヴィーさんに直接当たることはしなかったが、操縦席を粉々にぶち壊し、それによりルヴィーさんは軽傷では済まない傷跡を体に残した。
顔や体から血を流しながらもルヴィーさんはなんとか部屋から脱出し、分厚い防火シャッターのスイッチを押し私達の侵入を阻止した。
「リィズのやつ躊躇なく殺しにかかるとは」
するとポシェットに入れた通信機からバルバロスさんの声が聞こえてきた。
「ルヴィー大丈夫なのか?お前その傷、今すぐ医務室に行ってこい」
ルヴィーさんの姿をモニターで確認したバルバロスさんが心配そうな声で言った。
「バカ言え艦に竜が取りついているのだぞ」
「だがその体では……」
「何も問題ない、私は魔女と呼ばれた男だぞ」
ルヴィーさんのその言葉にバルバロスさんは言葉を失った。私も含め誰もがルヴィーさんの事を女性とみていたからだ。
「目標地点はもうすぐだ。攻撃合図はお前にまかせる」
ルヴィーさんが淡々とバルバロスさんに言った。
「お前はどうする?」
「奴らと決着をつけるさ。ミハエル、スピードを更に上げろ。奴らに身動きをとらせるな」
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