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第7話 私の評価
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私は家に着くなりベッドに直行し、着替えもせずにベッドに飛び込んだ。
ドスっ
「いってー、そうだった」
怪我をしてるのを忘れて勢いよく倒れこんだせいで、腕に激痛が走り、私は悶絶しながら身体を左右に振って痛みを和らげた。
「はぁ今日は色々ありすぎて疲れちゃったな」
痛みが消え体勢を仰向けにかえると目に入った時計に「ゲっ 」と驚いた。
「あーもう12時過ぎてるよ、風呂もご飯も面倒くさい。どうせこんな腕じゃ仕事も休みだろうし適当にアラームセットして寝るか」
眠るには少しスッキリしない1日だったけど、それよりも疲労感の方が勝り私はすぐに眠り落ちた。
ピピピ
いつものように目覚ましに起こされ目を覚ましたが、寝るのが遅かったせいか目覚めが悪い。
眠さのあまり身体を伸ばしてあくびをすると、片腕の自由がきかない事に気付いて、またもやギブスの存在を忘れてしまっていた。
でも不思議なことにーー
「あれ痛くない」
私は懐疑的に思いながらもギブスを外し腕をぐりぐりと回してみたが嘘みたいに痛みを感じなかった。
「治ってる。もしかしてあの時ーー」
思い当たる節といえば?と考えたがこんな事が出来る子リィナしかいない。昨日私の腕に手をかざした時に傷を癒やしてくれたんだろうか。
「あいつ本当になんでも出来るのな」
私はリィナの力の凄さに顔をほころばせたが、すぐに昨日、酷くリィナに当たってしまったことを振り返り後悔から表情を曇らせた。
「つかやばっ、仕事休みになるもんかと思ってたから、遅めにアラームセットしちゃったんだ」
もう出勤開始時間10分前で私は慌ただしくスーツに着替えた。
「あーもうどうしてこーなるかな」
私は玄関の扉を開き、駆け足でバイクに乗りこみキーを差し込みバイクを走らせた。
こんな時こそリィナにお願いしてバイクを加速して欲しいものだ。そして信号に止まる度にリィナなら信号さえも全て青にしてくれるんじゃないかって思えた。
職場に着き駐輪場にバイクを停めるとサイドミラーの位置をかえ、寝癖がついていないか、身だしなみの最終チェックして、問題ないことを確認すると足早にビルの門をくぐった。
「やべー少し遅刻しちまったよ」
携帯の時刻をみながら、この日は少しでも早くとエレベーターは使わず階段を駆け足で上っていった。
上りきって仕事場につく頃には息が上がって苦しさから両手を膝にあて呼吸を整え、顔を上げると人の行き来が激しくいつもと様子が違うことに気付いた。
「なんだ?随分とドタバタしてるな」
私が行き来する人を不思議そうに目で追っていると前から声を掛けられた。
「クレアおはよう」
上司に見つかったと思って身体をビクッとさせたが目に入ったフタバの姿に私は安堵した。
「フタバおはよう、何かあったのか?」
「あなた遅刻したでしょ」
フタバが私の弱みを握ったかのように目を細め悪そうにニヤリと笑う。
あーなんか嫌な予感がするよ。私はこの後ゆすられるのかな。
「あははは……」
私は頭に片手をまわし笑ってごまかした。
しかしフタバは残念とため息を吐くと
つまらなそうな表情を浮かべ私に言った。
「まぁ今日は上司には怒られないでしょうね、今それ所じゃないから」
「なになに?」
「今朝からマザーシステムから正しいコード情報が送られてこないのよ」
フタバの言葉を聞いて私はすぐに確信した。リィナだ、リィナがマザーセントラルから逃げ出したからシステムに障害が出たんだ。リィナの言ってたことは本当だったんだ。
「クレアきいてる」
フタバがぼーっとしてる私をみて手を振って言った。
「うん」
「それでねヘルメットが機能しなくて仕事になんないわけ、今管理者も総出で対応してるわ」
「そっか、一回レイチェルさんに出勤したことを伝えにいくよ」
私は直属の上司のレイチェルさんのデスクへと向かった。
レイチェルさんの元につくとレイチェルさんはパソコンのキーを素早く叩き、仕事に明け暮れ、私の姿なんて目に入ってないようだった。
レイチェルさんは金色の髪をポニーテールに縛り、めがねに目元には涙ボクロがついてる。
仕事ができて美しい、女性にとってみんなの憧れの的だけど、仕事に厳しいことでも有名で、鋭い眼差しはなんとも話しかけ辛い雰囲気だ。
でもこうしてずっと突っ立てるわけにもいかず、喉元過ぎれば熱さを忘れるじゃないけど、覚悟を決めレイチェルさんに話しかけた。
「おはようございます、今日は遅刻してすみませんでした」
私は深々と頭を下げた。
「ええ、もう下がってていいわよ、今忙しいの」
レイチェルさんは作業をとめずにそう私に告げた。
目も合わせてくれず、まるで反対番の人のようにあしらわれ、私は悔しくその場にじっと立ち尽くした。
不意にレイチェルさんのパソコン画面を覗きこむと、ヘルメットを装着してなかった私は間違ってるコードを認識することができ、正しいコードも自然と頭に浮かんできた。
「あの私仕事中に、ヘルメットをつけてなかったんですがーー」
私は震える声でレイチェルに言った。
するとレイチェルさんは手をパタッと止め、私に向きかえり言った。
「あなた正確なコードは理解してる?」
「難しくないコードなら対応出来ると思います」
「なら手伝ってちょうだい」
「はいわかりました」
私は自分のデスクからレイチェルさんの近くにPCをもっていき、いつものようにコードの羅列を読み上げ不正コードの修正を行う。分からない所はレイチェルさんに聞き対応してもらった。
休憩を取る暇もなく、ぶっ続けで仕事を続け、気付けば今日の業務の終わりを告げる鐘がなっていた。それでも仕事はまだまだ山積みで反対番へ引き継ぎに苦労した。
「ありがとう今日は貴方のおかげで助かったわ。明日もよろしくね」
「はい」
レイチェルさんが珍しく笑顔をみせ、私は自分が頼りにされたことを嬉しく思った。
「クレアさすがは私の王子様ね、格好良かったわよ」
フタバがいつもの調子で私に抱き着き言った。
「さぁ帰りましょクレア」
「うん」
フタバに促され私達は職場を出るところで昨日フタバと話していた男性にあった。
「あっ」
私はすぐに気付き、彼と目が合ったが肝心のフタバは目もくれずにそのまま通り過ぎてしまった。
男性から離れた所でこっそりフタバに耳打ちする。
「いいのフタバ?私邪魔なら一人で帰るけど」
「えっ何の話?」
フタバがとぼけた顔で言った。どうやら親友である私に白を切るつもりいるらしい。
「だって昨日さっきの男子と仲良さげそうに話してたじゃん」
フタバが思い出したかのように「あー彼ね、サイジョウさんだったかしらね」
と首を傾げたが、次に彼女が発した言葉は意外なものだった。
「私クレアのこときかれてたのよ」
「え?私?またなんで?」
「知らないけどあなたのことが気になるじゃない?」
「適当なこと言わないでよフタバ」
私は顔を赤らめどもりながらいった。するとフタバはさらに面白がり私をおちょくった。
「私が恋のキューピットになってあげてもいいのよ」
「私は別に彼氏なんて。それに話したこともない人を好きになったりするもんか」
「冗談よそんなムキにならないで」
フタバが私の肩を叩き上機嫌に言い、その後私達は駐輪場でそれぞれのバイク乗り込み別れを告げた。
「じゃーまた明日ねクレア」
「うん、フタバもお疲れ様」
「私は今日なんにもしてないわよ」
フタバはそう吐き捨てるとバイクを走らせた。
「言われてみればそうだった……」
私は一人ぽつりと呟いた。
そしてバイクを走らせると、私は今日の一日を振り返りながら、最後にレイチェルさんに言われた言葉が思い出していた。
「褒められるっていいもんだな、でもリィナが戻れば全て解決か。リィナは、マザーセントラルに戻れたんだろうか?」
帰り道にいつものように中央公園に寄り道をし、ピアノの前にいくと静けさな中、不意に女の子のすすり泣く声が聞こえてきた。
私の目には女の子の姿は見えてないけど、どこにいるのかはすぐに分かった。そしてそれが誰なのかも。
私は「ここにいたんだ」と自分にしか聞こえない程小さな声で呟き、彼女の無事に胸を撫で下ろした。
そして一呼吸し、静かに椅子に腰を下ろすと母との思い出の曲、for your mind onlyを引いた。
ドスっ
「いってー、そうだった」
怪我をしてるのを忘れて勢いよく倒れこんだせいで、腕に激痛が走り、私は悶絶しながら身体を左右に振って痛みを和らげた。
「はぁ今日は色々ありすぎて疲れちゃったな」
痛みが消え体勢を仰向けにかえると目に入った時計に「ゲっ 」と驚いた。
「あーもう12時過ぎてるよ、風呂もご飯も面倒くさい。どうせこんな腕じゃ仕事も休みだろうし適当にアラームセットして寝るか」
眠るには少しスッキリしない1日だったけど、それよりも疲労感の方が勝り私はすぐに眠り落ちた。
ピピピ
いつものように目覚ましに起こされ目を覚ましたが、寝るのが遅かったせいか目覚めが悪い。
眠さのあまり身体を伸ばしてあくびをすると、片腕の自由がきかない事に気付いて、またもやギブスの存在を忘れてしまっていた。
でも不思議なことにーー
「あれ痛くない」
私は懐疑的に思いながらもギブスを外し腕をぐりぐりと回してみたが嘘みたいに痛みを感じなかった。
「治ってる。もしかしてあの時ーー」
思い当たる節といえば?と考えたがこんな事が出来る子リィナしかいない。昨日私の腕に手をかざした時に傷を癒やしてくれたんだろうか。
「あいつ本当になんでも出来るのな」
私はリィナの力の凄さに顔をほころばせたが、すぐに昨日、酷くリィナに当たってしまったことを振り返り後悔から表情を曇らせた。
「つかやばっ、仕事休みになるもんかと思ってたから、遅めにアラームセットしちゃったんだ」
もう出勤開始時間10分前で私は慌ただしくスーツに着替えた。
「あーもうどうしてこーなるかな」
私は玄関の扉を開き、駆け足でバイクに乗りこみキーを差し込みバイクを走らせた。
こんな時こそリィナにお願いしてバイクを加速して欲しいものだ。そして信号に止まる度にリィナなら信号さえも全て青にしてくれるんじゃないかって思えた。
職場に着き駐輪場にバイクを停めるとサイドミラーの位置をかえ、寝癖がついていないか、身だしなみの最終チェックして、問題ないことを確認すると足早にビルの門をくぐった。
「やべー少し遅刻しちまったよ」
携帯の時刻をみながら、この日は少しでも早くとエレベーターは使わず階段を駆け足で上っていった。
上りきって仕事場につく頃には息が上がって苦しさから両手を膝にあて呼吸を整え、顔を上げると人の行き来が激しくいつもと様子が違うことに気付いた。
「なんだ?随分とドタバタしてるな」
私が行き来する人を不思議そうに目で追っていると前から声を掛けられた。
「クレアおはよう」
上司に見つかったと思って身体をビクッとさせたが目に入ったフタバの姿に私は安堵した。
「フタバおはよう、何かあったのか?」
「あなた遅刻したでしょ」
フタバが私の弱みを握ったかのように目を細め悪そうにニヤリと笑う。
あーなんか嫌な予感がするよ。私はこの後ゆすられるのかな。
「あははは……」
私は頭に片手をまわし笑ってごまかした。
しかしフタバは残念とため息を吐くと
つまらなそうな表情を浮かべ私に言った。
「まぁ今日は上司には怒られないでしょうね、今それ所じゃないから」
「なになに?」
「今朝からマザーシステムから正しいコード情報が送られてこないのよ」
フタバの言葉を聞いて私はすぐに確信した。リィナだ、リィナがマザーセントラルから逃げ出したからシステムに障害が出たんだ。リィナの言ってたことは本当だったんだ。
「クレアきいてる」
フタバがぼーっとしてる私をみて手を振って言った。
「うん」
「それでねヘルメットが機能しなくて仕事になんないわけ、今管理者も総出で対応してるわ」
「そっか、一回レイチェルさんに出勤したことを伝えにいくよ」
私は直属の上司のレイチェルさんのデスクへと向かった。
レイチェルさんの元につくとレイチェルさんはパソコンのキーを素早く叩き、仕事に明け暮れ、私の姿なんて目に入ってないようだった。
レイチェルさんは金色の髪をポニーテールに縛り、めがねに目元には涙ボクロがついてる。
仕事ができて美しい、女性にとってみんなの憧れの的だけど、仕事に厳しいことでも有名で、鋭い眼差しはなんとも話しかけ辛い雰囲気だ。
でもこうしてずっと突っ立てるわけにもいかず、喉元過ぎれば熱さを忘れるじゃないけど、覚悟を決めレイチェルさんに話しかけた。
「おはようございます、今日は遅刻してすみませんでした」
私は深々と頭を下げた。
「ええ、もう下がってていいわよ、今忙しいの」
レイチェルさんは作業をとめずにそう私に告げた。
目も合わせてくれず、まるで反対番の人のようにあしらわれ、私は悔しくその場にじっと立ち尽くした。
不意にレイチェルさんのパソコン画面を覗きこむと、ヘルメットを装着してなかった私は間違ってるコードを認識することができ、正しいコードも自然と頭に浮かんできた。
「あの私仕事中に、ヘルメットをつけてなかったんですがーー」
私は震える声でレイチェルに言った。
するとレイチェルさんは手をパタッと止め、私に向きかえり言った。
「あなた正確なコードは理解してる?」
「難しくないコードなら対応出来ると思います」
「なら手伝ってちょうだい」
「はいわかりました」
私は自分のデスクからレイチェルさんの近くにPCをもっていき、いつものようにコードの羅列を読み上げ不正コードの修正を行う。分からない所はレイチェルさんに聞き対応してもらった。
休憩を取る暇もなく、ぶっ続けで仕事を続け、気付けば今日の業務の終わりを告げる鐘がなっていた。それでも仕事はまだまだ山積みで反対番へ引き継ぎに苦労した。
「ありがとう今日は貴方のおかげで助かったわ。明日もよろしくね」
「はい」
レイチェルさんが珍しく笑顔をみせ、私は自分が頼りにされたことを嬉しく思った。
「クレアさすがは私の王子様ね、格好良かったわよ」
フタバがいつもの調子で私に抱き着き言った。
「さぁ帰りましょクレア」
「うん」
フタバに促され私達は職場を出るところで昨日フタバと話していた男性にあった。
「あっ」
私はすぐに気付き、彼と目が合ったが肝心のフタバは目もくれずにそのまま通り過ぎてしまった。
男性から離れた所でこっそりフタバに耳打ちする。
「いいのフタバ?私邪魔なら一人で帰るけど」
「えっ何の話?」
フタバがとぼけた顔で言った。どうやら親友である私に白を切るつもりいるらしい。
「だって昨日さっきの男子と仲良さげそうに話してたじゃん」
フタバが思い出したかのように「あー彼ね、サイジョウさんだったかしらね」
と首を傾げたが、次に彼女が発した言葉は意外なものだった。
「私クレアのこときかれてたのよ」
「え?私?またなんで?」
「知らないけどあなたのことが気になるじゃない?」
「適当なこと言わないでよフタバ」
私は顔を赤らめどもりながらいった。するとフタバはさらに面白がり私をおちょくった。
「私が恋のキューピットになってあげてもいいのよ」
「私は別に彼氏なんて。それに話したこともない人を好きになったりするもんか」
「冗談よそんなムキにならないで」
フタバが私の肩を叩き上機嫌に言い、その後私達は駐輪場でそれぞれのバイク乗り込み別れを告げた。
「じゃーまた明日ねクレア」
「うん、フタバもお疲れ様」
「私は今日なんにもしてないわよ」
フタバはそう吐き捨てるとバイクを走らせた。
「言われてみればそうだった……」
私は一人ぽつりと呟いた。
そしてバイクを走らせると、私は今日の一日を振り返りながら、最後にレイチェルさんに言われた言葉が思い出していた。
「褒められるっていいもんだな、でもリィナが戻れば全て解決か。リィナは、マザーセントラルに戻れたんだろうか?」
帰り道にいつものように中央公園に寄り道をし、ピアノの前にいくと静けさな中、不意に女の子のすすり泣く声が聞こえてきた。
私の目には女の子の姿は見えてないけど、どこにいるのかはすぐに分かった。そしてそれが誰なのかも。
私は「ここにいたんだ」と自分にしか聞こえない程小さな声で呟き、彼女の無事に胸を撫で下ろした。
そして一呼吸し、静かに椅子に腰を下ろすと母との思い出の曲、for your mind onlyを引いた。
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