祓い屋木暮と飯田くん

あたか

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悪夢

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 あ、また来た。あいつだ。体が鉛のように重たくなって手足の自由が効かなくなる。悪夢が怖くて布団に入るのが怖いなんていくつだよ!と自分を奮い立たせて眠ったものの、やっぱり怖いものは怖い。震えながら布団を被り朝を待つ……はずだった。それなのにいつの間にか眠ってしまったようで、今の状況に至る。

「ん゙ぅ……」

 口に何かの感触。何だろう……ぬちゃっとしてる。分からない……いや分かるけど分かりたくない。怖い。息が出来なくて苦しい。

「ぁ……うっ」

 首筋に感じる人の息遣い。それは次第に胸から腹へと移動して股間でピタリと止まる。下着と一緒にスウェットを下ろされて文人の萎えたペニスが露わになった。

「んっんっ」

 恐怖で涙が溢れる。だって誰かが自分のペニスを咥えてる。多分あの男だ。昨晩もやって来たあいつが勃起していないペニスを必死にフェラしている。勃起するはずがない。黒い人影の手が胸に伸びてきて乳首をきゅっと摘む。感じてたまるかと唇を噛み声を堪えると、亀頭部分を念入りに舐められ思わず「あんっ」と声が出てしまう。

「ぁ……ぁっんっ!」

 文人のペニスはいつの間にか勃起していて、相手の口の中にすっぽりと咥えられてしまった。吸引されている感覚に嫌でも感じてしまい悔しさから更に涙が溢れる。──こんな得体の知れない奴に好き勝手にされるなんて……っなんで体動かないんだよ!抵抗出来ずにずっとこのままなんてあんまりだ!

「ぁっ!?」

 お尻に何か入ってきてる。多分コイツの指だ。文人の我慢汁を潤滑油にしてちゅぽちゅぽ指を出し入れしている。
 嘘だろ!?まさか今日も後ろでイかされるんじゃ……。

「あ、あぅっ」

 お尻の中からちょうどペニスの裏側部分を擦られ頭がクラクラしてくる。やばいこのままじゃイかされる。しかし頭の中では分かってるのに体は言うことを効かない。

「んん、ん、ゃ……っあ、ぁ、ぇっ」

 じゅぽ、じゅぽ、ペニスをしゃぶられる。お尻の中の妙に感じるイイところも指で念入りに押し潰されて、開きっぱなしの口から飲みきれなかった唾液が溢れる。体が熱い。言うことをきかない。手足がぷるぷると震え始め、そして盛大に射精をした。飛び散る精液。ボーっとする頭で早く金縛りがなくなって欲しいと願う。

「ぁ、ぁ、ぅ……っ」

 ──終わって、早く終わってくれ。しかし願いは虚しく、お尻の穴に再び侵入してくる死霊の指に文人は歯を食いしばった。ちゅぽ、ぐちゅ、中をかき混ぜる。まるでそこを解すように。もっと大きい何かを入れる準備をするかのように念入りに弄られる。そしてハッとして目が覚めた。勢いよく起き上がる。ピピピッ、スマホのアラームが鳴っていた。

「あ、朝……やっと、朝だ」

 何だかどっと疲れた。文人はふらふらしながら風呂場へ向かう。全身が汗まみれで気持ちが悪い。洗面台の鏡に映る自分は一晩で一気に老けたように見えた。
 シャワーを浴びて冷蔵庫の中を漁る。

「何もない……」

 そうだ、昨日はどこにも寄らずに帰ったんだった。ふと昨夜会った木暮司という男を思い出す。

「祓い屋かぁ……胡散臭かったよな……」

 ゴミ箱を覗くと一番上に名刺があった。それを手にとって電話番号と住所を確認する。

「ここから結構近いな……」

 歩いて行ける距離だ。

「いやいや!何考えてるんだ、お清めセックスとかぬかした奴だぞ」

 絶対危ない人だって!……でも祓わないと眠るたびにあんな事をされ続けるかも……。

「……あー、もうっ!」

 そんなのなんてまっぴらゴメンだ。あの人との一度のセックスで霊を追い払えると言うのなら、腹を括ろうじゃないか。
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