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第一章 後編
第37話 届け私のおもい
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王室には王様とルヴィーさんだけが残されている。
「それにしても真っ赤な光だな、なんとも不吉な色だ」
王様が顔をひきつらせて言った。
「竜の光というものはその時の感情に左右されるものですから」
ルヴィーさんはそういい、机の台に私のイヤリングを置き、その光に自分の身に付ける青いイヤリングへあてた。
するとイヤリングは共鳴し、青がより鮮やかに色味を増したように思える。そして慣れた手付きでイヤリングを耳に取り付けた。
「誰にも気付かれずにここまで辿り着いたということは、軍内部に手引きした者がいるやもしれません」
「アサの警備には、二人つけておる放っておいても問題なかろう」
「それもそうですがーー」
「心配しすぎな気もするが、この件はお前に一任しておる、お前の好きなようにするが良い」
「はっ」
ルヴィーさんは敬礼してから「では早速、竜捜索のための艦を手配して頂きたい」
「お前がそう言うと思って艦なら私が命じて既に準備を進めておる」
「わかりました。私はアサの様子を見に行ってから艦へ向かいます」
私は同階にある仮拘束所に向かう際、途中でカイトに遭遇した。息の上がったカイトは兵隊が王様の護衛隊ということもあり、通り過ぎる際敬礼した。
その姿が他の兵と溶け込んで見えたのか、はたまた別の事を考えていたのか私がカイトに気づくことはなかった。
「ほら入れ」
兵隊に言われ狭い門をくぐった。
仮とはいうが見た目は完全に牢獄だ。ただ部屋が少なく平行に三部屋しかない。私は一番奥の牢に入れられた。
「ほら今日からここがお前の寝床だ」
そういい兵隊さんが牢に鍵をかけた。
私は鉄格子に手をかけ兵隊に訴えかけた。
「ここから出して」
「竜を退治するまでだ。じっとしてる方が身のためだぞ」
そういい兵隊は仮拘束所の入り口に戻り二人体制で警備を続けた。
「やっぱり竜を退治するのが目的なんだ。でもルヴィーさんの最後の言葉は?」
何か考えがあるんだろうか?それよりもあの時のルヴィーさんの言葉、私は以前にもルヴィーさんに会ったことがある?
言葉だけじゃない、私はあの声、言葉で言われた気がする。
記憶を辿り何度もその言葉を繰り返していく「死ぬのは怖いだろ。ならば従うんだ」少しずつ頭の中に当時のビジョンが浮かび上がってきた。
私はどこかに捕まってて、お父さんに助けられて、私はおんぶされてお父さんの背中で泣いてた。
漠然としたことしか思い出せないけど、私……また捕まっちゃったんだ。
お父さん今頃どうしてるだろ?私のこと追いかけてきてるのかな?
「だめだお父さんを期待しちゃ、こんな時だけ子供になるなんてずるいよ」
「やるだけ自分でやってみなきゃ」
「よし」
私は自分の目を覚ますためにほっぺを両手で叩いた。
「生きてる限り望みはある。諦めるな私」
私は牢屋から出れる場所がないかくまなく探したが、出れるとしたら私の背より少し高い位置にある小窓の三角窓だ。
私はジャンプして窓の縁につかまり、顔を覗かせた。でもサイズが小さい上しっかり格子がつけられており隙間からどうこうできるものじゃない。
私は格子の間から下の景色を覗いた。
「高い、これじゃー出られたとしてもこの高さじゃどうしようもないわ」
ここから出るのは諦めざるをえなかった。唯一出れそうな退路が塞がれ私はつい弱音が漏れてしまった。
「リップならこんな高い所でも飛んでいけるのに」
リップ?「そうだ」私はひらめいた。
私は左耳につけられたイヤリングを外し、掌に乗せた。
「これでリップを呼べないかしら」
手の上にのったイヤリングは月明かりに照らされ赤く輝いている。
「えっとどうやって使うんだっけ?」
必死に穴蔵でのリィズさんの言葉を思い返す。
「そうだ相手を考えて助けを求める」
私はすぐにイヤリングを左耳につけ、目をつむりリップに助けを念じた。
ゆっくり目あける。しかし光のようなものは何も見えず、耳につけたイヤリングを外してみたが、イヤリングには何の変化もみられなかった。
「んーやっぱりだめだ。もう片方の方じゃないと駄目なのかな?」
手にのせたイヤリングをみてあることに気付いた。
「でもこれって確か、右も左もデザイン一緒だよね?」
私がたまたま左右、正しい位置につけてたからこれまで使えていた?それともこれを右につければ--
私はダメ元で右耳にイヤリングをつけ直し、リップに助けを求めた。
閉じた瞳の中で何かが光るのが見えた。
目を開くと鉄格子の三角窓に光が指していた。
「呼べた、この光リップに届いてるかな」
私は嬉しさのあまり牢の中で跳びはねた。
穴蔵にいるリップに光が届きリップはこれが誰の心の叫びかすぐに理解した。
「くあ」
リップは叫びとともに翼を広げ、母親のリィズさんのように空を高速で駆けていった。
「それにしても真っ赤な光だな、なんとも不吉な色だ」
王様が顔をひきつらせて言った。
「竜の光というものはその時の感情に左右されるものですから」
ルヴィーさんはそういい、机の台に私のイヤリングを置き、その光に自分の身に付ける青いイヤリングへあてた。
するとイヤリングは共鳴し、青がより鮮やかに色味を増したように思える。そして慣れた手付きでイヤリングを耳に取り付けた。
「誰にも気付かれずにここまで辿り着いたということは、軍内部に手引きした者がいるやもしれません」
「アサの警備には、二人つけておる放っておいても問題なかろう」
「それもそうですがーー」
「心配しすぎな気もするが、この件はお前に一任しておる、お前の好きなようにするが良い」
「はっ」
ルヴィーさんは敬礼してから「では早速、竜捜索のための艦を手配して頂きたい」
「お前がそう言うと思って艦なら私が命じて既に準備を進めておる」
「わかりました。私はアサの様子を見に行ってから艦へ向かいます」
私は同階にある仮拘束所に向かう際、途中でカイトに遭遇した。息の上がったカイトは兵隊が王様の護衛隊ということもあり、通り過ぎる際敬礼した。
その姿が他の兵と溶け込んで見えたのか、はたまた別の事を考えていたのか私がカイトに気づくことはなかった。
「ほら入れ」
兵隊に言われ狭い門をくぐった。
仮とはいうが見た目は完全に牢獄だ。ただ部屋が少なく平行に三部屋しかない。私は一番奥の牢に入れられた。
「ほら今日からここがお前の寝床だ」
そういい兵隊さんが牢に鍵をかけた。
私は鉄格子に手をかけ兵隊に訴えかけた。
「ここから出して」
「竜を退治するまでだ。じっとしてる方が身のためだぞ」
そういい兵隊は仮拘束所の入り口に戻り二人体制で警備を続けた。
「やっぱり竜を退治するのが目的なんだ。でもルヴィーさんの最後の言葉は?」
何か考えがあるんだろうか?それよりもあの時のルヴィーさんの言葉、私は以前にもルヴィーさんに会ったことがある?
言葉だけじゃない、私はあの声、言葉で言われた気がする。
記憶を辿り何度もその言葉を繰り返していく「死ぬのは怖いだろ。ならば従うんだ」少しずつ頭の中に当時のビジョンが浮かび上がってきた。
私はどこかに捕まってて、お父さんに助けられて、私はおんぶされてお父さんの背中で泣いてた。
漠然としたことしか思い出せないけど、私……また捕まっちゃったんだ。
お父さん今頃どうしてるだろ?私のこと追いかけてきてるのかな?
「だめだお父さんを期待しちゃ、こんな時だけ子供になるなんてずるいよ」
「やるだけ自分でやってみなきゃ」
「よし」
私は自分の目を覚ますためにほっぺを両手で叩いた。
「生きてる限り望みはある。諦めるな私」
私は牢屋から出れる場所がないかくまなく探したが、出れるとしたら私の背より少し高い位置にある小窓の三角窓だ。
私はジャンプして窓の縁につかまり、顔を覗かせた。でもサイズが小さい上しっかり格子がつけられており隙間からどうこうできるものじゃない。
私は格子の間から下の景色を覗いた。
「高い、これじゃー出られたとしてもこの高さじゃどうしようもないわ」
ここから出るのは諦めざるをえなかった。唯一出れそうな退路が塞がれ私はつい弱音が漏れてしまった。
「リップならこんな高い所でも飛んでいけるのに」
リップ?「そうだ」私はひらめいた。
私は左耳につけられたイヤリングを外し、掌に乗せた。
「これでリップを呼べないかしら」
手の上にのったイヤリングは月明かりに照らされ赤く輝いている。
「えっとどうやって使うんだっけ?」
必死に穴蔵でのリィズさんの言葉を思い返す。
「そうだ相手を考えて助けを求める」
私はすぐにイヤリングを左耳につけ、目をつむりリップに助けを念じた。
ゆっくり目あける。しかし光のようなものは何も見えず、耳につけたイヤリングを外してみたが、イヤリングには何の変化もみられなかった。
「んーやっぱりだめだ。もう片方の方じゃないと駄目なのかな?」
手にのせたイヤリングをみてあることに気付いた。
「でもこれって確か、右も左もデザイン一緒だよね?」
私がたまたま左右、正しい位置につけてたからこれまで使えていた?それともこれを右につければ--
私はダメ元で右耳にイヤリングをつけ直し、リップに助けを求めた。
閉じた瞳の中で何かが光るのが見えた。
目を開くと鉄格子の三角窓に光が指していた。
「呼べた、この光リップに届いてるかな」
私は嬉しさのあまり牢の中で跳びはねた。
穴蔵にいるリップに光が届きリップはこれが誰の心の叫びかすぐに理解した。
「くあ」
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